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2019年3月 3日 (日)

「デンジャラス」

桐野夏生「デンジャラス」中央公論社

谷崎潤一郎の家庭をモデルに、文豪がモデルとして必要とする女たちの葛藤を描きます。
「細雪」のヒロイン・雪子のモデルだった重子が主人公。

谷崎の3人目の妻・松子は現れるだけで場が華やぐような女性。
その妹の重子はそれほど目立たないが、小説「細雪」での「雪子」は4姉妹の中で一番大人しいが芯のある、引き込まれるような魅力のある女性として描かれていました。
重子は自分をそんなふうに見てくれた義兄に感謝し、惹かれるものがあったのです。

谷崎は、身近にいる女性との交流の中でモデルを見つけ、作品に昇華していく。
崇めるように愛した妻の松子のことはもちろん、若い女中たちも可愛がり、深い仲というわけではないが何かとお喋りしたり物を買ってやったりしていた。
その反面、好みに沿わない人物は次第に自分の生活から押し出してしまう。そんな冷酷さにも重子は気づいていました。

「細雪」では、婚期の遅れた「雪子」がやっといい相手を見つけ、旅立つ所で終わります。
夫の家柄がいいというのは同じですが、現実の重子の結婚は実はあまりうまく行かなかったよう。
しぶしぶ結婚した相手になにか不満ができると姉夫婦の家に舞い戻り、ここでの生活が一番幸せだと感じます。子供の頃から慣れている習慣や行事なども姉妹で出来るし、女性に優しい谷崎がリードする、かなり優雅な生活ですからね。

しかし、重子がキッチンドリンカーになってしまうとは。
しかも、谷崎がそんな重子にも興味を持ち、かなり気に入っていた様子なのがまたなんとも‥
重子が養子にとった跡取り息子の嫁・千萬子は若くて物怖じしない、小説にも流行にも詳しい女性。若い世代の動向を知りたい谷崎の気持ちを掴み、すっかりお気に入りとなります。
姉の松子とともに、苦々しくそれを眺める重子。
完全に負けたかと思われましたが‥
意外な勝ちポイントを掴むことに。
このあたりは創作なのでしょう‥か?

谷崎がイメージして作り上げたやや歪んだ麗しい環境で、意識し合う女たち。
綾なす世界の層の厚さ、危うさ、妖しさ。
谷崎作品を全部読んでいるわけじゃありませんが~
「細雪」は大のお気に入りの小説なので、満足の行く読み応えでした。

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