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おすすめ本

2012年1月23日 (月)

「北の夕鶴2/3の殺人」

島田荘司「北の夕鶴2/3の殺人」光文社文庫

伊坂幸太郎のエッセイに取り上げられていたので、読みました。
吉敷竹史シリーズの前の作品は読んでいます。

警視庁捜査一課の吉敷刑事。
別れた妻・通子(みちこ)に、何か異変が?
5年ぶりに電話があったと思ったら、遠慮がちにすぐ切れてしまいました。
吉敷は妻の申し出るままに離婚したのですが、かって忙しさに紛れて、全くほったらかしだったことを後悔しているのでしたが…

今、放っては置けないと決意。
吉敷は、あたりをつけて上野駅へ向かいます。
発車直後の「ゆうづる九号」の窓辺で、こちらを見る彼女の姿を胸に刻みます。
ところが、翌日、通子のカーディガンを着た遺体が発見された!
通子ではないなら、今度は通子が犯人と疑われることになる…
吉敷は単身、捜索の旅に出ます。
青森、盛岡、釧路と、怪我まで負いながら、雪の中で奮闘することに。

離婚は、突然妻に言い出されたもの。
回想の中での通子の様子も。
この刑事は、とても穏やかで優しい淡々としたイメージだったのですが…
生来の真面目さが、離婚の寂しさと後悔から、さらに平静に見えていたんでしょうか。
これは~人生の転機に違う面を見せる大事件なんですよ。
かなり、とんでもない展開に。
これ以上はネタばれになるので、書けないけど…
うは~さすが、島田さん!

2011年11月17日 (木)

「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」

島田荘司「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」光文社文庫

1900年、夏目漱石がロンドンに留学したとき、
あのシャーロック・ホームズと出会っていた?

漱石が下宿を転々と変えたのは事実。悶々としていて、帰りの船まですっぽかすという奇妙な行動を取ったんですね。
その理由とは?
新たな手記が発見され、ホームズとの関わりが明らかに!というお話。

漱石は、どこからともなく聞こえる「出て行け」という幽霊の声に悩まされ、脅えるように引っ越しを重ねていました。
ベイカー街のクレイグというシェイクスピア学者の元を毎週、訪れていたのですが。
問題があるならと紹介されて、ホームズを訪れると、もうそんなことは起こらないでしょうと言われ、事実ぱたっとやんだのです…

夏目漱石の視点で書かれた出来事と、ワトソンの筆になる未発表原稿との食い違いが面白い。
ホームズはコカインの影響か?しだいに奇矯さを増し、事件捜査の腕が鈍っていたという。
忍耐強く、じつは切れ者という評判のワトソンは、それをかばっていたということになっています。
ライヘンバッハで滝に落ちたというのも長期入院のための苦肉の策。そのために食い違いが多いのだとか。

変装したホームズのまるわかりの様子に驚愕する漱石がおかしい。
だがホームズは人々に愛され、信頼されていたために、誰も指摘しないのではと考えるのでした。

時を同じくして、ホームズにはメアリー・リンキイ夫人の依頼。
プライオリィ・ロードに立派な屋敷を構えています。
夫を亡くして、行方知れずだった弟キングスレイを捜し出したのですが…
共に暮らしだしたものの、キングスレイの部屋は東洋趣味の物でいっぱい。
ろくにものを食べず、暖炉もたかずに狭い部屋に閉じこもる弟。
部屋にあった古い箱を夫人が開けようとしたら激怒、呪いが解き放たれてしまったという。
そして弟はミイラとなって死んでいた‥内側から釘付けされた部屋で?

日本と中国の区別もつかない当時のイギリス人。
まあ、そうでしょうかね‥
漱石は、甲冑だけが日本のものと断言。
小さな紙切れに書かれていた文字は、日本語かも知れない?が意味は不明…

事件解決の後、漱石は自分の抱えた過去の苦悩(これは創作?)から、いまだ療養中の夫人に対して、ある思いつきを‥
そして感動のバイオリン!
帰国が遅れた理由まで。
面白かったです。

2011年7月 8日 (金)

「写楽 閉じた国の幻」

島田荘司「写楽 閉じた国の幻」新潮社

面白かった~!
失意の研究家が、写楽の正体を追っていく話です。

塾教師の佐藤貞三は、元々は北斎の研究家。
しだいに仕事も家庭も上手くいかなくなっていくという状況の中、ある日、悲劇に…

一緒に連れて出かけた幼い息子が勝手に走り出てしまい、事故にあったのです。六本木の茂木タワーの回転ドアで。
妻と義父は激怒、佐藤は言われるままに家を出ることに。

絶望の日々、ふと手に入った一枚の古い絵。江戸時代の肉筆画はデフォルメがきつく、まるで写楽を思わせるような筆致。
まさか、これは…?
それをきっかけに、写楽の正体をめぐって、思いがけない探求の旅が始まりました。

回転ドア事故の調査委員会に一人だけ呼ばれた佐藤は、東大工学部の教授だという美しい女性、片桐に出会います。
佐藤の妻と義父がビルやドアの会社を訴えたため、訴訟に使うためではないのでと調査委員会では除外されたのでした。
佐藤はまだその後に自殺しかける状態でしたが、様子を見ていた片桐教授に救われ、ほのかな交流が始まります。

ところが突然、佐藤がいぜん出した本の批判が雑誌に載ります。
訴訟のためにイメージダウンを狙った相手方から、インチキ学者のような悪評を立てられ、危機に陥れられそうになるとは。
それを跳ね返すためにも新説の本を出そうと、出版社に応援されることに。

江戸時代の描写も挟まり、躍動するように筆力がのって、いきがいい。
写楽は魅力がありますからねえ!
春信、歌麿、北斎と絵柄は区別がつくけれど、年代や性格の違いなど、よくは知らないので、とても面白く読みました。

写楽はわずか10ヶ月ほどの間に、140点もの多作。
版元の蔦屋重三郎が、いきなり上等の刷りで、新人の作品を出したのはなぜか?
異版が多く、売れて増刷されたのは確かだという。
どうして誰も写楽の正体について言及していないのか。
歌麿が、悲憤に満ちた言葉を書き残していた意味は?
さらに、オランダの資料まで調べていくと‥…?
とんでもない展開なのに~いくつか見落とされがちな点に整合性を通した推理で、説得力があります。

子供の事故死は創作といえどもむごいけど、回転ドアの不備がいかにして起こったかを具体的に描き、告発的な意味があるようです。
そして、日本で起こりがちなことに警鐘を鳴らしている点では…
真面目に研究し工夫するうちに、経済や見栄えが優先されて、大事なことをどこかで見落としてしまうという。
原発の事故も思い起こさせますね。

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