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2012年7月 3日 (火)

「呪われた首環の物語」

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「呪われた首環の物語」徳間書店

ケルトの雰囲気たっぷり。
みごとな細工を施された黄金の首環をめぐって。
古代ケルトの伝承のような物語かと思っていると、意外に現代的な要素が入ってきます。
子供扱いされていた少年達が異なる人種と出会い、勇気と誠意を持って、行動していく物語。

緑の丘に囲まれた霧にかすむ湿原。
「人間」と「巨人」、そして水の中に棲み不思議な変身能力のある「ドリグ」が住んでいました。
人間の幼い兄妹オーバンとアダーラ。
二人だけで湿原を渡っているとき、ドリグに出くわして、なりゆきでオーバンはドリグの首環を奪ってしまう。
見たこともない凝った細工のされた緑金の首環。
ドリグは首輪に死に際の呪いをかけ、その呪いが長い間、湿原で生き続けることになるのでした。

長じてアダーラは、賢女と呼ばれる美しく賢い娘に育ちます。
なんとか呪いを解こうと勉学に励んだせいもありました。
兄妹の住むオト塚は、呪いのために不運に見舞われ、オーバンは不機嫌な大人となってしまったのですが。
ガー塚で英雄と呼ばれる若者ゲストは、アダーラに恋をして、三つの難行に挑んで成功し、さらうようにして結婚します。
そして、3人の子供達に恵まれました。

長女のエイナは先見の能があり、正しい質問をされれば予言することが出来ます。
しかも弟のセリには遠見の能があり、質問されれば物がどこにあるかを教えられる。
長男のゲイアにはそういう才能がなく、自分には何の取り柄もないと思いこんでしまいます。
出来ることは一生懸命やったので、いつしかそれが認められているのに、そのことにも気づかないままでいました。
あまり似ていない父親と理解し合えないでいる少年の気持ちが、丁寧に描かれていて、共感できます。

オト塚がドリグに襲われ、オーバンら一族がガー塚に転がり込んできて、住み込むことになります。
一体、何が起こったのか?
巨人の住む家を時々覗きに行っていたゲイアは、二人の子供と知り合います。
湿原はまもなく水に沈む、という話に驚愕することに。
その近くの川にはドリグの子供も来ていて、しだいに助け合うようになります。
種族の違いを乗り越えて、湿原を覆う呪いを解けるのか?

著者は、1934年イギリス生まれ。
オックスフォード大学では、トールキンに師事。
結婚後、3人の子育てをしながら小説を書き始める。
40冊以上の作品があり、英国ファンタジーの女王とよばれる。
この作品は、1976年発表の初期作品。
そのせいかストレートな内容で、わかりやすい方だと思います。
書き込みは堅実で、さすが力量を感じさせます。
惜しくも亡くなられました。

2011年9月 7日 (水)

「花の魔法、白のドラゴン」

ダイアナ・ウィンジョーンズ「花の魔法、白のドラゴン」

少女と少年の二人が主人公で展開するファンタジー。
充実した読み応えで、たっぷり楽しめます。

ブレスト諸島というイギリス(ブリテン諸島)に似た異世界に住む少女アリアンロード・ハイド13歳。
幼なじみで弟分のグランドと、たいてい一緒に過ごしています。
ブレストでは王様は国内を巡り旅していくもので、親が王に随行する役職のアリアンロード達は、年中旅行して暮らしているのでした。
アリアンロードは通称ロディ。
ロディの父は天気を司る魔法使いで、それほど身分は高くない。
母のほうは財務官です。
グランドの母シビルはずっと位が高いのですが、グランドには冷たいのでした。

国で一番えらい魔法使いの役職名は、マーリンといいます。
ある日、老いたマーリンが突然亡くなり、ロディの祖父が次のマーリンを連れて来ます。
ロディの祖父ハイドは、マジドという高位の魔法使いなのです。
ところが、このマーリンはシビルと何か陰謀に加わっている…?
勘の鋭いロディとグランドは、怪しいシーンを目撃します。
二人は宮廷に置いて行かれてしまい、ロディの父方の祖母ヘピィを訪ねていくことに。
品のない祖母ですが、女系の魔法使いの伝統を守っているらしい。
双子の従姉妹イジー8歳のやかましさなど、滑稽なシーンに。

