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2012年10月 7日 (日)

「誰かが足りない」

宮下奈都「誰かが足りない」双葉社

さらっと読めます。
切なくて、ほのかに暖かい。

「ハライ」という名のレストランは、煉瓦作りの古い一軒家。
料理が美味しいと評判で、予約を取るのも大変だという。
席に座って、あたりを見回し、空いている席を見て、誰かが足りないのかと思う…
「ハライ」に予約を入れた人物、それぞれの物語が描かれます。

予約1は、北の町から出てきた青年の話。
大学で4年、勤めて4年。
この町を8年間動かなかった人間は、同級生にも少ない。
両親が待っていることを知りながら、帰らなかった。
一時は内定した会社が卒業前に倒産、今は水口商事というチェーンのコンビニで働いているのです。
学生時代から付き合っていた未果子が、ある日突然、他の男と結婚すると知ります。
この町で就職したのは、未果子のことがあったからだったのに。
未果子が美味しいと言っていた「ハライ」という店のことをふと思い出す。聞き流していたが、一緒に行こうと言うべきだったのではないか…?

予約2は、認知症になっている女性。
「最近何かニュースはありましたか」と家族にもよく聞かれるのをあまり好きではありません。
(認の進行ぐあいを確かめるための質問らしい)
夫が亡くなったことを忘れてしまったり、気がついて悲しんだり。
孫娘のあかりと、ハライに行く約束をするが、そのいきさつも忘れてしまう。
ただ、夫とハライに行こうと楽しみに考えるのでした。

予約3は女ひとりで係長になり、何かと尻ぬぐいばかりさせられるのに残業代がつかなくなっている女性。
隣の家のