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2009年9月28日 (月)

「蜂の巣にキス」

ジョナサン・キャロル「蜂の巣にキス」

スランプに陥った作家サム・ベイヤーは、生まれて15年を過ごした町、クレインズ・ビューを訪れます。
ニューヨークから1時間の小さな町は、平和で退屈な土地柄。
少年時代に、川でポーリンという娘の遺体を発見した事件があったのを思い出し、そのことを再検証しながら作品にしようと思い立ったのです。

同じ高校の卒業生だった娘ポーリンは、成績は優秀でしたが大胆で、田舎町には個性的に過ぎるくらい、複数の男性との関係もあったという噂。
BFに「蜂の巣」とあだ名されていたのでした。

主人公サムは3度の結婚に失敗しているのですが、一人娘のキャスとはいい関係なのが救い。
キャスにBFが出来たのは悩ましいけれども、これもなかなか好感の持てる青年のようです。
一方、サイン会で会ったファンの美女ヴェロニカに迫られ、何度か快適なデートを重ねるが、しだいに重くなる…
彼女には、とんでもない過去があったのです。

故郷の町では、名うての不良だった遊び仲間のフラニーが、なんと警察署長に。
会ってみるとリーダーシップは昔と変わらないのですが、青白くきちんとした格好の署長に、みごと変身していました。
話によると、ベトナムでの経験から更正したという。 そういう年代なんですね。
亡くなったポーリンの妹であるマグダと、今はいい関係にあるらしい。
この警察署長フラニーは、クレインズ・ビュー3部作に共通して出てくる人物。
役割は違いますが、相当気に入ったキャラなんでしょうね。

30年前の事件の捜査と、スランプの作家、若い娘、今も事件の陰を引きずる人々、そして異様に尽くしてくれる謎めいた美女が絡みあう…
このファンの美女には、何とモデルがあるとか?!
幻想文学の鬼才であるこの作者にしては、純粋なミステリというのが不思議でしたが、ラストシーンへ持って行く語り口の妙は、キャロルならでは!

1998年の作品、2006年翻訳発行。
3部作の1作目になりますが、読む順番は2作目、3作目、1作目となりました。
独立した話なので、内容はとくに順番通りでなくとも問題はないんですけど~
クレインズ・ビューというのは、アメリカ人なら誰でも思い浮かべやすい、古き佳き町なのかも?

キャロルの作品として9年ぶりの翻訳だったらしい。
後書きは豊崎由美さんですよ~。発行は嬉しいが、間が空きすぎなのは売れないからだったとは…残念。
でも、この作品はとっつきやすくていいんじゃないかな~?!

2009年9月 2日 (水)

「木でできた海」

ジョナサン・キャロル「木でできた海」創元推理文庫

「蜂の巣にキス」「薪の結婚」に続いて登場、同じ町クレインズ・ビューが主な舞台。
警察署長のフラニー・マケイブが主人公です。

もとは札付きの不良だったフラニー・マケイブですが、今は再婚した妻マグダに感謝しつつ、連れ子の娘ポーリンとも仲良く、幸せに暮らしていました。
ところが、ある日…
年寄りの犬を拾って一目惚れ、警察の執務室で柄にもなく?面倒を見ていましたが、目の前で死んでしまうことに。
老犬は三本脚で、りっぱな首輪にオールド・ヴァーチューと名前が書かれていたのです。

その夜、ある夫婦が忽然と消えました。
いつもケンカしていて警察が呼ばれるほどの騒ぎになる困りものの夫婦だったのですが。
家の中は、たった今まで人がいたような有様なのに…
そこに落ちていた極彩色の美しい羽根を何気なく拾ったマケイブ。
犬と一緒に森に埋めてやったところ、何故か舞い戻ってきます。

友人ジョージに一連の奇妙な出来事を話したところ、動物名画集という本を持って来て、1750年の絵を見せます。
そこには、オールド・ヴァーチューという三本脚の犬の絵が!

女子学生が変死したのでマケイブが調べに行くと、そこにも、 極彩色の美しい羽根が。
不思議なことの起こる現場には残されているのだった…
何が起きているのか?

