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おすすめ本

2016年4月26日 (火)

「ナイルパーチの女子会」

柚木麻子「ナイルパーチの女子会」文藝春秋

若い女性が友人との葛藤がもとで破綻していく話。
ナイルパーチとは食用できる淡水魚だが、生態系を壊してしまうほどの凶暴性があるという。

志村栄利子は、父も勤めていた大手の商社で働く30歳。
完全主義でいつもきちんとしているキャリアウーマンですが、実はいっぱいいっぱいで、友達がいないのを苦にしていました。
そんな栄利子がはまったのが、ゆるい主婦ブログ「おひょうのダメ奥さん日記」。
「おひょう」こと丸尾翔子が近所に住んでいて、偶然に出会った栄利子は、親友になれると思い込む。
ところが‥

翔子は、一見すると気楽な雰囲気を持つ、付き合いやすそうな女性。
実は田舎の家族とくに身勝手な父親から逃れるように上京してきたのです。女同士の付き合いはやや苦手としていて、やはり友達はいない。
ブロガーとして、人気が出るのですが‥?
栄利子のほうは都会の裕福な家庭で両親に大事に育てられてきましたが、そこにも実はわかりにくい歪みがあった。
子供の頃は、仲のいい幼馴染もいたのですが‥
おひょうの態度の変化を理解出来ず、大量のメールで報われない思いをぶつける栄利子。
「わかってくれるまで止めるつもりはない」という考えはストーカーそのものでは。
なるほど、こんなふうに考えるのか‥

真織という派遣の若い女が、「友達がいる」という意味では普通の女性として登場しますが、実は彼女が一番怖い。
これはないんじゃない‥?という出来事で、他が吹っ飛ぶぐらい。
いや、あの‥友達を大事にしているって、どんな友達付き合いをしているわけ?
もしかして、これぞナイルパーチ?(笑)

栄利子はそつのない人生を送りそうな女性だったのに、どんどん壊れていく。
途中でいったん、読むのを止めたほどですよ。
だがその体当たりの様子のために、後で二人の人物に謝ってもらえるシーンがあり、それは人生の真実を含んでいる印象。
このあたりを読むために、一読の価値ありと思います。
こじれた人間関係は、どこにでも起こりうるものだから。
生々しい迫力のある小説でした☆

2016年3月 3日 (木)

「3時のアッコちゃん」

柚木麻子「3時のアッコちゃん」朝日新聞出版

「ランチのアッコちゃん」の続編。
アッコちゃんとあだ名される黒川敦子女史。
会社を離れても、ユニークさとパワフルさは変わりません!

アッコちゃんを慕うかっての部下・澤田三智子は、今は高潮物産の契約社員となっています。
シャンパンの企画会議を仕切ることになっているのですが、お茶を出すぐらいの立場の弱さ。
やる気も起きないでいたところに、アッコさん登場。
紅茶の本場イギリスで学んできたという腕を見せ付け、見る見る会議を変えていく!?

「メトロのアッコちゃん」は、地下鉄の駅ホームで、「東京ポトフ&スムージー」ので店を出しているアッコさん。
オペレーターとして働く女性と知り合い、すごい勢いでお節介しまくり。神出鬼没の活躍~!

「梅田駅アンダーワールド」は就職試験に落ち続けて、大阪まで受験に来た女子大生。
わかりにくい駅からやっとたどり着いたときには、遅刻という。
しかし‥?

「シュシュと猪」
六甲山から時々、猪が降りてくるという町。
不本意な転勤で、関西に馴染めないキャリアウーマンでしたが、名物いのししのベティちゃんに懐かれ、近所のシュシュ専門店ともかかわりが出来ていきます。

それぞれ立場や事情は違っても、働く女性への応援歌みたいなところは共通しています。
アッコちゃんが後半は出てこなくて、店の名前がチラッと出るだけなのは、ちょっと拍子抜け。
そういえば、一作目でも、アッコちゃんは最初の予想ほど出ない感じでしたっけ。
読者の期待がわからないのだろうか‥ 意外と、作者はアッコちゃんを書き続けにくいのか?
ある意味、アッコちゃんに助けられるのを待ってるだけでは駄目ってことだったりして。

全体に、元気が出るお話ではあります。
アッコちゃんの胸のすく活躍は、また見たいものですね☆

2015年12月26日 (土)

「私にふさわしいホテル」

柚木麻子「私にふさわしいホテル」扶桑社

若い女性作家があの手この手で世に出て行く話。
奇想天外な成り行きに笑えます。

中島加代子は小説家がよく泊まるという山の上ホテルに、締め切り目前の小説家然として、今年も自腹で宿泊します。
賞はとったものの、元アイドルとの同時受賞という不運で注目されず、本が出版されないままだったのです。
担当編集者の遠藤は、大学時代の文芸サークルの先輩でもありました。
遠藤のほのめかしを受けて、文壇の大御所作家・東十条のもとに入り込み、奇策を弄して‥?

