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おすすめ本

2018年9月15日 (土)

「ルート66 下」

キャロル・オコンネル「ルート66 下」創元推理文庫

マロリーのシリーズ、9作目、後半。

古い手紙をたどりながら、ルート66をフォルクスワーゲンで走るキャシー・マロリー。
じつは、実の父親が若い頃に書いたという手紙だった‥

幹線道路ルート66では、連続殺人事件が起きていました。
行方不明の子供を持つ親たちのキャラバンが移動している最中で、地元警察やFBIも捜査に入り、マロリーも介入せざるを得なくなってきます。
マロリーを心配して追うライカーらも、これに加わることに。

型破りなマロリーだけど、意外と親切?なところもあったり。
二重三重に絡み合う事件ですが、広い空間をどんどん動いていく展開だからか、もつれた糸が解けていく快感があり、読後感が良かったせいか、物語は重苦しすぎるほどには感じませんでした。

悲惨な子供時代を過ごしたマロリーに、思わぬ発見と希望が訪れます。
こちらも全然予期していなかった‥!
珍しいハッピーエンディングで、笑顔が輝くよう☆
シリーズを読んでいる方、特にマロリーの子供時代を知っている方は必読ですよ!

2018年9月10日 (月)

「ルート66 上」

キャロル・オコンネル「ルート66 上」創元推理文庫

マロリーのシリーズ、9作目。
(もう10作目も刊行されています)
マロリーの重要な面が明らかになるので、初期作品を読んでいる方は必読ですよ。

ニューヨーク市警のキャシー・マロリーは、天才ハッカーにして、見た目は完璧でクールな美女。
幼い頃はストリート・チルドレンだったため、ごく普通の感情が理解できず、善悪の判断も危ういのでは、と周りに心配されていました。
そんなマロリーが突然、失踪。
マロリーの部屋には見知らぬ女性が残され‥

マロリーは改造したフォルクスワーゲンで、ルート66を爆走。
じつは、古い手紙をたどりながら、という旅でした。
シカゴからロサンジェルスへ向かうルート66は、マザーロードとも呼ばれている。
道路に沿って事件が多発、行方不明の子供を持つ親たちのキャラバンが、手がかりを求めて移動している最中。
相棒のライカーは、必死でマロリーの後を追います。

謎の手紙の文面、マロリーの行動、ライカーの視点と移り変わりつつ、二重三重に絡み合う事件。
真相は、果たして‥?!

2018年4月14日 (土)

「ウィンター家の少女」

キャロル・オコンネル「ウィンター家の少女」創元推理文庫

マロリーのシリーズ、8作目。
とある屋敷内で起きた事件と、58年前にそこで起きた怪事件を捜査するマロリー。

キャシー・マロリーはニューヨーク市警に所属するが、天才ハッカーでかなり自由な立場というか、普通の人の手には負えないユニークなキャラ。
完璧な美貌だが本人は自覚していないという。
兄のような存在の相棒ライカーと、署には内緒でやっている仕事のパートナーのチャールズに心配されつつ、突き進んでいきます。

由緒あるウィンター邸に、保釈中の犯罪者が侵入?
邸内には、70歳の老婦人と小柄な姪しかいなかった。
58年前、9人もの犠牲が出た大事件は未解決のまま。
老婦人は以来行方不明だったネッダで、事件のときは12歳の少女だった‥
今度の事件とどんな繋がりがあるのか、ないのか。
誰も解決出来なかった事件に取り組んだマロリーが、ついには一刀両断するのか?
構築力のあるストーリーと、スタイリッシュな描写で~強引に読ませます(笑)

チャールズは、姪の方のビッティと顔見知り。
子供の頃に天才だった者同士なのだ。
マロリーを崇拝するチャールズは一歩踏み出したらしいが、感情を持たないとまで言われるマロリーに対して、これが危険水域だったかも?という。
幼いころの悲惨な経験から、ほとんど表情を変えないマロリー。
けれども、ぜんぜん感情がないってわけではもちろんないので、さてどうなるでしょうね?
実は優しいと言うほど甘くはないけど、彼女なりの潔さとちょいツンデレがあるんですよ(笑)

