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2018年3月 5日 (月)

「源氏物語 宇治の結び(下)」

荻原規子「源氏物語 宇治の結び(下)」理論社

荻原規子の現代語訳、後編。
薫の大将と匂宮の二人の青年の恋愛の成り行きを中心に構成したもの。

当代の人気を集める二人ですが、光源氏ほどの人物ではないと最初にバッサリ書かれていたのが、紫式部の光源氏至上主義?に思えて何だか楽しい。
こう断言されると人物が小さいようにも思えてしまうけど。

女性は、宇治に住んで育った姉妹の大君(おおいぎみ)、中君(なかのきみ)と、田舎から上京した異母妹の浮舟(うきふね)。

ややっこしい経緯を大分忘れていたので、なるほど、こういうことだったのねと思うわかりやすさはありました。
浮舟は見た目は異母姉二人に似ていて、田舎育ちの割には教養もある。
でも若いし世間知らずだし、いきなりこんな状況に放り込まれて、混乱するのも無理ないですね。

紫式部自身、後には出家したらしいし、書いている頃にはかなり厭世的になっていたのでは、とも思われ、自らのキャラ光源氏を悼む気持ちもあったのかも。
それと‥
男ってこんなもの、魅力的だからってね、まったく!と世の女性に知らしめようとしていたのかもしれない?
滅多にないような関係を描きつつも、所々に教訓めいたものは垣間見えるので。

恋愛心理を延々と掘り下げるというのは、この時代にあっては進んでいるというか、薫の君は19世紀に書かれた小説の憂愁の貴公子というタイプにも見えます。
現代でもそういう小説はありえますよね。
イライラするけど、つい読んじゃうみたいな(笑)

誠実だけど優柔不断だった薫も、経験を積んで少し変わっていく。
それぞれの性格、こうなった必然性がきっちり描き分けられていて、それがまた光源氏の一生と響き合いもする。
そのあたりが凄いと思いましたよ。

2018年3月 3日 (土)

「源氏物語 宇治の結び(上)」

荻原規子「源氏物語 宇治の結び(上)」理論社

「源氏物語」の最後の方、「宇治十帖」と呼ばれる若い世代の話を、荻原規子が編み直して現代語訳したもの。

陰鬱というか、うじうじというか、ややこしいというか、そういう話で有名なあたり。
ああでもない、こうでもないと右往左往する恋愛心理は、当時の時代相を映してもいるのでしょう。
ある意味では、意外と近代的でもありますね。

光源氏は、波乱の人生を表向きは栄華のうちに終えました。
薫の君(憧れをこめた通称)はその末っ子です。
じつは最後にめとった女三の宮(天皇の三女という意味の通称)が、柏木と不義の関係になってしまい、生まれたのが薫。薫は薄々そのことに気づいて、誰にも言えない暗い秘密を抱え、まだ若く恵まれてもいるのに出家を思いつめたりする青年になっています。

匂宮(におうのみや)は、光源氏の娘・明石の姫君が天皇に嫁いで産んだ子、つまり光源氏の孫に当たります。
匂宮は登場したときは東宮(皇太子)でもない気楽な身分ですが、明るい性格と華やかな美貌で両親のお気に入り。
歳の近い薫の君に、無邪気ともいえるライバル意識を抱いています。
薫の君のほうがずっと落ち着いているのですが、やはり甘やかされた貴族のぼんぼんというところも(笑)

当時、天皇は生涯その地位にあるものではなく、皇族の間のいわば持ち回り。
弟や甥に十数年ぐらいで譲位する場合もあり、宮様(天皇の子)が何家族も存命したりするのがちょっとややこしい。

都から少し離れた宇治に隠れるように住んでいるのは、そういう皇族の後継争いから漏れた八の宮(前の天皇の八男)と、その娘二人、大君と中君。
皇族でありながら忘れられた存在でしたが、薫の君はこの教養ある年上の男性・八の宮に惹かれ、交流するようになります。八の宮も出家を望んでいるから気が合うのですが、娘二人のことが気になってそれも出来ないと嘆く。
へ~え‥
いえ、当時は、出家することで真に救われるという考えは奇異なことではなかったはず。
ただ、出家しないと決めたのなら、もう少し娘のことをなんとかしてやれば?と言いたくなりますが、まあ薫の君に頼もうとはするわけです。
ところが、そういう父に教育されて育った二人は結婚を望まず、とくに長女の大君は、頑なに薫の君を拒む。
さて?