起きている危険を大人は誰も信じてくれないのですが…自ら魔法の力を得ようと乗り出す少女の勇気。
初めて会う母方の祖父は怖い雰囲気で、母が苦手としていたことも理解できたのですが、ロディの話を信じてくれます。
古(いにしえ)の魔女から、花の魔法を身につけることに。
ロディは異世界の少年ニックに、力を貸して欲しいと頼むのですが…

ロディとニックの視点で、交互に物語は展開します。
異世界が平行して存在するという、ウィン・ジョーンズの設定は共通。魔法使いの中には行き来出来る存在も多い。
ニックは、魔法が公式に認められていない<地球>に暮らしています。
養父は、ホラー作家。
ニックは、実は他の世界で生まれた子供で、皇帝の跡継ぎだったニコソデス。
魔法使いになりたいと願っていました。
どういう加減か、突然異世界に放り込まれるという経験を何度かしていて、自分でコントロールできるようになりたかったのです。
ロマノフという強力な魔法使いに出会い、力を借りようとしますが、やっと探し当てたロマノフは、病気で昏睡状態。
ロマノフの隠れ処になっている美しい農園は、主の病気と共に、どんどん寂れていきます。
そこで出会った象のパドミニと心が通い合う所は、楽しい。
ニックもまた次々に出会う魔法に翻弄され…?
にぎやかで楽しいワールドです。

作者は惜しくも亡くなられました。
まだ読んでいない作品がある…と思いながら読みました。
たくさんの作品を残してくれたことに感謝します。

2010年10月 4日 (月)

「魔法泥棒」

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「魔法泥棒」創元推理文庫

英国児童文学の女王ジョーンズの最近の作品。
魔法使いが守っている地球。
異世界の住人が、この地球の諸々の科学技術を、こっそり盗んでいる…?

魔法使いの内部裁定評議会(リング)のマークやアマンダ、グラディスなどのメンバーが、これを阻止すべく異世界襲撃隊を組織することに。
ところが原因不明の事故で、送り出されたメンバーのうち、生き残ったのは女性5人だけ。
旅行者と偽って敵の監視機関に滞在し、女性だけの奇想天外な襲撃が始まります。

アマンダの妹ジーラは、一人で生んだ幼い息子マーカスを連れて密航していました。
マーカスの父は、評議会のトップのマーク。
彼とその妻の不審な様子にショックを受けて別れ、彼らの目から子供を隠したかったのです。
何とか無事にたどり着いてはいましたが、魔法の訓練を受けていないため、最初は員数外と迷惑がられるだけ。
優秀な姉のアマンダに比べると、ジーラは綺麗だけど長続きした仕事や特別なキャリアがない地味な存在なのでした。
ところがジーラは、実はコントロールされない魔力を持っており、事態の鍵を握ることに‥!
マークは、突然姿を消したジーラがアマンダの妹とも知らず、心を残していましたが‥?

地球の魔女達が着いた監視機関とは、五国からは離れた修道院のようなアルス。
魔法を盗み出している現場なのですが、なんと女子禁制。
首座のローレンスはがちがちの石頭で、人材不足を嘆いていました。
落ちこぼれに見えた新入りのメンバーは、大公の跡継ぎの若者トッドや、ケンタウロスのジョシュら。
意外な事態に直面して、個性を発揮していきます。

厳しい生活とまずい料理に退屈していた配下の者達は、有能な魔女達の優しい手に、ひそかに籠絡されていくのです。
ジーラとキスしている所を見つかったトッドは、誓約を破った罰として地球に追放され、マークの妻の愛人となってスパイとなる指令を受けますが?
ジーラは、ケンタウロス達と逃げ出すことにしますが‥

もともと子供向けにしては大人っぽい~濃い内容の作品を書いてきた作者。
特にこれは大人向けということで、ある点で違いがあります。
つまり、いくつものカップルが~?
異世界が地球から技術を盗み出そうとした理由や、その顛末もひと捻りあり。
桁違いの魔力を持つグラディスおばあさんが、いざ敵地へ向かうときのふわふわしたファッションが傑作。
面白さは変わらず、元気でにぎやかなワールドです。

2009年10月23日 (金)

「トニーノの歌う魔法」

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「トニーノの歌う魔法 大魔法使いクレストマンシー」徳間書店