2014年10月 7日 (火)

「陪審員に死を」

キャロル・オコンネル「陪審員に死を」創元推理文庫

マロリーのシリーズ7作目。
さすがオコンネルという捻りのきいたブラックな設定で、濃厚かつスピーディ、そしてどこかユーモラスに描かれます。

キャシー・マロリーは、ニューヨークの巡査部長。
今回は、相棒のライカーが傷病休暇中。
犯人に撃たれた心の傷を抱え、一向に復帰する様子がありません。
留守にしている弟の会社を切り回していて、そこの従業員の女性にほのかな好意を抱いている様子。
ところがその女性ジョアンナはFBIに付きまとわれており、元は精神科医。
事件の影に気づいたマロリーは‥

マロリーは一目見たら誰もが忘れないような美貌でクールでカッコよく、優秀なハッカーでもあります。
幼い頃はストリート・チルドレンだったため、感情や常識に乏しい特殊な性格。
刑事夫妻の養女になったのですが、あたたかかった養父母は既に亡い。
そんなマロリーにとって、子供の頃から知っている兄貴分のライカーは唯一残された家族のようなもの。
一部がまだ子供のように純粋なマロリーなのです。
マロリーの強引なやり口に憤慨したライカーだが、マロリーの孤独と不器用な愛情に気づいて、何もいえなくなるのでした。

一方、<ショック・ラジオ>という番組では、パーソナリティが危険な扇動を繰り返していました。
死神と呼ばれる連続殺人犯が、とある殺人事件で明らかに有罪な容疑者を無罪にした陪審員達を殺しているらしい。
‥ちょっと現実にはありえないと思うけど‥
陪審員制度の問題点や、情報が拡大したときの危険性を皮肉っていると思われます。
関係者が入り乱れる中、しだいに明らかになる真相とは。
‥FBI、かなりバカにされてる‥?

人は愛する者のためにどこまで出来るか。
もつれた事件の中の何気ないエピソードが、しまいには、号泣ものの切ないフィナーレへ。

2003年の作品で、あちらではもう11作目も出ているそう。
評価は高いのですが、日本人にはややとっつきにくい特殊な設定ゆえでしょうか?
美貌で変わった性格のヒロインは、国内ミステリでもいくらか出ているので、前よりも受け入れやすくなっているかも。
最近作のほうが出来がいいので、今後も楽しみです。

2013年1月22日 (火)

「吊るされた女」

キャロル・オコンネル「吊るされた女」創元推理文庫

刑事マロリーのシリーズ第6弾。

キャシー・マロリーは、ニューヨーク市警ソーホー署の巡査部長。
金髪に緑の目の誰もが一目見たら忘れない美貌ですが、本人は全く意識していない。
組織には馴染まない天才ハッカーで、市警のコンピュータも担当しているため、独自の行動を半ば黙認されていました。

女性が部屋で吊されているのが発見されます。
元娼婦のスパロー。マロリーの相棒ライカー刑事の情報屋でした。
たまたま駆けつけた元警官の消防士が現場をぐちゃぐちゃにし、新米警官が蘇生しないようにという指示を無視して、植物人間にしてしまう有様。

ライカーが現場で何かを拾い上げて隠したのを見て驚くマロリー。
ライカーは妻には逃げられ服装はだらしないが、正しい事しかしないと信頼されている男なのです。
スパローのことは、マロリーも子どもの頃によく知っていたという因縁がありました。

マロリーは9歳の頃はストリートで生きていた浮浪児で、その悲惨な体験から人間を信じず、ほとんど表情も動かない。
ルイ・マーコヴィッツ警部に引き取られ、その妻ヘレンだけを実母のように愛しました。
ヘレンは若くして死に、マーコヴィッツも近年亡くなってしまったため、大きな歯止めがなくなっています。

ライカーが隠したのは、とある古い雑誌。
マロリーが子どもの頃に、続きを読むのを楽しみにしていたらしい奇想天外な冒険小説シリーズの最終巻でした。
そこには、マーコヴィッツの書き込みが…?