当時の人は、どんな気持ちでこれを読んだのでしょうねえ。
貴族社会では、結婚は政治と直結、恋愛もそれに準ずるもので数もこなして当たり前。現代とは意味が違うと思います。
そこのところは~現代と同じに考えては気の毒かも。
とはいえ、恋愛感情そのものは意外なほど変わらないよう。社会通念としては最初の妻じゃなくても妻には違いなく、恥ではないんだけど~女心は違うのね。

皇族はやはり上つ方のごく一部ですから、読者が私ならどっちを選ぶ‥などと考えるのも、憧れのうち?
芸能スキャンダルみたいなものでセレブな人も悩むのねって思うのか‥
などと考えつつ読みました。

追記:こ、これは3月3日の記事としてふさわしいのだろうか‥?という気もするけど。まあ、お姫様たちのお話で‥coldsweats01

2017年12月16日 (土)

「エチュード春一番 第二曲 三日月のボレロ」

荻原規子「エチュード春一番 第二曲 三日月のボレロ」

エチュード春一番のシリーズ2作目。
女子大生が一人暮らす家に、小犬の姿で神様が現れ‥?

美綾は「モノクロ」と名付けたパピヨンと一緒に、祖母の家に帰省します。
実は八百万の神の一神だというモノクロだが、ふだんは可愛らしい白黒の小犬の姿。
従弟の家庭教師をしている神官の娘・弓月は、きりっとした女性。

美綾たちに、夜の神社を案内するから見に来るように誘います。美綾たちに、夜の神社を案内するから見に来るように誘います。
そこで美綾たちが見たものは?

神社は、神気がある所に人間が勝手に建てたもの、とはモノクロの弁。人間とは桁違いの感覚で物事を捉えている神は、人間のことなどあまり気にしていないのだそう‥?
神さまにも色々なタイプがいるってことらしいですが(笑)

弓月とその友人の飛葉周はちょっとした霊力があり、そういう仲間のネットワークを作ろうとしていました。
美綾はそんな力はないとあっさり断りますが‥
それよりも、特にやりたいことも得意なこともないと、進路に悩んでいる美綾でした。

美綾の悩みはそうそう、この年齢にとっては大問題!
神様が家にいる、ってのも何ですが‥
少しは理解したいという気持ちもあって、民俗学研究会にも所属しています。
そこで、またしても飛葉に出くわし、さらにつきまとわれ‥?

ちょっとこのストーカーめいたの、リアルに嫌なんですけど。
そういえば、一作目の出来事も案外、神様がらみのファンタジー設定ならではというよりも、現実味のある問題でしたっけ。
付き合う人間が増えていく年頃、思わぬ危険もあるよと、教えてくれるような展開ですね。

親友が良い子でよかった~、獣医の川森先生も大活躍。
身近な人にちゃんと話して、大人にも相談すること!
ですね。
どう話が展開していくのでしょうか~楽しみです☆

2017年2月18日 (土)

「エチュード春一番 第一曲 子犬のプレリュード」

荻原規子「エチュード春一番 第一曲 子犬のプレリュード」講談社タイガ

荻原規子の新シリーズ。
女子大生の家に迷い込んだ小犬は、八百万の神と名乗り‥?!
もう2作目も出ています。

渡会美綾は大学生になったばかり。
家族は父の海外赴任に同行したため、とつぜん独り暮らしに。
家に迷い込んだパピヨンをとりあえず世話していたら、ある日とつぜん言葉を喋り始め、「八百万の神」と名乗りました。
驚愕する美綾。
犬に宿っているので、犬として過ごしていることもあるのですが‥
愛くるしい見た目と違って、喋りだすとやたら偉そうなのですが、人間になりたいという気持ちがあって、人間のことを知りたがり、時には鋭い発言も。