大御所で女好きというと、普通はモデルを一人しか思いつかないと思うけど、こんな無茶苦茶な役でいいんでしょうか(笑)
意外な縁が続いて、老大家がいい味出してきます。
実名で宮木あや子や朝井リョウが出てきて、いかにも内幕物風。
でも宮木あや子は何もしないし、確か後輩?の朝井リョウも他で書いてることを言ってるだけ?のような気も。

ことあるごとに、とんでもないことを思いつく加代子の才覚に大笑い。
次々に危機を乗り越えて、予想外に早く出世することとなる展開ですが、最後はそんなに幸せそうでもないという。
毒を含んだ展開。
作家の業のようなものを自覚しているからでしょうか。

柚木さん自身、最初の賞をとった後、すぐには単行本化されなかったよう。
その間に妄想が膨らんだ‥?
生意気盛りの若さを感じさせる筆運びで、面白おかしく、勢いよく書かれていて、何となく元気が出ます☆

2015年11月19日 (木)

「あまからカルテット」

柚木麻子「あまからカルテット」文春文庫

親友の女性4人が繰り広げるにぎやかなエピソード。
楽しく描かれています。
軽い謎解きあり。

中学以来、ずっと仲のよい4人組は、28歳の今も良く集まっています。
薫子は、きりっとした優等生で今は編集者。ただ家事はやや苦手。
由香子は、おっとりした主婦で料理上手。ブログから人気が出ます。
満里子は、デパートの化粧品販売員で、華やかな美人。よく合コンに出ている。もてるけど、結婚が決まらないのにやや焦りを感じ始めているところ。

咲子は自宅でピアノを教えています。かなり綺麗だけど大人しく地味な性格。
1話目「恋する稲荷寿司」で久々に気になる相手に出会い、身元がわからない彼のことを皆で探すことに。

2話目「はにかむ甘食」では子供の頃食べた甘食の味を再現しようとする。3話目「胸騒ぎのハイボール」では、満里子が付き合っている彼の好みが気になり‥
4話目「てんてこ舞いにラー油」
新婚の薫子が家事と仕事の両立に悩み、助けを借りつつ奮闘。
5話目「おせちでカルテット」
薫子が姑の来る正月におせち料理を出すのに困り、皆で分担する約束をするが、思いも寄らない出来事が続き‥?!

まだ28歳なら元気だし、4人ともそれぞれ取り得があり、普通より恵まれているとも言えます。
スピーディで明るい展開なので、気楽に楽しめますね。
内心では親友より自分が劣っていると感じるコンプレックスもあったり、一人で悩んでいることもあるのがリアル。
起こる出来事はけっこう大変で、恵まれているとばかりも言えない感じになってくるだけど、そこをにぎやかに面白おかしく。
出てくる食べ物がとても美味しそうで、庶民的なのも好感が持てます。
一気に読めて、元気が出るお話でした☆

2015年5月 9日 (土)

「ねじまき片想い」

柚木麻子「ねじまき片想い ~おもちゃプランナー・宝子の冒険~」東京創元社

おもちゃ箱のようにイメージ豊かで、楽しかったです!
タイトルでは内容を想像できなかったんだけど、これがタイトルそのものの内容でした☆

富田宝子は大手玩具メーカー、ローレライのデザイナー。
28歳だがまだ少女のように可愛らしく、美大の頃のままのふわふわした服装。デザインの才能も、少女の気持ちを残しているのが成功の要因でした。
外注デザイナーの西島に5年も片思いしていて、誰にも知られていないと思っているけど、仕事仲間は皆知っていて、ひそかに応援しているのです。
ルームシェアしている親友の玲奈は叱咤激励するというか、いい加減にしろと遠慮なく言っていました。

西島の前に出るとうじうじするばかりで本来の明るさも出せない宝子。
西島の悩みを解決しようと陰で奔走して大活躍。恋には空回りしているのに、ついでに犯罪事件を解決してしまうことになります。
この意外な展開が軽めだけど楽しくて、アイデアは豊かなだけに猪突猛進するところが可愛い。

