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おすすめ本

2018年7月30日 (月)

「玉依姫」

阿部智里「玉依姫 八咫烏シリーズ5」文藝春秋

八咫烏シリーズ5作目。

舞台はうって変わって現代の日本、人間の世界に。

高校生の志帆は、祖母と二人暮らし。
自分の親のこともよくわからないまま育ち、親戚から連絡を受けて故郷のことを知りたいと思い、村を訪れます。祭りを見てみたいという気楽な気持ちでしたが、その祭りというのが‥

生贄伝説のある龍ヶ沼と、その隣にそびえる荒山。
祖母が母だけを連れて村を逃げ出したという、その理由は‥
危機に陥った志帆の前に現れたのは?

これまでの作品と急にトーンが違うので、戸惑いました。
土俗的な雰囲気というか、和風ホラーのような。
そういう雰囲気も書けるんだ、とは思いました。
優しい性格の少女がふいに異常事態に巻き込まれるというか、先祖伝来の問題に気付かされるというか。

八咫烏の世界につながってはくるのですが‥
壮大な流れというよりは、逆に世界が小さくなってしまったような印象も受けました。
構成の問題かも‥
無理に大きく繋げず、熱っぽく書き込まれている部分だけでまとめて、後は謎を残したほうが良かったのでは。
まだ十分、謎は残っていますけど。

この部分は異色作で、後はまた違うエピソードになるのか?
はたして面白くなるのか、謎は深まるばかりなのか。
乞うご期待です☆

2017年4月15日 (土)

「空棺の烏」

阿部智里「空棺の烏」文藝春秋

八咫烏シリーズ、4作目。
雪哉が主人公の学園ものの部分が多く、なかなか楽しい。

八咫烏が支配する世界「山内」。
若宮の近習となった雪哉は、護衛として力をつけるため、「勁草院」に入峰します。
「勁草院」とは、宗家を守る「山内衆」を養成するための全寮制の士官学校のようなもの。

若宮の近習であったことは伏せつつ、小柄でのん気な少年のように見せながら、しだいに実力を発揮していく雪哉。
「勁草院」では、若宮派と、若宮の兄・長束派の対立があり、身分による格差もある。
明留、茂丸、千早と個性の違う少年達が、厳しい訓練に取り組みます。
時には理不尽な目にもあいつつ、迷い、張り合い、どこでどう頑張るのか?
若宮の周辺は人材少なすぎたから、彼らが将来どう活躍するか、楽しみ。

いっぽう、若宮の即位をめぐって、意外な問題も起きます。
このファンタジー世界全体を揺るがす要素は、先を期待させますね。
最後のほうは急展開で、付いていきそこないそうになりますが~
ちょっと意地の悪いところはこの作家の味?
十分、楽しめる内容でした☆

2016年10月 4日 (火)

「黄金の烏」

阿部智里「黄金の烏」文藝春秋

八咫烏シリーズ3作目。
雪哉のもとに若宮が現れ、思わぬ事態に‥?!

2作目で朝廷に勤めに出たものの、若宮に忠誠を誓う気になれなかった雪哉は、故郷に戻って暮らしていました。
近くで思わぬ事件が起こり、若宮が訪ねて来ます。
危険な麻薬〈仙人蓋〉が出回っており、この地域でも異変が起きていると。
故郷を守るため、やむなく行動を共にする雪哉。
ぼんくらなふりをしているが、これがやれば出来る少年なのです(笑)

辺境の村が謎の大猿に襲われ、壊滅状態になっていました。
一人だけ生き残った少女・小梅は、なぜ助かったのか?
都まで同道し、事情を探る雪哉。
八咫烏の世界は侵食されつつある‥?!

雪哉がすぐ登場するのは予想通りだけど。
この世界の設定がだんだん明らかになり、これまでとは趣向が違うので面白く読めました。
嫌な人物のねっとり感も、一作目よりも安定した感があります。
若宮は好きな性格ではないけど、背負っている運命がこういう設定だったのかー‥と。
また違う展開で面白がらせてくれるかな☆

2015年12月 8日 (火)

「烏は主を選ばない」

阿部智里「烏は主を選ばない」文春文庫

八咫烏シリーズというか、「烏に単は似合わない」の続編。
一作目とほぼ同じ時期の裏側を描きます。

人の姿をした八咫烏が支配する世界、山内。
次の統治者の金烏となる日嗣の御子の座をめぐり、権力争いが起きていました。
賢い兄・長束をさしおいて日嗣の御子に選ばれたのは、うつけの弟宮。
まだ大貴族たちは納得していない。
四家の后候補の姫たちが宮殿に上がりますが、若宮はいっこうに訪れもしないまま、日がたっていきます。
その理由は、刺客に狙われてそれどころではないからだった‥!