大学1年生の経験する事はリアルでわかりやすく、実体験も入っているのかという感覚がありました。
(あまり意識していなかったけど、作者と年代が近いってことかも)
荻原さんにしては平坦というか、今のところは現実から離れすぎない内容。
慣れない大学生活で、サークルに入ったり、友達付き合いが少しずつ出来ていくけれど、そこで問題が起きて、謎めいた出来事に悩みながら‥

大人しめでおくてなヒロインが、これから、色々な事にぶち当たっていくのか‥?
でも八百万の神って‥茫漠としてますが、そのうちの一人ってことですかね。
荻原さんなので楽しみなのと、油断できないな~みたいな期待もあります(笑)

2016年1月 4日 (月)

「あまねく神竜住まう国」

荻原規子「あまねく神竜住まう国」徳間書店

源頼朝の少年時代を描く日本史ものファンタジー。
「風神秘抄」の続編で、前作の主人公達も活躍します。

伊豆の流刑地に流されてきた頼朝は14歳。
一族をほとんどすべて失い、あるいはすぐに処刑される決定が出るかもしれない身の上。
生きていく意味を感じられないでいたのです。

監視役だった伊東佑次は頼朝にかなり優しかったが急死してしまい、頼朝は蛭が小島へ移されることになります。
川の中州にあり大水でもあれば流されそうな小さな島。大蛇が出てきて人を食うといわれている場所でした。伊東の郎党に死ぬことを望まれている身と知りつつ、暮らしていこうとする頼朝。
そんなとき頼朝の乳母を名乗る女人が訪れ、伴っていたのは草十郎だった‥!

草十郎は、舞姫の糸世と新婚の身。
頼朝を守りながら、伊豆の山の地下深くおわす神竜との邂逅にまでこぎつけます。
頼朝は生きる道を見出せるのか?

か弱い傷心の少年がこの時期の頼朝では、思いっきりいじいじしていても無理はない設定ですね。
そこからだんだん人に囲まれ、危機を乗り越えて、生気を取り戻し、本音が出てくる展開。
北条時政のまだ幼い娘との出会いもあり、その無邪気さが微笑ましい。
頼朝や一族のその後を思うと、のちのちの波乱の展開が重過ぎて、ちょっと、なんですが‥
和風なしっとり感とファンタジーが融け合っていて、面白く読めました☆

伊豆の土地神である神竜は、地震や火山の因ともなっている存在。
あまねく、というのは、日本がどこもそういう土地だという感覚から来ているものだそう。
大自然への畏怖ということでしょうか‥
そのバランスを治めることの出来る人が各地にいたら、いいのにね。

2014年7月10日 (木)

「源氏物語 紫の結び <3>」

荻原規子「源氏物語 紫の結び <3>」理論社

脇筋を省略した荻原規子版・源氏物語。
光源氏が「女三の宮」を正妻として迎え入れていて、波乱の生涯も終盤です。

光源氏の娘の「明石の姫君」は、春宮(皇太子)の妃となっていますが、めでたく懐妊して里帰りしてきます。
「紫の上」にとっては、育ててきた娘。
姫君と対面するついでに、女三の宮(先帝・朱雀院の三女)とも会うことに。
まだ幼さの残る女三の宮は、実質的な正妻である紫の上が若々しいので、親しみを覚えるのでした。

身分の高い女三の宮(天皇の三女)の降嫁で正妻の座を奪われた紫の上は、内心の失望を表には見せません。
ただ、何度も出家したいと源氏に訴えます。
源氏はとんでもないと却下し、その気持ちもわかりますが、二度目三度目ともなったら、紫の上の心をもっと深く思いやるべきでしたよね。
さらに美しくなってきた紫の上に対する源氏の愛情は、かえって増すばかりだったにもかかわらず‥
その辺の成り行きを描ききる紫式部って、なんて頭がよくて意地悪なんだ!と千年も昔の女性作家の観察力と筆力に脱帽です。

