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おすすめ本

2014年4月19日 (土)

「裏返しの男」

フレッド・ヴァルガス「裏返しの男」創元推理文庫

フランスの人気女性作家フレッド・ヴァルガスのユニークなミステリです。
「青チョークの男」に続くアダムスベルグ警視シリーズ。
どこか文学の香りがする、そしてロードムービーの要素もあります。

フランス南部の山間の村で、羊が狼に襲われる事件が続きました。
カナダから来ている研究者ローレンスは噛み痕から、その巨大さに驚きます。
このローレンス、音楽家のカミーユと村で同棲中。
カミーユは、美しく聡明で自由な、実はアダムスベルグ警視の運命の女。

カミーユの友人の牧場主スザンヌまでが、狼に襲われます。
狼男のしわざだという噂が立ち、噂された男は遁走。
本当に狼男なのか?あるいは本人がそう思い込んでいるのか‥妙な形跡を残していくのでした。
スザンヌが育てていた捨て子の若者ソリマンと、老羊飼いのハリバンは、男の行方を突き止めようとし、カミーユにトラックの運転を頼みます。
異国の長い名前をもつ黒人青年と、一徹な老人と、小柄な美女が大型トラックを運転して山道を走る珍道中が始まります。

アダムスベルグは管轄が違うのですが、勘が働いて近くまでやって来ます。
警察組織の捜査物ではなく、運命の出会いと天才的な勘で展開する物語。
推理の根拠になるようなことは、ちゃんと出ているんですけどね。
アダムスベルグは何しろ捜査方法を自分でも説明できない、ただすべてを宙に浮かべていると、ある日、真相に到達するという。
結果を出すのでパリに赴任していたが、元は山育ちの自然児でした。
カミーユとの関係などは、前作を先に読むことをオススメします。

豊かなイメージと奔流のような文章、捻った面白さを堪能しました!

2011年8月 3日 (水)

「青チョークの男」

フレッド・ヴァルガス「青チョークの男」創元推理文庫

フランス・ミステリの女王と称されるヴァルガスの作品。
森の妖精?とあだ名されていた刑事が、パリへ!
というユニークなシリーズの始まり。
ジャン=バチスト・アダムスベルグは、ピレネー出身。岩山を走り回って育ったのでした。
突然、パリ第5区警察署長に赴任することになります。

妖精!というのは~日本人がイメージするのとはちょっと違うかも知れませんが。
がっちりしているけど小柄で、山歩きが好きで、どこか人慣れしないような、風変わりな空気感のある…
顔立ちは整ってはいないけれど、個性的。
あたたかい声でのんびり喋るんですって。シャツがはみ出ていたりして、服装はだらしない。
もてる方らしいけど、カミーユというかっての恋人のことが頭を離れず、今も恋い焦がれています。さすがフランス人?
そして何より、警官としての勘の冴えは、すごいのです。
人の言うことがほぼ予想でき、犯罪の臭いをかぎ取るので、自分はそれが苦痛なほどという。

もっと風変わりな~女性海洋学者も登場。
マチルド・フォレスチエは、ふだんは仕事で海の底にいる物ばかり見つめているので、時には人間観察に繰り出したくなるという。見知らぬ人の跡を付けてまで観察し、手帳にメモをするのでした。
カフェで会話を交わした盲目の美青年に部屋を貸したりと、行動も変わっています。

夜の間に、パリのどこかの歩道に青いチョークで大きな円が描かれるという奇妙な出来事が起きます。
朝、人々が見つけたときには、その円の中にちょっとした物がある。
クリップ、羊肉の骨、人形の頭、本、ろうそく‥
<ヴィクトール、悪運の道、夜の道>という文字も。
罪のないイタズラか?どういう選択なのか?
新聞で話題にはなりつつも、当初は本気には受け取られない。
アダムスベルグはどこか残酷な匂いを感じ、危険な奉公にエスカレートする可能性を感じるのです。

部下のダングラール刑事は、新しい上司に戸惑いつつも、次第に信頼を深めていきます。
ダングラールは署長とは対照的で、知性派で長身、教養あるきちんとした服装の男性。
妻に出て行かれたために、疲れがちですが、子供達を可愛がっています。双子が二組に、妻が外で産んだ子まで育てているのでした。
夕方から飲んだくれるので、大事な仕事は昼前にしてくれと言います。

マチルドは警察に来て、青チョークの男を知っていると話します。
アダムスベルグは、彼女の身辺を探らせることに。
やがて、青チョークの円の中には、死体が‥?!
一体、何が起きているのか‥?

風変わりで知的な、様々な要素を含んだ~いかにもフランス的なミステリ。
1990年の作品。
ヴァルガスは1957年パリ生まれ。双子なんだそうで。
中世考古学の専門家の仕事をしながら、小説も書き始める。
シングルマザーになったそうですが、息子の父親は漫画家で、良い関係を保っているのだとか。

[追記]この記事になぜか妙なトラックバックが多いので、トラックバックを受け付けない設定にいたしました。
無作為なんですかねえ…何かのワードが関係あるのかしら??

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