英国ファンタジーの女王ウィン・ジョーンズのクレストマンシーもの。
シリーズ物の1つですが、これ一冊として楽しく読めます。
大魔法使いは今回は脇役。

魔法が当たり前にある~異世界のイタリアが舞台。
大公が治める小国カプローナ。
呪文作りで有名な二つの名家モンターナとペトロッキは、犬猿の仲。
モンターナの末っ子トニーノはおっとりした子で、なかなか呪文が覚えられず出来はあまり良くないのですが、まじめな兄のパオロや大家族と仲良く暮らしていました。
なぜか、猫のベンヴェヌートとは会話が出来るのです。
母のエリザベスはイギリス人で、歌が上手いのでした。

贈られた本に夢中になったトニーノが行方不明になり、じつはペトロッキ家ではアンジェリカも行方不明。
お互いにさらわれたと勘違いして怒った良家は激突、大通りで魔法合戦になります。
しかし、それは…姿の知れない邪悪な魔法使いの陰謀?

トニーノとアンジェリカは、小さくされて人形の家に入れられていました。
操られるままに、パンチとジュディの芝居をやらされるのですが…
このあたりが何とも上手く書かれていて、手に汗を握る読み心地。
トニーノの兄パオロは、アンジェリカの姉レナータと協力して、弟妹を捜しに行くのです。

魔法合戦や仇敵とのロマンス、子供の成長や謎解き、賢い猫と話したり、屋根に上る冒険などわくわくする〜にぎやかな展開に。
大魔法使いクレストマンシーのシリーズですが、全体の世界観はそれほど気にしなくてもいいので、とっつきやすいと思います。
この作者にしては、ストレートで華やかな物語。
クレストマンシーは、魔法が間違った使い方をされていないか監視する役目。助けに来る役で登場します。

カプローナの国名はダンテの神曲からとったそうで、町の名ぐらいに思っていたら、現カプローナ伯爵から手紙を貰って驚いたそうです。
1980年の作品。2002年翻訳発行。

2009年3月13日 (金)

「魔女と暮らせば」

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「魔女と暮らせば 大魔法使いクレストマンシー」徳間書店

大魔法使いクレストマンシーのシリーズ。
エリック・チャントと姉のグウェンドリンは、両親が外輪船の事故でなくなり、孤児になります。
募金が集まったため暮らしてはいけるので、同じアパートのシャープさんに引きとられることに。
姉は魔術の勉強に通って才能を発揮、魔女や呪術師が多い町で人気を集めます。
からきし才能のないおとなしいエリック(通称キャット)もそれなりに暮らしていたのですが…

大魔法使いクレストマンシーがいぜん父に宛てた手紙が出てきたので問い合わせたところ、魔法の城に引き取られることに。
正体もよくわからないまま暮らし始めますが、子どもが魔法を使うことを禁じられた姉は怒り、嫌がらせに魔法を使いまくるのです。
この魔法がおかしいの。
あっさり無視されて、いよいよひどくなる一方…

グウェンドリンはかっての魔法の師と良からぬたくらみをしていたようで、急に他の世界へ行ってしまい、入れ違いにそっくりなジャネットが!
本当の姉にひどい目に遭わされた人々には白い目で見られ、しかもドラゴンの血を違法に買った借金が残されていて?!
姉の身代わりのジャネットをかばいながら、エリックは追いつめられますが…
面白おかしく書かれていて、わくわくドキドキ楽しく読めます。

「クリストファーの魔法の旅」のクリストファーが、25年後のこちらでは大魔法使いになっているので、どっちが先でも楽しめます。
1978年ガーディアン賞受賞作。
1984年「魔女集会通り26番地」の題名で邦訳され、日本に最初に紹介されたジョーンズ作品だそうです。

2009年2月15日 (日)

「クリストファーの魔法の旅 大魔法使いクレストマンシー」

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「クリストファーの魔法の旅 大魔法使いクレストマンシー」徳間書店

英国ファンタジーの女王、ダイアナ・ウィン・ジョーンズのシリーズ物を読み始めました。
大魔法使いクレストマンシーとは、代々引き継ぐ称号。
「魔女と暮らせば」でクレストマンシーとなっているらしい?クリストファーの少年時代の話。
こちらが最初かと思って先に読みました。