紫の上が倒れた後は、そちらにかかりきりとなり、女三の宮は放置状態。
少女だった三の宮も、この頃は20歳ほどになっています。
そして、前々から三の宮に憧れていた柏木が、一目だけでも会いたいと思いを募らせ‥
三の宮に仕えている女房たちは若く華やかだがあまり賢いとはいえない。そんな環境で起きてしまったこと‥
源氏は驚愕しますが、若き日に藤壺の宮を愛したことで父の帝を裏切った自分の因果応報を思うのでした。
紫の上を亡くした後は、かくも光り輝き続けた源氏の命運もついに衰えを見せます。
やはり最愛の女性であったのでしょう。

荻原さんは、このあたりが一番書きたかったのかと思える力の入り方で、読み応えがありました。
紫の上の辛さがよくわかるため、ちょっと読んでいて気持ちが落ち込みますが。
この部分、確かに話のポイントではあるのですが、他のバージョンだと他の色んなことに紛れて、そんなに突きつけられる印象はなかったんですよ。
あとがきで、さらに念押しされます(苦笑)

源氏物語をあまり好きじゃない人の一番の理由は、あまりにも大勢の女性を相手にした話っていうことじゃないでしょうか。
いけいけのプレイボーイの話的な。いや、そうなるには理由があるし(物語の成立が恋愛のエピソードを集めたところから始まってるっていうこともあり)、いい思いばかりはしてないですよって。
二番目は、嘆き憂う部分が多いしんねりむっつりした印象?
どっちも一面ですが、当時の結婚形態や身分社会の様相、読まれた背景などがわかってくると、あまりに的確な描写に恐れ入る感じなんですよね。
物憂げなようで、こんなにビシバシ怜悧に鋭く描かれた話だったとは。
宮中というのは、それだけ女性の感性が研ぎ澄まされる環境だったってことかな。

2014年7月 6日 (日)

「源氏物語 紫の結び <2>」

荻原規子「源氏物語 紫の結び<2>」理論社

荻原規子バージョン源氏物語。
快調です。

官位を与えられなかったため、自主的に謹慎の道を選んだ光源氏は、須磨に来ていました。
訪れた人が驚くほどの侘び住まいで、さすがにしばらくは女性を口説くこともなかったのですが。
運命かと思わせる成り行きが色々あって、明石の入道の娘とそういう仲に。
「真の罪はない」などと何度も出てくるのが~おいおい、って感じだけど。
朧月夜の君が、表向きは天皇(源氏の兄)の女御ではなく、宮廷の女官だからでしょう。

晴れて都へ戻った源氏は、紫の上と嬉しい再会。
むつまじく暮らし、次第に栄華を極めていきます。
明石の君に子が生まれ、都で育てたいがどうするか、紫の上にいつ打ち明けるかなど迷いもするのですが。手元に引き取り、紫の上が可愛がって育てます。

六条御息所が病の床に伏し、源氏はその娘の前斎宮の後見人になることに。
入内させるよう藤壺の宮に促され、その支度をします。
このときの若い帝は実は、源氏と藤壺の間の子。
帝の女御二人が張り合う絵合わせの行事のために、源氏は家にある見事な絵を持ち出し、さらには須磨で描いた自作で評判を取ります。

いまだに藤壺の宮は憧れの女性で、距離がある中にも、何かあるたびに心の奥深く響く存在。
出家した藤壺の宮の苦悶に比べると、源氏はいまだに慕う気持ちのほうが強くて罪悪感は少ないですね。
37歳で藤壺が病に倒れると、情け深い人柄が知れ渡っていたため、すべての人が悲しむことに。
源氏の嘆きは一通りではありません。
若い帝は僧都からひそかに出生の秘密を知らされ、源氏に親不孝をしていたと考えます。

