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2013年5月 3日 (金)

「解錠師」

スティーヴ・ハミルトン「解錠師」ハヤカワ・ポケット・ミステリ

錠を開く才能がある少年の進んだ道は。
切ない初恋に心貫かれます。

8歳の時の事件以来、口を利くことが出来なくなったマイク。
「奇跡の少年」と報道され、カウンセラーにもかかりました。
酒店を経営する伯父に引き取られ、ミシガン州デトロイトの小さな町で育ちます。
高校の美術クラスで思いがけず才能を認められ、初めての友達が出来ました。
17歳半の時、上級生が卒業間近の夜の悪ふざけに、マイクが錠を開く才能を使うように求められ、事件に巻き込まれます。

奉仕活動のために被害者マーシュの家に通い、仲間の名を明かすよう求めるマーシュに、炎天下でプールを掘ることを命じられます。
その家の娘アメリアに恋をするマイク。
母を失っているアメリアのほうでも、どこか通じるものを感じたのです。
ほとんど表情も変わらない、話すことが出来ないマイクの中にあふれ出る感情。
気持ちをどう伝えたらいいか悩み、漫画的なイラストにして心の中の声を吹き出しに書いて、彼女の部屋に置いてくるのでした。
ここで漫画という形が出てくるのが、最近の作品ならでは?

今は服役中のマイクの手記という形で、犯罪に巻き込まれていくいきさつと、1年後の事件のなりゆきが交互に描かれます。
錠に魅せられたマイクの特技は、あまりにも危険な性質を持っていた。
大切な人を守るために特技を使うしかなくなり、ゴーストという解錠師に仕込まれ、依頼人を持つ立場になります。
心ならずも犯罪者となっていく中盤は重いですが、犯罪小説としてまずまずの読み応え。
利用されてしまうマイクがかわいそうで、どこか捨て身な態度にもはらはら。
そして、しだいに明らかになる子どもの頃の事件…
一筋の純愛が、希望をつなぎます。
意外に心地良い結末へ。

著者は1961年デトロイト生まれ。
1998年のデビュー作「氷の闇を越えて」で高い評価を得る。
これは2010年発表の作品。
2011年アメリカ探偵作家クラブのエドガー賞最優秀長篇賞と英国推理作家協会のイアン・フレミング・スティール・ダガー賞をダブル受賞しています。
2011年12月翻訳発行。
好評なため、すでに文庫化もされました!

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