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おすすめ本

2010年10月13日 (水)

「ガラスの中の少女」

ジェフリー・フォード「ガラスの中の少女」ハヤカワ・ミステリ文庫

アメリカ探偵作家クラブ賞、最優秀ペーパーバック賞受賞作。
蝶を見て思い出す回想シーンから鮮やかでぴりっと。
わくわくしますね~。

1932年、禁酒法の時代のアメリカ。
メキシコ人の少年ディエゴは、17歳。
頭の切れる詐欺師のトマス・シェルに拾われて息子同然に育てられ、大男のアントニオと三人で、仕事をして回っていました。

最近の役は、霊感のあるインド人という触れ込みで、ターバン姿。
母の霊に会いたいという金持ちのパークスの邸宅で、降霊会を催しましたが、その時にシェルが少女の幻影を見ます。
霊魂の存在を信じていないシェルなのに…

ディエゴにとっては、メキシコ人のメイドで可愛いイザベルに出会ったことのほうが重要だったのですが。
数日後、ハロルド・バーンズの娘シャーロットが行方不明と新聞に出て、これがあの時見た少女だというシェルは、無報酬で少女の行方を捜そうとします。
それが、思いも寄らない展開に?

バーンズ邸には、本物の霊媒師と名乗る美しい女性・リディアがいて、彼女の導きで、何と遺体を発見してしまう。
彼女は何者かに襲われて身を潜める必要に迫られ、彼らで匿うことにするのですが‥
バーンズの知人に犯人がいると、シェルは睨みます。
ひたすら謎を追っていった先には、恐ろしい秘密が…

ゴム女や犬男など、とんでもない危機に際して集まってくる詐欺師仲間達が楽しい。
時代色があり、闇は濃厚で、不気味さもあります。
それでもジェフリー・フォードの他の作品に比べると、ぐっとわかりやすいエンタテインメントになっています。
テンポが良くて、すごくキャラが立っているので、読みやすいんですね。

2008年12月18日 (木)

「白い果実」

ジェフリー・フォード「白い果実」国書刊行会

1997年、世界幻想文学大賞受賞作。
20世紀の最後を飾る奇書、とは訳者の弁。2004年8月発行。
翻訳は山尾悠子・金原端人・谷垣暁美の3人がかり。
新作にしては、前世紀初頭に書かれた古典を読むような文章にやや戸惑いましたが、もとの味わいを出そうと苦心したらしい。

理想形態市(ウェルビルトシティ)は、独裁者ドラクトン・ビロウが築いた、クリスタルとピンクの珊瑚で出来た街。
主人公のクレイは、一級観相官。
四輪馬車の迎えに乗り、北方の属領にある鉱山の町・アナマソビアへ出立する所から始まります。

アナマソビアではブルースパイアの発掘が行われ、青い粉を吸い込んだ鉱夫はいずれ青く染まって全身ブルースパイアと化すという。
観相が異常に発達している時代で、幼女が人狼であることを見抜いた功績もあるクレイ。人狼がいるわけですね。
「白い果実」の盗難をめぐって、アナマソビアへ派遣されたのは左遷に近く、上手くやらなければ失墜するリスクがありました。
白い果実というのは、外界から来た物らしく正体は確かではないのですが決して腐らないので貴重とされ、不老不死の妙薬と見なされていたのです。

クレイは町中の人間の観相をして犯人捜しをするのですが、才能のある美しい娘アーラに出会って魅了され、禁を破って助手とします。
ところが滞在中に一時なぜか観相の知識を失い、ごまかしながら仕事を続ける羽目に。
美薬という麻薬の中毒も相まって、とんでもない事態を引き起こしてしまいます。
運命は暗転しますが、流刑地での見張り役は双子なのか二重人格なのか同一人物なのか不明だったり、世話をしてくれるのが賢い猿だったりと、作者の豊かなイメージは氾濫し続けます。
後半でまた急展開。

「旅人」と呼ばれる人間ではないようなミイラの真実は?楽園とは?
カフカの「城」とか…いろいろ思い出します。
独裁と暴力と血と苦難と革命と…あまり興味のない要素が多いので、感情移入は出来ないけど、楽園のイメージや、えらい目に遭うサイテーな主人公とは対極的な世界がある暗示に、いくらか希望も見えます。
続編もあり、三部作の予定だそうです。
架空世界を作り上げたパワーはとにかく、ものすごい!
読んだのは月初めですが、アップに時間がかかりました。年内はもうこんな濃いのは読めないだろうなぁ…

2007年4月 6日 (金)

「シャルビューク夫人の肖像」

ジェフリー・フォード「シャルビューク夫人の肖像」ランダムハウス講談社

19世紀末のニューヨークを舞台に、肖像画家として成功した男の巻き込まれた奇妙な事件と画家としての転機を描きます。
シャルビューク夫人からの依頼は、屏風の陰にいて決して姿を見せない夫人の話だけを聞いて彼女の絵を描き、出来上がって似ていれば約束以上の高額を払うというもの。
画家ピアンボはこの挑戦に心動き、その報酬があれば更に芸術を追究する余裕が出来ると考えますが、謎めいた夫人に次第に取り憑かれたようになります。
一方では、周りに奇妙な事件が相次いで起こり…
なんとも奇怪な出来事のおそろしく緻密な描写に、唸らされます。
夫人の不思議な半生の語りには、画家ならずとも魅せられるでしょう。

作者は、1998年、世界幻想文学大賞ベストノベルを受賞した作家。
この作品でも、毎年数作選ばれるノベル賞を2003年に受賞しています。
あちこちの評を見た限りでは、この作品が一番面白そう!?
設定からするとファンタジーに属するのでしょうが、内容的には歴史ミステリという雰囲気。
中身がすごく濃いわりに切れの良い読みやすい文章で、時代色も出ていて面白かったです。
シャーロック・ホームズや印象派などの絵が好きな方、切り裂きジャックやジキルとハイドといったものに興味がある方にもオススメ。

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