女性が吊された事件は、20年前にもあったことがわかります。
当時の捜査に当たった警官は、引退後もこだわりを抱いていました。
娼婦を蘇生したドジな警官も送り込まれ、仕事が出来ないのを呆れられますが、実は事情があるらしい。
様々の思惑を抱えた警官が入り乱れることに。

マロリーが副業にしている会社の仲間チャーリーは、本物の天才。
怖がられるほどの大男だが、笑うと間の抜けた顔になるお人よし。
マロリーに片思いのチャーリーも、捜査に協力します。
スパローのことをマロリーが恨んでいるのではと心配する周囲ですが…そこはマロリーもそれほど単純ではないのでした。

幼かったマロリーの孤独がしだいに浮き彫りになって、切なくなります。
何かを感じ取ったヘレンに初めて会うシーンは、胸が痛くなりました。
2002年の作品。

2011年2月 6日 (日)

「愛おしい骨」

キャロル・オコンネル「愛おしい骨」創元推理文庫

マロリーのシリーズではない新作。
読み応えあります。
「クリスマスに少女は還る」に続く系統でしょうか。
文章はスタイリッシュで、登場人物が非常に個性的な所はマロリーのシリーズにも通じます。

ある日、森に行った兄弟…15歳の弟ジョシュは帰らず、17歳の兄オーレンだけが帰ってきました。
町中総出で探したけれど、ジョシュは見つからないまま…
オーレンは遠くの学校へ行かされ、そのまま軍に入って帰りませんでした。元判事の父に追放されたと感じていたのです。

20年後、故郷に戻った兄オーレン。
家政婦のハンナに呼び戻されたためでした。
オーレンは相変わらずスター性のあるハンサムで、人生を誤ったと思うハンナ。
母亡き後に兄弟を育ててくれた家政婦ハンナは、小柄で素性のわからぬ謎めいた女性。彼女が傑物なのです~。
オーレンを呼び戻した本当の理由は、ジョシュのものらしい骨が、少しずつ玄関先に届けられるという奇怪なことが起きていたためでした。
家は20年前のまま、弟の部屋は服や靴の位置さえ変わらず、犬は剥製にされているほど。

大金持ちの娘イザベルと街ですれ違ったオーレンは蹴りを入れられます。今は鳥類学者になっているイザベル。
11、2歳の頃、恋心がお互いにあるのは周りにも一目瞭然だったのですが、実際には口をきいたこともないままでした。
意地っ張りな幼い恋。
イザベルは昔、嘘のアリバイを証言しようとしていたことを知るオーレン。
年上の女性イヴリンの証言で、オーレンのアリバイは成立していたのですが。

何か隠している保安官。
図書館に住みこんで動かない巨大な女性は、町の怪物と恐れられています。かって夫を殺していたのです…
というように、何とも個性豊かな町の人々は枚挙にいとまがありません。

自己顕示欲の旺盛な弁護士アディソンはイザベルの義父。何か起こるたびに弁護に駆けつけるのですが、派手なやり方で嫌われています。
その妻がイザベルの母セアラで、すごい美女でしたが~今は重度のアルコール中毒。
お城のような豪邸に住みながら、虜囚の姫君のよう。
年に一度だけ、セアラの誕生日記念に舞踏会が催されるのが、町の大きな行事になっていました。

町で一人だけ招待されたことのない嫌われ者のゴシップライターのモンティ。彼は、美少年だった弟のストーカーだった?
写真で小遣い稼ぎをしていた弟は、15で既に才能を開花させていました。街のあちこちに貼られている弟が撮った写真。
そして、今も行われている降霊会…

町の人々の秘密が次第に明らかになっていきます。
父が調査を依頼した元警官のスワンをオーレンは訪ねます。
捜査官としての経験を積んだオーレン・ホッブズは、自らも疑いを掛けられながら、今度こそ真相にたどり着けるか…?
快感のこもったリズミカルな文体で、重い内容を描き分ける手練れっぷり。
きらきらと目くらましにあったような豪華なクライマックス。
複雑な味わいが残りました。

