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2014年2月 1日 (土)

「きみはいい子」

中脇初枝「きみはいい子」ポプラ社

新興住宅街の同じ町を舞台に、連鎖する虐待や学級崩壊、介護などをとりあげた連作短編集。
深刻な題材の割にはさらりと読める切り口で、さまざまな角度から見えるために風通しがいい感覚があります。

「サンタさんの来ない家」
桜が丘小学校の教師になって2年目の岡野。
1年目に学級崩壊させてしまい、何とかそうはならないように必死で食い止める日々でした。
クラスの中で給食をいつもおかわりするカンダという子の異変に気づき、この子だけは助けようとする‥
今の教師の大変さを知らない人には、読んでみてもらいたい気がします。
従妹が教師で、似たような話を聞いたことがあるので。

「べっぴんさん」
公園に集まるママ友といる間だけは、娘のあやねを怒鳴らないでいられる母親。
他のママたちだって、家では虐待しているに違いないと疑っていました。
はなちゃんママの家に遊びに行ったとき‥

「うそつき」
自営業15年、子供の学校のPTA会長をしている杉山。
長男の優介は4月1日生まれでクラスの中で遅れがちでしたが、だいちゃんという友達が出来たのです。
だいちゃんは家で世話してもらえないらしい‥
幸せなひとときがあった記憶が、だいちゃんを救ってくれるようにと思うのです。

「こんにちは、さようなら」
老いてから戦争中のことなどをいろいろ思い出す女性。
小学校の通学路にあるため、1年生は毎年春に玄関ベルを鳴らしていきます。
いつも道で会うと挨拶をしてくれる可愛い子に、じつは障碍があると知るのですが‥
謝りに来た若い母親に、とても良い子だと話すのでした。

「うばすて山」
子供の頃に虐待された母を一時だけ預かる女性・かよ。
母に虐待されなかった妹が、いつもは世話をしているのです。
母は認知症で子供に戻ってしまい、娘を育てた記憶も失って、自分の母のもとへ帰りたい様子なのを、ずるいと思います。
高校の頃、母を愛せない自分が悪い子なんだと思っていたときに、担任の先生が「そんなにひどいお母さんなら、嫌いでいいんだよ。無理に好きになる必要はないんだよ」と言ってくれたこと。
母親に優しくされた遠い記憶を一つだけ、思い出す‥

いい記憶を一つだけ、大事に抱きしめて。
その愛おしさが希望になりますね。
ほのかにあたたかい余韻が残りました。

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