‥でも若い頃の自分にちょっとだけ似ているところがあるので、いやここまでイタクない、これは違うよな‥とたまに悩みながら読んだりして。
仕事関係の人たちやお客の子供たちはいかにもいそうなリアルさもあるかと思えば、掏りの集団が出てきたり。
刑事さんとの出会いがよかったので、こっちとくっつくほうが良かったのではという気も。
いやページ数的に書ききれなかっただけで実はこの後、そうなったんじゃないかなぁ‥(笑)

たまたま西島と同居する機会が出来たのに、まったく進展せず、宝子は才能まで鈍らせていくという展開。
自分に自信を失っていきます。
ルームシェアを解消した玲奈を追って、今度は彼女のためにも活躍する宝子。
玲奈は、宝子は内面が豊かだから人に与えられる、その豊かさに惹かれたのだ、という言葉をくれました。
掏り集団のボスのおばあさんが宝子のことを西島に、世界に二人といない宝と告げて背中を押す。

宝子が自分らしさに気づいて、成長するのがすがすがしい。
恋愛はちょっとどうなるか曖昧な感じでしたけど、きっちりまとめないのも風通しがいい?
面白く読めました☆

2015年1月20日 (火)

「本屋さんのダイアナ」

柚木麻子「本屋さんのダイアナ」新潮社

女の子二人の友情に、本が絡んで‥
すごく面白かった!

矢島ダイアナは、大穴と書いてダイアナと読むという自分の名前が大嫌い。
キャバクラに勤める母ティアラ(本名・有香子)は世界一ラッキーな名前という意味で父と相談してつけたというのだが。
その父はおらず、誰かも教えてもらえない。

小学3年のときに神崎彩子と出会い、仲良くなります。
真っ黒な髪の優等生の彩子は、前から本好きで有名なダイアナを知っていたという。
母は優雅な料理教室をやっていて、家も服装もシック。
上質なものを長く使う、本物がわかる女性になってほしいと彩子に言います。

ダイアナは彩子の母親の知的で家庭的な様子や、家の落ち着いた雰囲気に憧れますが、彩子のほうは逆。
キラキラしたものがいっぱいな可愛い家で、ジャンクフードの美味しさや、一緒にゲームをしてくれる金髪の母ティアラに憧れるのがおかしい。

ダイアナとは、赤毛のアンの親友の名前だという彩子。
それに、「秘密の森のダイアナ」という日本人作家の本も愛読書でした。
可愛らしい友情に、思わぬことからひびが入ります。

私立の中高一貫女子校・山の上女学園に彩子は進み、みんなの憧れの生徒となります。
狭い世界で守られている自分の臆病さを気にしていました。
共学の大学に進んだとき、イベントサークルに誘われ‥?
親の躾けや育ちのよさでは守れない危機が‥!

ダイアナのほうは、山の上女学園には進めない。
いじめを跳ね除けながら孤独がちに成長しますが、幼馴染の武田君という味方はいました。
高校卒業後は本屋の店員を目指します。
ネットでの書き込みや本の紹介から、いつしか再び知らないうちに近づいていく二人。
自分の父が誰なのか知りたいと思うダイアナの混乱は‥

事件もあり、思わぬ距離も出来つつ、互いに自分にない良い面をちゃんと見て感じ取っている二人。
他の登場人物も個性がハッキリしていて、それぞれ欠点はあるけど根は善良。
面白おかしく描き出される軽快なテンポがいいですね。
どうにも出来ないこともあるけれど、皆が互いに気にかけている様子に、心温まります。

2014年11月11日 (火)

「伊藤くん A to E」

柚木麻子「伊藤くん A to E」幻冬舎

タイプの違う若い女性たちがある男性とどう関わっていくか。
柚木さんにしては辛口の作品です。

デパート勤務の智美は、性格もいい美人なのに‥
5年越しのつきあいの伊藤くんに冷たくされて迷いながらも、正式な恋人になれないかと、諦めきれないでいました。
売れ残った高級なバッグに自分を投影したりしつつ‥
伊藤くんは、有名大学出の塾の講師で、ハーフのような顔で服のセンスもいい。シナリオ作家を目指しているということで映画の話なども詳しいのですが。

伊藤君に好きな女性が出来てしまう。
相手は、塾の受付のバイトをしている修子。
はかなげな雰囲気があり、趣味がけっこう伊藤くんと似ていたんですね。
学芸員の仕事を失い、バイトには身が入っていない状態でした。
伊藤くんに好意を寄せられますが全く反応しないため、伊藤くんは思い込みだけのストーカー的な立場に。
しかし修子もダメな時期だったのね‥

聡子は、ケーキ屋のデパートの売り場の副店長。
見るからに女っぽくて、男を切らしたことがない。
親友の実希が好きな伊藤くんに、ふと近づき‥?