地方の豪族の息子・雪哉は、地元でのんびり暮らすのが望みで、ぼんくらと評価されています。
ところが、宮殿で若宮に仕えるよう決まってしまう。
しぶしぶ都へ向かった雪哉は、部下がろくにいない若宮の居所に驚くことに。

無理難題を命じる若宮に反発しつつ、つい頑張ってしまう雪哉。
本当は出来る奴みたいだけど、意地っ張りなんですね。
若宮とのやり取りや、つぎつぎと危地を脱する展開はいきいきと描かれていて、一作目よりも面白い。
1作目の内容ともっとかぶるかと期待したけど、もちろん一部出てきますが‥あまり関係ないほどだった‥

事情のわからない雪哉を視点に展開するのは、1作目と同じですね。
若宮は偏った育ち方をしていて、確かに言葉足らず。
ちょっと気の毒な気もするけど。
金烏が何かもわからない雪哉の不満は、読者も同じですが~だからって辞めると決めるのは早計で、子供の理屈という印象。
とはいえ意外な結末にはいささか拍子抜け。
読者を驚かせることを優先しているのか?
ただ、書かれていない期間があるし‥ひょっとして、これも引っ掛けかなあ‥と思わないでもないですね。
どういう続きにしてくるのか、先を知りたくなります☆

2015年11月10日 (火)

「烏に単は似合わない」

阿部智里「烏に単は似合わない」文藝春秋

平安王朝風ファンタジー。
構成はむしろミステリかも。
若い作家さんのデビュー作で、ラノベかアニメかというキャラ設定ですが、面白く読めました。

「八咫烏」が支配する世界「山内」。
宗家の世継ぎである若宮のお后選びが行われます。
四つの大貴族の家からそれぞれ姫君が選ばれて登殿し、桜花宮で1年間暮らすことになっていました。

東家のあせびは、桜花宮の春殿へ。
南家の浜木綿は、夏殿へ。
西家の真赭の薄は、秋殿へ。
北家の白珠は、冬殿へ。
(真の名は公開しないしきたりのため、仮の呼び名ですが)

あせびは当主の次女で、長女のピンチヒッター。
お后を目指す教育を受けてきた姉とは違い、屋敷から出たこともなく暮らしていたのが、すべてを初めて見聞きし体験するという展開に沿って、読者もだんだんと宮殿のことを知ることになります。
若宮の実妹の藤波は、あせびと知り合いで、無邪気に気に入ってくれている様子。

華やかな美女で口も達者な真赭の薄(ますほのすすき)。
きりっとして気取りがなく大人っぽい浜木綿。
小柄で色白、お人形のように綺麗だが無表情な白珠。
おっとりとして琴の演奏には才能がある、あせび。
それぞれの家の事情や権力争いが背景にあります。

贅をつくした御殿で、季節の催しが華やかに行われますが。
肝心の若宮が姿を見せないまま、次々と事件が起こります。
峻厳な山の内に宗家の宮殿があり、周りに大貴族の館があるんですね。
仕える召使達は烏にも人にも変身できるという設定。
宮烏ともいわれる貴族は人の姿のままだけど、本質は同じ。

お姫様方が烏である必然性がないので、そんなことは忘れて読み進んでしまいます。
白珠の初恋はあまりにも幼いけど、切々と展開し、引き込まれました。
先を予想させる要素がちらほら出てくるものの、はっきりとは限定されていないのが、これはもしかしてミスリード?と思わせ‥
最後に怒涛のように謎が明かされます。

20歳の大学生が書いたにしては、色々な場面の描写で飽きずに読み進められるし、しっかり考えられている構成。
ああ、あれはそういうことだったのね~と、トントンと繋がっていきます。ただ、ミステリとしてはフェアとまでは言えません。
ファンタジー設定を前もって全て書き表しているほどではないので、え、そうなの?と思うところがあり。
心理的に、というか、読者の心情として、ここまでは無理でしょうという部分も。

若宮の登場が唐突で、感情移入できないため、その推理間違ってるんじゃないのと言いたくなってしまう(笑)
何を偉そうに‥いや偉いんだろうけど(苦笑)
最後に一発だけ、へこまされるところに思わず一番納得してしまいました。
タイトルの意味は、読み終わるとわかり、なるほど!と。
欠けている部分を補うようなものなのか?若宮の視点での作品に続くようです☆

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