このミステリーがすごい!で海外の1位になっています。

2006年7月10日 (月)

「天使の帰郷」

キャロル・オコンネル「天使の帰郷」創元推理文庫

マロリーのシリーズ4作目。
ニューヨーク市警の巡査部長という身分を捨て、姿を消したキャシー・マロリー。実は復讐のため、故郷に帰っていたのでした。
通常の良心を持たない美貌のスーパーヒロインの秘められた過去が明らかになります。

気の良い大男でマロリーに片恋の相棒・チャールズがたどり着いた田舎町にはマロリーそっくりの天使像が…それは17年前に謎のリンチ事件で命を落とした女医の墓碑。天使の抱いた幼い少女こそがマロリーだったのです。
亡き母そっくりに成長したマロリーが町に着いた途端に事態は動き始め、宗教団体の教祖が殺されて、よそ者のマロリーは黙秘したまま既に拘留の身。
しかし保安官はマロリーが子供の頃を知っているので、実はマロリーの身を案じていたのです。

17年前の事件の真相を追って、どんな手段も辞さない決意のマロリー。町で進行する奇妙な出来事の歯車が次第にかみ合い、幼いマロリーの負った傷も明らかに。
老いた愛犬が待ち続けていたあたり、泣かせます。
おなじみライカー刑事も現れ、マロリーに邪魔にされながらも事件解決に協力して良い所を見せます。時々、笑わせる役割も~。
そして崩れかかった屋敷に住みながらあたりに広大な所領を持つ老婦人の切れっぷりも凄い。映画にしたら良さそうな~仕置き人かガンマン物みたいなクライマックスへ。
スーパーヒロイン二人の破壊的・痛快アクション!?

2006年5月26日 (金)

「魔術師の夜」

キャロル・オコンネル「魔術師の夜」創元推理文庫

「氷の天使」に始まるマロリーのシリーズ5作目。
ニューヨーク市警の巡査部長キャシー・マロリーは冷たい緑の目に金髪の一目見たら一生忘れないような美女だが、浮浪児として育った凄惨な過去のため、社会病質者とまで評価されたこともある特異な性格。
頭の良さはもっぱらハッカーとして生かされ、養父のマコーヴィッツ警部亡き後は、野獣が街に放たれたかのように身近な人々には心配されています。
クールな態度に情熱を秘めたマロリーがカッコ良く、切れの良いきらきらした文章も相変わらずです。

マジックの大きな催しで、著名なマジシャンがニューヨークに集合!
幻のイリュージョンを復活させようとしたマジシャンが公衆の面前でクロスボウに貫かれて死亡。マジックの失敗だったのか?殺人と睨んだマロリーの孤軍奮闘が始まります。
パレードの上空に浮いた人気キャラの風船が何者かに撃たれて破裂、マロリーは子供達の前で子犬(の風船)を撃ったという汚名を着せられてしまいます。
マロリー独自の価値観と周りの人間の衝突は何かと絶え間なく、緊張が続くのですが、潔いマロリーは魅力的。いぜんよりは感情の見える面もあり、結局はみんなマロリーに惹かれているのではと思わせますね。

マロリーの非公式の相棒チャールズは、叔父のマックスが伝説的なマジシャンだったので、第一作からマジックの話は出て来ていましたが、今回は全体的にちりばめられています。
集まっていたマジシャン達はもともと第二次大戦中のフランスで関わりがあり、当時マラカイの妻ルイーザが舞台の上で死んだ事情が今度の事件の大きな鍵となっていました。
さすがのマロリーも曲者揃いの老人達に振り回されがちですが、自分も覚え立てのマジックを駆使して虚々実々の駆け引きを展開していきます。
姿の見えない妻と共に舞台に立つイリュージョンを演じ続ける狂気の魔術師マラカイが何とも印象的。美老人ファン?にもお薦め!

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