家では、長く飼っている猫スミスが暗い部屋に入っていき、慣れた様子で見知らぬ少年の膝にのります。
履いている靴を見るとオレンジのカウボーイブーツ。父がよそで買ってきてくれた、およそ流行とは合わない代物でした。まさしく高校の頃のワルだったフラニーがいきがって履いていた物。

時空を越える?思いがけない展開に。
連れ子への愛情や亡き父への思いなど、日常的かつセンチメンタルな描写と共に、ふしぎな出来事が展開します。
木でできた海とは?
元不良マケイブに与えられた機会とは…

スケールが大きくて、描写も大作家らしいゆとりがありますが、ええと…こんなの、あり?という破天荒な展開。
この作者に馴染んでからでないと、この作品からはちょっと
著者は1980年デビュー。
この作品は2001年発表、2009年4月翻訳発行。
2002年世界幻想文学大賞、ノベル賞に名を連ねました。

2009年5月 8日 (金)

「月の骨」

ジョナサン・キャロル「月の骨」創元推理文庫

1989年発行の本。
原著は87年に発表されてキャロルの名をあげた~第三作です。
ホラー的な要素もあり、ロマンス的でもある…

ヒロインのカレンは、アパートの下の階であった殺人事件に戦慄します。
いつも挨拶程度にはお喋りしていた近所の男の子が、犯人。
今の自分は、優しい夫ダニーと赤ちゃんのメイと幸せに暮らしているのですが、こうなる前にはいろいろないきさつもあったのです。
過去を振り返れば…
ひどい恋愛でぼろぼろになったカレンを受け止めてくれたのが、学生時代からの知り合いだったダニーでした。

イタリアで暮らしていたときに、ふしぎな連続夢を見るようになっていました。
夢の中の世界・ロンデュアでは、物言う巨大な動物が暮らしていて、カレンは実在しない息子(なぜかペプシという名前)と共に、冒険行に出ているという。
異常なのかと精神分析も受けましたが、解決は見ません。

それどころか、それだけではすまないような、現実に魔法世界が混入するような出来事が起こり始めるのです。
ゲイの友人エリオットが映画監督グレグストンにインタビューするのに同行したとき、グレグストンを払いのけたら…?
…ネタばれになるので~これ以上書けません。

短めなので意外と読みやすく、引き締まっている印象でした。
読んだはずなのに、みごとに内容を忘れていたのがちょっと…個人的にショックなんですけどね。
読んだというのが勘違い?にしては、後半少しだけ覚えが…

2008年11月18日 (火)

「薪の結婚」

ジョナサン・キャロル「薪の結婚」創元推理文庫

幻想小説で定評のあるキャロルの1999年の作品、日本では2008年4月発行。

ヒロインは、珍しい古書の販売に才能を発揮しているミランダ。
知的で魅力もあり、享楽的な人生を謳歌していました。
旧友と一緒に、再会を楽しみに同窓会に出かけたところ、高校時代の恋人ジェームズがすでに事故死していたことを知り、衝撃を受けます。
ところが幽霊なのか?ジェームズの姿を見かけ、ついには話しかけられるのです。

一方、魅力的な中年男性ヒューとの出会いがあり、どうしようもなく惹かれつつ、妻子持ちなので無理と自制しようとしますが、相手はまさかの本気に。
二人で暮らそうとクレインズ・ビューで探した家で、まだ生まれていない子供の幻影を見ます。
二人の間に生まれる子供がきっとここで育つのだろうと、ついに結婚に踏み切ろうとするのですが…
かってジェームズが扱って問題を起こした画家の絵を、仕事で紹介された高齢の女性フランシスのところで発見、などと因縁めいたふしぎな出来事が増えていきます。
もうこのあたりは真骨頂ですね。

登場人物の複雑なつながり、ついに自分の真実を知ったとき…彼女の決断は?!
入りやすい作品で、生き生きした女性の視点で語られるスリリングな展開、背後に重厚な設定を秘めた、感動のある結末。
おすすめできます。

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