実希は伊藤くんの後輩で、長い間片思いしています。
綺麗だけど男と付き合ったことはないのです。処女を捨てようと自棄になり、クズケンこと久住健太郎を誘い出しますが、そこに‥?

矢崎莉桜は脚本家で、伊藤の先輩。
自分の部屋に後輩を集めて、ドラマ研究会を主催してきましたが、肝心の仕事は途絶え、部屋も汚れていくばかり。
後輩の中で唯一の成長株が、久住。
伊藤くんは自意識過剰だが冒険には乗り出さない。莉桜はその傾向を助長するような関係だった‥

各話で、女性の側の闇の部分も出てきて、特に最終話は濃くて匂いがするようですね。
女性たちの友情が出てくる部分が、面白いです。
伊藤くんは、この描かれ方だと全くどうしようもない。
表面的にでも人を惹きつける部分があるだろうに描かれていないので、何でこんな男に惹かれるんだって感じだけど。
シナリオライター目指してもなれないなんて良くあること。
‥と思ったら、それだけじゃない?!
現実に、ここまであらわにならないだけの似たような人はいくらでもいそう。
その辺もなおさらイタイ?(苦笑)

ホットな久住くんは、なかなかいい男。
うだうだしていた女子たちはこれから成長していく様子なので、すがすがしい。それが人生の鍵でしょ、って。
伊藤くんも意外な姿を見せましたが、さて?

2014年5月24日 (土)

「ランチのアッコちゃん」

柚木麻子「ランチのアッコちゃん」双葉社

快作!
働く女達の憂さや迷いを晴らす楽しい展開で、元気が出ます。

第1話 ランチのアッコちゃん
派遣社員の三智子は、雲と木社という小さな出版社に勤めています。
4年付き合った恋人に振られた翌日、上司のアッコから意外な申し出を受けました。
お弁当とランチを一週間交換しようというのです。

アッコちゃんこと黒川部長は、長身で独身の45歳。営業部唯一の女子正社員で、一人だけセレブ感を漂わせています。
曜日ごとに行く店とランチが決まっているというアッコ部長。
知らない世界をのぞき見ることになった三智子は?
軽快で、現実的ではないが~ありえないほどでもない予想外な面白さ。
だんだん元気になる三智子が嬉しい。

第2話 夜食のアッコちゃん
雲と木社は倒産、別な会社で働いている三智子。
正社員と派遣社員の間に立って困っていたとき、「東京ポトフ」のワゴンをやっているアッコちゃんに再会します。
一週間、仕事を手伝うと申し出て、問題解決のヒントを得ることに。

第3話 夜の大捜査先生
30歳になる野百合は、合コンに精を出していました。
3年以内には結婚したいから。
中高一貫の出身校の名を出すと、好印象をもたれるのですが、実は在学中はスカートを改造し遊びまわっている不良だったのです。
当時の先生、前園が今も繁華街で生徒を追っているところに出くわし、生徒を探すことに。

第4話 ゆとりのビアガーデン
総合商社に入ってきた新入社員の玲実。
ゆとり世代の典型でまったく使えない女の子。3ヶ月で辞めたのですが、社長の雅之は今思い出しても苦笑するほど。
ところが、その玲実がビルの屋上でビアガーデンを始めるという‥?

アッコちゃんの話が2話で終わってしまうのはちょっと残念だけど、後の話にも少しずつ出てきます。
のほほんと明るい玲実の個性がまったく違っていて、社長にも育てられたとは言いがたいが、これはこれで視点の変わる面白さ。
なかなか秀逸でした。
ちょっとだけど現実に参考になるような言葉もちゃんとあり、夢のあるエピソードが楽しい!
元気が出ます☆

2013年11月19日 (火)

「王妃の帰還」

柚木麻子「王妃の帰還」実業之日本社

女子校の中学生クラスで巻き起こるカースト騒動。
トップの女子が転落したことから‥?
やや戯画化されていますが、いきいきと描かれていて、好感が持てます。
どことなく可愛くて、一生懸命な女の子達です。

