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2010年10月 7日 (木)

「捜査官ケイト 過去からの挨拶」

ローリー・キング「捜査官ケイト 過去からの挨拶」集英社文庫

主人公ケイト・マーティネリは、サンフランシスコ市警の捜査官。
このシリーズ6年ぶりの新作。

ケイトは、豪邸を手放した同性の恋人のリーとその娘である3歳のノーラと、小さな町に住んでいます。
身近に住む自由な雰囲気の友人達と行き来する~なごやかな暮らしを満喫していました。

ホームズ愛好家のクラブが登場。
被害者フィリップは自宅の一部をアンティークで揃え、ホームズの部屋そっくりにしていたという凝りよう。
ヒロインのケイトはホームズには詳しくないのですが、作者は別シリーズで、ホームズが愛弟子の女性と結婚したという設定のシリーズを書いているので、非常に詳しいわけで。

謎の未発表原稿が出てきて、それを巡って起きたらしい殺人事件を扱うことになります。
その内容は…
1924年に、サンフランシスコを訪れたイギリス人シゲルソン(ホームズが使っていた変名と同じ)が、夜の町を探訪。
ビリー・バードソングという女装の歌手と知り合ったという。
恋人の軍人ジャックから連絡が来なくなった事を心配していたビリーのために、シゲルソンは捜査を始めるのですが?
悲恋が切ない。

原稿の真贋は明らかにされないままですが、別シリーズではホームズは実在人物なので、ドイルではなく彼自身が書いたということなのでしょう。
その原稿にも出てくる性別を偽った結婚の話(こちらは史実らしい)などが、現代の主人公らにも絡んで来ます。

読んでいると~ただ普通に愛し合うカップルというだけで、食事を楽しみ、子供と遊び、普通の行き違いやケンカもあり、なんの違和感もないんだけど。
当人達が回りに認められるのは、至難の業だったことでしょう。
サンフランシスコで同性結婚が公式に認められた、というタイミングのようです。
2007年飜訳発行。

2006年11月18日 (土)

「公爵家の相続人」

ローリー・キング「公爵家の相続人」集英社文庫

「シャーロック・ホームズの愛弟子」シリーズの新作。
時代は第一次大戦中となっています。
前作「エルサレムの道」で出会った男アリとマフムードはアラブ人そのもののようでしたが、実は潜入していたイギリス貴族。
彼の地で生まれた絆を頼りに転がり込んできたアリの、マフムードこと従兄のマーシュ公爵の危機を救って欲しいという依頼で、ホームズと妻のラッセルは彼らの生まれた地へ赴きます。
豪奢な邸宅ジャスティス・ホールを中心に展開する大貴族の暮らしぶりがありありと描かれ、読み応えがありますよ。男勝りのラッセルもあわててドレスを取り寄せたり、大規模な社交行事としての鳥撃ちで銃の腕前を披露したりとこれまでにない経験をするんです。

従兄弟二人が20年も異境にあって生き生きと暮らしていたという設定にもビックリですが、何となくそこがイギリス貴族らしいような気も…?
実は結婚していた!マーシュの妻アイリスの正体?も、いかにもキングらしいです。
マーシュは長兄とその一人息子の死でやむなく跡を継いだのですが、その甥が戦場で不名誉な死を遂げたことも心に重い影を落とし、生きる屍となりかけていたのでした。
ヨーロッパの塹壕線の無惨さや当時は兵士が裁判もなく見せしめのために処刑されていたことなど、苦い現実を取り入れて、輪郭のはっきりした構成になっています。

このシリーズは引退後のホームズがあろうことか結婚し、夫婦で事件に関わっていくという一種のパスティーシュ。昔はむかついて手に取らなかったんですけど~これがなかなか良く書けているんです。
家族を事故で失った男の子みたいな15の少女と出会ったホームズが才能を見いだして探偵術を仕込み、後に結婚するという展開でした。
作者自身が年の離れた恩師と結婚した経験が物を言っているようです。

既に8年がたち、今回の事件は余りホームズものである必然性はありませんが、大勢の個性豊かな登場人物を巧みに配し、公爵家の跡継ぎ問題をドラマチックに盛り上げています。面白かったですよ!

2006年8月 4日 (金)

「奥津城」

ローリー・キング「奥津城」集英社文庫

捜査官ケイトとシャーロック・ホームズの愛弟子という二つのシリーズを持つ才女ローリー・キングが新たな挑戦を見せる一冊。
宗教学者のアンは、FBI捜査官グレンの依頼を受けて、カルトに潜入捜査することになります。
何度目かの危険な仕事に緊張し、抵抗を覚えながらも、想定した人物になりきっていく…
じつは18年前、夫と幼い娘を集団自殺で失った過去があり、自分の離脱が引き金となったという罪悪感から、大学教授となった今も行動せずにはいられないのでした。

一見おだやかに暮らしているコミュニティにさりげなく参加し、紙一重の指導者に近づいていくアン。
アンでなければ出来ない仕事でしたが、思いがけなく亡き娘アビーにそっくりな少女に出会って混乱し、その兄で生命力に溢れながら殺人者になりかねないような目をした孤独な少年にも強く惹かれます。この二人を見捨てられずに危険な領域まで踏み込んでいく…

難しい題材だと思いますが、この二人の輝きが物語を救っています。
閉鎖的な集団のはらむ危険性も、こういう時に暴走していく傾向があるなどと研究されている様子なのが、アメリカでは事例に事欠かないからでしょうか。
作者も宗教学者だからリアルさがあり、痛みを知る大人の女性としての共感も感じられます。
果敢に行動するアンを歯切れの良い文章で描き、魂の再生を描いた物語です。

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