クリストファーは子ども時代、ほとんど屋根裏の子ども部屋で過ごしていました。
仲の悪い両親とは会うことも少なく、世話係も次々に変わる物足りない暮らし。
父親にいたっては階段の下で従僕を通して母と会話しているのを遠くから見下ろすだけという有様。
毎晩のように、岩場の夢を見ては、そこから「どこかな世界」へ出かけて面白い人たちと遊び、それが異世界へ行く魔法だとも知らないでいました。
伯父のラルフに気づかれて、能力を認められたのが嬉しく、伯父に言われるままに、どこかな世界から物を受け取って運ぶようになりますが…

学校へ通い始めて友達も出来、クリケットが大好きになりますが~いきなり大魔法使いの跡継ぎとして見いだされ、魔法の城での修行が始まります。
クリストファーは、実は九つの命をもつというのです。
学校を辞めさせられたことが不満で、なじもうとしないのですが…
魔法使い達が事件解決に奔走しているのを他人事のように聞き流していたら、戦っている相手は、何と伯父のラルフらしい?!

異世界に住むクマリのような生き神の少女アシェスと交流するようになり、少女向けの本を届けていたら、こちらの世界に来てしまいます。
いざという時に、そこの神殿の猫たちも大活躍。
いきいきとして楽しい~19世紀風の異世界で育つ、魔法使いの少年の大冒険。
2001年10月発行。

2008年11月21日 (金)

「時の彼方の王冠」

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「時の彼方の王冠」創元推理文庫

デイルマーク王国史・四部作の完結編。
ミット、モリル、キアラン、ヒルディの父ネイヴィス、モリルの兄ダグナー、呪文の織り手センノレスなど3作の登場人物が集結。
しかも、現代の少女メイウェンが、過去に飛びます。

少年ミットは船で北へわたって、アベラス女公爵の庇護の元、親衛隊の訓練を受けていましたが、ノレスを暗殺するように命じられます。
18歳の娘ノレスは、「唯一の者」つまり神を父とすると公言していて、王位につくために立ち上がろうとしている噂があるのでした。
前作ではぱっとしなかったネイヴィスが意外に能力を発揮して活躍しています。
ネイヴィスの娘ヒルディは、つんとした娘になってしまって、あれれ?という感じなのですが。若気の至り?辛口な描写がジョーンズらしい。
いやみな女公爵の夫アルクがもと弁護士で発明家という現代に通じるキャラ設定で、実直な人柄を見せます。

一方、現代のデイルマーク王国。
13歳になったメイウェン・シンガーは、両親が離婚して以来初めて、父親に会いに行きます。
タンノレス宮殿の館長となっている父は、歴史的建造物の最上階に住んでいるのでした。
メイウェンは助手のウェンドによって過去へ連れ去られ、行方不明になったノレスの身代わりに。血を引いているのか、そっくりなんですね。
思いがけないところで懐かしいような人物が登場、おやっと思わせます。
大胆な構成、ダイナミックな展開、さすが細部まで入念に考え尽くされていましたよ。

人にはいろいろな面があるという見方は辛口だが、メイウェンの初恋物語としてはロマンチックな部分も。
響き合う物語~カルテットと名付けたわけがわかりました。
1993年の作品。この本は2005年発行。

2008年10月10日 (金)

「呪文の織り手」

ダイアナ・ウィン=ジョーンズ「呪文の織り手」東京創元社

シリーズ3作目は、時代をさかのぼって古代へ。
デイルマークが川の国と呼ばれていた時代です。
主人公は少女タナクィ。

川の畔に住むタナクィの一家は、シェリングの村人達とは違い、亡き母に似た金色の巻き毛をしていました。
遠くで戦争が始まり、父と兄は徴兵されます。
異国から来たはずの戦争の相手ヒーザンが、実はタナクィ一家と似た外見だと知られ、村人の憎しみを招くことになります。
父は戦死、戦場から戻った兄ガルはうつろな目をしたまま。
美しさが既に目を引く長女ロビン、気の強い次男ハーン、織物の上手な次女タナクィは様子のおかしい兄と幼い弟ダックを抱え、子ども達だけで家を出て船に乗り、下流へと向かいますが…

