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2012年12月10日 (月)

「初陣」

今野敏「初陣 隠蔽捜査<3.5>」新潮社

「隠蔽捜査」のこれまでの3冊や若い頃の事件を、伊丹の視点から描いた短編集。
番外編ですね。
「指揮」「初陣」「休暇」「懲戒」「病欠」「冤罪」「試練」「静観」の8編。

伊丹俊太郎は、竜崎伸也とは小学校が一緒だった幼なじみ。
警察学校で、思いがけなく同期となったのです。
頑固な竜崎の方は子どもの頃にいじめられた記憶があるので、気を許さないと言っていますが。
伊丹にはそんな記憶もなく、自分にはない良さがある竜崎を認め、親しみを抱いていました。

警察内部の事情や、役職による立場の違いなど、面白く読めました。
県警本部の長ともなると、県外に旅行することも滅多に出来ない。
何か起きたときに休暇中では無責任な印象で、すぐ駆けつけることも出来ないかも知れないから。
伊丹が福島の県警本部長だった3年間、妻はそれが不満でほとんど実家に帰ってしまいました。

竜崎は東大出で警察庁のキャリアでしたが、ある事件により、大森の警察署長に左遷されます。
伊丹のほうが、警察庁の刑事部長として、出世街道を上ることに。
警察幹部は東大出がほとんど。伊丹は私立大出なので、主流派ではない。
そのために庶民派としてやっていく道を選びます。
出来るだけ現場に顔を出し、マスコミにも身軽に対応、颯爽として話がわかる上司になろうと、意識的に努力して演出している伊丹。本人は気が小さいと自覚しています。

竜崎から見れば、そういうところは得な性格に見えているのかも。
でも伊丹って素直だよね?
迷いが生じると竜崎には何かと教えを請うていて、一刀両断にずばっと直言される。これがカッコイイんだわ~。
竜崎みたいな人がもっといれば…世の中変わる!?と思いたくなります。

竜崎が子どもの頃にいじめられた事件を、最後に伊丹がふと夢で思い出すエピソードが入っているのも、良いですね。
伊丹の遊び仲間が誤解してやらかしたことで、伊丹の意図したことではなかったため、悪気がないままだったという。
おやおや、変わらぬ好意が続いていたということ?
誤解があったわけだけど~伊丹は子どもの頃に止めなかったのだから、竜崎にしたら、イヤだよね。

本編では、竜崎の方も、何かと伊丹の好意に助けて貰っている印象があったけど、当人は案外意識していない?
その辺の微妙なズレも楽しめます。
2010年5月発行。

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