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2013年1月 5日 (土)

「スタイルズ荘の怪事件」

アガサ・クリスティ「スタイルズ荘の怪事件」ハヤカワ文庫

エルキュール・ポアロ登場。
アガサ・クリスティの処女作です。
最初から読み直そうかと思いまして。
既に上手いもんですね~!
さすが歴史に残る名作です。

疾病休暇中のヘイスティングズは、30歳。子どもの頃に泊まったことのあるスタイルズ荘に招かれます。
古い知人のジョン・カヴェンディッシュは45歳。2年前にメアリと結婚して、スタイルズ荘に住み、地方の名士として暮らしていました。
ヘイスティングズは、美しいメアリに強い印象を受けます。
スタイルズ荘はジョンの父が再婚した妻エミリーのために建てた物で、遺言で妻に残していました。
ジョンと弟のローレンスにとっては不本意な遺言だったでしょう。
エミリーは寛大な義母ではありましたが、仕切り屋で、人に感謝されるのを好むタイプ。

そのエミリーが再婚したと聞いて、驚くヘイスティングズ。
相手のアルフレッド・イングルソープは、70過ぎのエミリーよりも20歳以上年下で、財産目当てかと誰もが思うほど。
エミリーの長年の友人は、再婚が気に入らず、屋敷を出て行きます。
鍵のかかった部屋で寝ていたエミリーが、夜中に発作を起こして死んでしまう。
毒殺か…?
すぐ疑われたイングルソープには、アリバイがあった…
旧知のポアロと出会ったヘイスティングズは、捜査を依頼します。

1920年というのがすごい。この作品で、以後のミステリの歴史が変わったんですよね。
その割には、古さを感じません。
わかりやすく、ポイントを押さえた展開。
今読むと、ある意味普通かも知れないけど…
これ以後のミステリが、こういう設定や雰囲気に則って書かれているからね。

第一次世界大戦終結間際の設定で、ポワロはベルギーからの難民。
もうすぐ定年ということで、後書きには60近いのではと書かれていますが、どうでしょう?当時の定年はもっと早いのでは…
卵のような頭の形、口ひげを大事にしていて、緑色の目がきらめく、几帳面で天才肌の奇妙な小男の個性は、既にはっきりしています。
急に走り出したり、喜んで躍り上がったりというあたりは、後年の作品よりも若々しい。
若い女性に、何だか可愛いとか言われていて。

ヘイスティングズの一人称によるユーモラスな語り口も楽しい。
ポワロとは対照的に~いかにもイギリス的な(たぶん)真面目で控え目だけど、やや皮肉な性格。
30歳というのは、このときのクリスティ自身と同じ年頃の設定なんですね。

これは2003年発行の新訳。
以前のを正確に覚えているわけではないのだけど、微妙に読みやすいような気がしました。

アガサ・クリスティは1890年生まれ。
24歳の時に結婚してクリスティ姓に、1920年にこの作品でデビュー。
1926年に失そう騒ぎを起こし、28年に離婚。30年に考古学者と再婚。
1976年に亡くなるまで100を越す作品を発表し、世界中で読まれ愛され続けています。

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