敵はもちろん、地元民も信じられない苦難の中、若い魔術師タナミルにいっとき助けられ、ロビンとの間には恋が芽生えます。
さらに海へ向かい、川に呪いをかけた大魔術師カンクリーディンと対面、からくも手を逃れる大冒険へ。
敵方の若き王カルス・アドンとも出会い、和平の道を探ることに。
言葉を織り込んだタナクィのローブが決め手となるのでした。
生い立ちの秘密、炉端に安置していた神さまの像のもつ意味とは?自分たちの真実を知ることが神話へと繋がっていく…
大きく想像の翼をはためかせた~ダイナミックな物語です。

あちらでは1979年の作品、この文庫は2004年の発行。
このシリーズ、表紙の絵は魅力的ですが、内容と合っていない…全部翻訳される前の依頼だからでしょうか。

2008年9月 7日 (日)

「聖なる島々へ」

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「聖なる島々へ」創元推理文庫

デイルマーク王国史の2。
舞台は冷酷な老伯爵ハッドの治める国ホーランド。

少年ミットは、牛を飼い貧しくも平和に暮らしていたのですが~不公平に重くなった税で追いつめられて、家庭はもろくも崩れ去りました。
父親は出稼ぎに行ったまま革命組織に荷担して出奔、残されたミットはいきさつを恨みます。
きれいだが考えなしの母親ミルダは、堅実な鉄砲鍛冶のホービンと再婚したにもかかわらず、復讐の後押しをすることに。
海祭りの日に、ミットは爆弾を抱えて行列に近づくが…

一方、伯爵の三男の娘ヒルディとその弟もまた、祖父のいいなりの窮屈な暮らしの中で脱走を夢見ていました。
父に与えられた美しい帆船「風の道号」で海原に出る…
そこに忍び込んでいたのがミット。
子供3人での航海が聖なる島々への大冒険へ発展することに。
波乱に富んだ航海と意外な展開の広がりが大きくて~面白いです。

王国史というには主人公は庶民の子供。
前半の階級的な問題や銃なども出てくる時代設定と、後半のファンタジーが古代ふうなのがやや違和感あるけど、同時に成り立つのが独特な濃さにも繋がっています。

第一話と直接のつながりはなし。
原題だとデイルマーク・カルテットだからね…四重奏~四部作ってことですかね。
77年の作品、この文庫は2004年の発行。

2008年8月28日 (木)

「詩人たちの旅」

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「詩人(うたびと)たちの旅 デイルマーク王国史1」創元推理文庫

英国ファンタジーの女王、ダイアナ・ウィン・ジョーンズのデイルマーク王国史4部作の一冊目。
1975年の作品、この本は2004年刊。
この夏は少しファンタジー気分だったので、あ、これ読んでなかった~というわけで、読んでみました。
中世風のファンタジーで、重厚な設定です。

デイルマークは王亡き後、伯爵が各領地の実権を持つ封建時代。
主人公は11歳の少年モリル。
町から町へ、家族で旅して回る一座の末っ子です。
父親は詩人(うたびと)クレネンとして知られ、陽気で押し出しがいい人物。母親レニーナは元は南部の貴族の出だが、愚痴一つ言わない物静かな色白の女性でした。
暮らしは貧しいけれど、ピンクと金に塗った派手な馬車を賢い馬オロブに牽かせていくのは楽しそう。歌の才能のあるまじめな兄ダグナーと気の強い姉ブリッド、まだ不確かだが才能の片鱗を見せる赤毛のモリルは仲良く暮らしていました。

ところが、身分が高いらしい少年キアランを北へ届けるために馬車に乗せてから、空気が一変します。
偉そうな新顔に子供たちがいらだっていたのは、ほんの始まり。
立派な服装をした数人の男に襲われて父が殺され、兄は投獄されてしまいます。
子供たちは初めて、父親が南部と敵対する北部を巡る政治に深く関わっていたことを知らされます。
そして母親にとっては、これまでの結婚生活が決して幸せではなかったことも…
母の故郷から子供たちだけで脱出しますが~!?

モリルが父に譲られた楽器クィダーには、不思議な力があるらしいのです。モリルは使いこなすことが出来るのか…?
スリリングでストレートな危機感あふれる展開、後半はファンタジーらしい大がかりな事件になっていきます。
時代設定のせいか、初期作品のせいか、ジョーンズにしてはオーソドックスな作風。
登場人物はジョーンズらしく生き生きしていて、特に兄弟げんかや辛口な家族関係はいかにもです。
後の作品ほどはっちゃけてないのが~かえって読みやすい。
一作目なので、どう展開するのか、先が楽しみです。

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