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2013年7月 8日 (月)

「護りと裏切り」

アン・ペリー「護りと裏切り」創元推理文庫

あちらでは人気作家のアン・ペリー、祝!久々の翻訳。1992年の作品。
「見知らぬ顔」「災いの黒衣」に続くシリーズ3作目。

記憶を失った元警官ウィリアム・モンクと、看護婦ヘスター・ラターリィと、有能な弁護士オリヴァー・ラスボーンの3人が登場。
協力しつつも、それぞれ独立した立場と見方で、事件の様相を探ります。

ヘスターは、クリミア戦争でナイチンゲールの下で働いた経験を持つ看護婦。
友人のイーディスから、相談を受けます。
晩餐会の夜、イーディスの兄サディアス・カーライアン将軍が殺されました。
妻のアレクサンドラが自白しましたが、義姉がそんなことをするとはとても信じられないと。
誰かをかばっているのではと思うヘスターだが‥?

武勲華々しい将軍に、実は浮気の疑いはありました。
が、そんな理由では夫を非難するだけでも、1857年当時のイギリス上流社会では認められないこと。まして殺したのでは絞首刑は免れない‥
職業婦人がめったにいない時代。
ヘスターの微妙な立場、上流社会の生活ぶりが丹念に描かれます。
モンクの捜査でわかることと、ラスボーンの聞き取った場合と、見え方がそれぞれ違う。
じりじりさせられる展開ですが~これがすべて伏線に!

3人が微妙に惹かれあっているのも、シリーズのお楽しみ?
本屋さんで表紙が見えるように並べてあったので、ちょっとびっくり。
時代色の濃い作品を得意とするサラ・ウォーターズか、綿密にえぐるように描く作風のミネット・ウォルターズあたりの読者層を狙ってのことかしら?
歴史ミステリが好きな私は、もろに読者層です♪

ヘスターは、雇い主のティップレディ少佐に励まされ、事件の経過を報告し続ける。
この少佐が感じのいい人なんですよ。
友人イーディスに頼まれて、事件後に険悪な空気の漂う堅苦しい家庭にも足を踏み入れる。
高圧的な祖母、居心地の悪そうな姉娘、表情を変えないその夫、不安定らしい孫娘と思春期の息子。
浮気相手と噂された派手な女性とその一家。
皆、何かを隠している‥?

アレクサンドラは自供しただけで沈黙を守り、真の動機を明かさない。
事情によっては、死刑を免れることはありうるので、残された子や家族のためにもと、ヘスターも努力を続けるのですが。

私立探偵のモンクは記憶を失った元警官。
しきりに記憶から浮かび上がる美しい女性は誰なのか?という問題も抱えていました。
突き止めるために、気のいい元部下エヴァンの協力を得て、過去の事件の現場を訪れますが‥
記憶を失う前のほうが厳格で人付き合いの悪い性格だったらしいモンク。
ヘスターともやり合うのですが、どこか魅かれ始めている?

いざ公判になると弁護士ラスボーンの見せ場。
希望のなさそうな裁判の描写がしだいに盛り上がり、息もつかせぬ迫力。
陪審員や判事の偏りも、現代とは違うんですね。
子供は夫のもの、という妻には親権のない時代の実情が突きつけられます。
読み応えがありました。

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