聖鏡女学園中等部2年B組28人は、姫グループ、ゴス軍団、チームマリアといった5グループに分かれています。
前原範子は一番地味なグループに属していました。
広報担当のチヨジ、落ち着いているスーさんに、上がり症の範子と、目をつけられやすいリンダさんは守られている格好。

範子がひそかに「王妃」と呼んでいた滝沢美姫が、とあることからつるし上げにあって失墜。
マリー・アントワネットの首飾り事件ならぬ腕時計事件、と歴史オタクの範子は思う。
姫グループの2番手の恵理菜から、滝沢をグループから出すのでそちらに入れてくれと打診され、一度は断るが、孤立する様子を見かねて入れることに。
まぢかに見る滝沢はとても綺麗な女の子でした。とはいえ空気が読めない滝沢にお手上げとなり、姫グループに戻すのが一番!と計画を練ることにします。
王妃の人気を回復する作戦に出た範子らですが、つぎつぎに意外な事態が‥?

範子の母は、独身で雑誌の編集長。
チヨジの父とくっつけようと娘達はロッテ作戦(「二人のロッテ」の)を展開していたのに、クラス担任のホッシーと母は恋仲になっていた?!
女子校には貴重な若い男でけっこうハンサムな先生は大人気だったので、範子は誰にもそのことを話せない。
王妃のことに熱を入れた範子は、親友チヨジとの関係が危うくなってしまいますが‥

それぞれの弱点もあらわになるけど、よく知らなかった子が意外にいいやつだったり。
大人しくて真面目な範子も矢面に立つ苦しみを初めて知るのですが、そこから‥?
王妃が立ち直り、少しずつ皆が成長して、後味がいいのがよかった!

派手に区分けされたグループは、現実にはちょっと違うだろうなと思いつつも、いろいろな感情が飛び交う様にはわかるところも。
私が中学生だった頃には、仲良しでグループは分かれていても、はっきりしたカーストはなかったし、小学生の頃はワガママだった子ももう直っていたけど~持ち上がりで家庭環境も露骨にわかったりすると案外いるのかも?
‥大人になっても、華やかな人は目立つし、気の合わない人もいることはいるし、似たようなことはないでもない‥
学校で上下があったらやりにくいだろうな~徒競走で順位をつけないような教育をしていたのは無駄だったんじゃないの?などと、思わせられました。

2013年3月22日 (金)

「終点のあの子」

柚木麻子「終点のあの子」文春文庫

痛くて切なくて、熱っぽくて恥ずかしくて、懐かしくて苦しくて、自意識過剰で可愛くて。
女子高校生の話です。

狭い世界での一生懸命。
タイプの違う女子高校生たちが、それぞれ自分の居場所を探して、もがく様子をリアルに。
典型的なタイプのようで、ちょっとずつ意外な面も持っているんですね。
さわやか、というとちょっと違うけど、基本は前向き。甘さもないではない雰囲気。
読後感も良いです。

世田谷にあるプロテスタント系の私立女子校。
最寄り駅はいつも何かの工事をしています。
希代子と森ちゃんは、中学から進学した内部生で、真面目なタイプ。
高校の入学式に、一人だけ制服を着ないで来た子がいました。
奥沢朱里というその子は、写真家の娘で帰国子女。
どのグループにも属さず、気分次第で色々な子と一緒にいました。
希代子は強く惹かれていくのですが…

やや取り残された森奈津子は、校則では禁じられているバイトを始めてみたり。
マイペースな朱里は、だんだんクラスから浮いていきます。
希代子の気持ちは、こじれていく…

恭子はクラスでも目立つ華やかな美人で、大学生の恋人がいると評判になっていました。
ところが、その彼が朱里を車に乗せたことから、別れてしまう。
退屈な夏休み。恭子は図書館で偶然、早智子と出会い、本の話をして、意外に楽しい時を過ごします。
漫画研究会に入っている早智子は、クラスでは全く別なグループなのですが。
早智子から見れば派手な存在の恭子ですが、恭子もお嬢様育ちというわけではないんですね。

おかしかったり、哀しかったり。
朱里の大学時代の話で締めくくり。
忘れたかった希代子のこと、その気持ちをふと思いやる…
ぶつかりながらも成長していく彼女たち。なかなかいいですよ~。

著者は1981年生まれ。
立教大学卒。
2010年5月発行のこの作品が初の単行本。

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