葵の上が生んだ源氏の長男・夕霧は、幼馴染の雲居雁と相愛でしたが、雲居雁の父(葵の兄で、内大臣。若い頃は頭中将)に引き離されます。
それも大人になっていくにつれて、許されるのですが。
(雲居雁の生母が、早く離縁して今は別な人の北の方になっているというのがちょっと面白い)

明石の君は、田舎育ちとは思えない品位と才覚を備えた女性。
身分を自覚して娘を手放し、身を引いていましたが、娘の明石の上が春宮(源氏の兄の子で、次の天皇)に入内することになり、付き添っていくことになります。

太政大臣となり、六条院に壮大な邸宅を築いた光源氏。
そこに、女三の宮の降嫁という大きな問題が‥

一巻目よりいくらか落ち着いて、都での優雅な催しややり取り、人々のいろいろな思惑が描かれます。
淡々とした文章ですが、紫式部が宮中で見聞きした経験から、華やかさに実感がこもっているのでしょう。
こういうふうに人の気持ちは動くもの、この場合はこうした方がふさわしい、などと、当時は宮廷で働く人や縁組を考える人の参考書にもなったのでしょうね。

2014年7月 2日 (水)

「源氏物語 紫の結び(一)」

荻原規子「源氏物語 紫の結び(一)」理論社

荻原規子による「源氏物語」の新訳。
読みやすくするための工夫がなされています。

光源氏の生い立ちの章の次に、幼い紫の上との出会いを持ってきて、印象を強くしてあります。
順番を入れ替え、脇筋は省き、敬語もなく、和歌は意訳のみ、注釈などもつけずに、どんどん話が進む。
停滞は確かに少ないですね。
これなら読める、という方もいらっしゃるのでは。
この後に、もう少し詳しいものを読んでみるという手もありますよね。

紫の上は、確かに重要人物。
ただ、藤壺を想ってもんもんとした年月、決められた結婚相手は冷たく、うまくいかない‥
といった光源氏の気持ちはあまり実感として迫ってこないから、いきなり紫の上の実父にも知らせずに、幼女誘拐?!という感じがしないでもありません。
当時の同居しない父子の縁のはかなさや、男性が望めば事実婚になることなどを、示しているともいえますが。

その後で、六条御息所という高貴な年上の女人とまで付き合っていたことや、許されない恋の藤壺とは密会しちゃったし~朧月夜の君にも手を出すし、明石の君にももう会うの?!
って、ほんとテンポ早い、手も早い‥

あの時代の結婚制度や源氏物語の成立についての説明が何もないと、初めて読む人はどうなのか‥
いつ疫病で死んじゃうかわからない寿命の短い時代。
結婚にも離婚にも制約は少なく、多くの女性を相手にしていた男性は珍しくなかった。
貴族の男にとって恋愛も仕事みたいなもの、結婚は身分制社会を生き抜く命がけの政治なのよ~ただのサイテー男じゃないのよ!とか、何だか弁明してあげたくなります。
でも飛ぶ鳥を落とすような勢いのプレイボーイ・光源氏の内心は、あんなこんなで、めめしいの‥ということを描いた作品でもあると思いますが(笑)

一体どうなるの?と宮廷の人々の興味をさぞ集めたことでしょう!

2013年11月23日 (土)

「RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと」

「RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと」カドカワ銀のさじシリーズ

完結編。
え、次で終わり?と知ったときにはびっくり。
ちょっと気になっていた設定を次々に解決するというか、方向性はちゃんと示して行って、ぱたぱたと終わりました。
なるほどねえ‥

特殊能力の子を集めた学園での<戦国学園祭>で、鈴原泉水子は能力を顕現させました。
その存在は一般の生徒にもじわりと印象付けられています。
影の生徒会長・村上穂高は、泉水子を世界遺産候補となる学園トップとして判定。
ところが、陰陽師を代表する高柳一条は、これに異議を唱えます。

もう一度、どちらの力が上か、対決することになりました。
往生際が悪い?高柳の理屈に、泉水子は考えをめぐらせ、トップは高柳ということにしておくという提案をします。
泉水子の望みは、普通の高校生活を送ることだったから。
成績アップを目指して試験勉強に取り組み、苦手科目を相楽深行に教えてもらうことに。

深行はツンデレというか、いまだにデレはまったくないんですが、泉水子と一緒に考えていこうという真剣な姿勢。
そんな彼の気持ちをつかみきれず、心細い泉水子。
クリスマス・パーティーに用意したワンピースは着ることもできず、目立たないようにトナカイの着ぐるみに身を隠した泉水子はさびしい気持ちになります。
海外から来ている要人に目をつけられないようにという大きな目的のためなのだけど、少女のささやかな願いや悲しみが微笑ましい。
別な機会に、深行や真響と遊ぶ予定にしていたところを‥?!

泉水子の危機にかけつける深行。
ふっふっふ、そう来なくちゃ。
泉水子の母も、これまでよりは事情を説明してくれるのでした。

広げた設定が展開しきれずに終わった印象があり、ちょっとこれっきりというのは惜しい感じがしますね。
基本的には児童書だし、すっかり大人になってからの話までは読みたいと思わないけれども。もう少し具体的に成長してもいいのでは。
作者自身に迷いがあるのか? 「続きを書いても書かなくても」という意味深なあとがき。
とりあえず、お疲れ様でした☆
これまで楽しませてもらいましたよ、大人も!

2012年9月28日 (金)

「RDG5 学園の一番長い日」

荻原規子「RDG5 レッドデータガール 学園の一番長い日」角川グループパブリッシング

前作に続いて~学園祭の後半。
ぐぐっと話が進みます。

鈴原和泉子は、熊野の神社で育った大人しい女の子。
姫神という超越的な存在が降りるのを抑えるため、長い髪は三つ編みにしています。
東京の高校に来て、新しい経験をし、真響という親友も出来ました。
ただこの高校は、特殊な能力を持つ生徒が集められていて、その中のトップを争って世界遺産をめざすという隠れた戦いがあるのです。

鳳城学園の学園祭。
戦国時代の衣装をつけての大がかりな催しで、準備だけでも大騒動に。
生徒会執行部は黒子の衣装で裏方に回るので、内気な泉水子も気が楽だったのですが。
中等部の女の子達に妙な出来事が起きていて、それで泣き出す子も出て、お姫様役が決まらなかった事情が判明。

他にもどことなく、おかしい気配が…
ホラーハウスで気分が悪くなる子が出たということで、相楽深行と様子を見に行きます。
相楽深行は幼なじみで、泉水子の血筋を守る山伏の家系で、修行をしている身。
泉水子には冷たい態度ですが。
奔放で強力な姫神と、人見知りで不器用な泉水子のギャップに閉口している様子。

泉水子は、ホラーハウス内で本物の幽霊らを見て、「姫」とすがりつかれます。
深行の父・雪政は、泉水子に同情する心があったからだと指摘。

泉水子はいつの間にか、敵?の高柳一条がしかけた術にはまり、好感を抱いて僅かな時間だけれど行動を共にします。
真響と対立する高柳は、泉水子の真の力には気づかないまま、味方に引き入れて利用しようとしたのです。
そのことに気づいてしまい、怒りを止められなくなる泉水子。
ついに自身が姫神だと悟ります。
ところが、真澄にずっと一緒にいて欲しいといわれ…?
深行に渡された携帯が、ここぞというときに活躍。

真響はお姫様役に担ぎ出され、戦いの旗頭に。
八王子城攻めに見立てた合戦ゲームの最中、事件が…?
学園での混乱の中、後輩に頼られるだけのことはある真響の良い面や、意外な限界もわかり、それも面白い。
少しずつ成長し、それぞれ今までとは違う段階から、物を見るんですね。
満足な読み応えでした。

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