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2012年11月18日 (日)

「ユリゴコロ」

沼田まほかる「ユリゴコロ」双葉社

嫌ミス(いや~な感じのミステリ)だけど妙に読みたくなるという作風で評判の作家。
た、確かに…これも衝撃的な作品だけど、構成がはっきりしていて、読みやすい。
「猫鳴り」のほうが純文学的ねっとり感がありましたね。

亮介は、「シャギーヘッド」というペットと過ごせるカフェを経営していました。
身近で、次々に意外な出来事が起きます。
店で働く千絵と婚約したら、二ヶ月後に突然、部屋を引き払って行方不明に。
癌宣告された父が治療を拒み、家族は父の死を覚悟する日々となりました。
そうしたら父よりも先に、母の美紗子がふいに交通事故死してしまったのです。
その一ヶ月前頃から、母は様子がおかしかった…
ある程度は流行っていたカフェも、店長の亮介が暗い顔をしていて元気がないので、スタッフの細谷さん任せとなっています。

父の家の押し入れで、遺品らしき品と、「ユリゴコロ」と表紙に書かれたノートを見つけます。
それは、殺人者の手記でした。
幼い頃、自分から喋ることがなく、何度も精神科にも連れて行かれたという。ユリゴコロはその時に聞いた医者の言葉を聞き違えたもの。
創作か? 誰が書いたのか?
父か母としか思えないが、字でははっきりしない。

亮介は子どもの頃に、自分が一時入院していて退院したとき、母親が別人に入れ替わったと感じたことがありました。
あれは本当だったのか…?
大学生の弟の洋平とは、母親が違うのか?
父に隠れて、少しずつ読み進む手記。
弟に協力して貰い、戸籍を調べ始めます。

淡々と書かれている殺人者の手記に迫力があり、怖いです。
子どもの頃に目撃したあることから死に取り憑かれ、平気で殺人を犯してしまい、意外に疑われることもつかまることもない。
中盤は、全く救いがない印象ですが…

後半はぐっと事態が動いて、意外な展開に。
ごく普通の人間である亮介が、親の世代の出来事を思わせる事件の渦中に立ちます。
誰にでもお勧めというほどではないけど、かなり面白かったですね。
救いを感じさせる結末まで持ってくる力業に、著者の人生の年輪を感じました。

2011年3月発行。
著者は1946年生まれ。
主婦、僧侶、会社経営を経て、50代で作家デビュー。

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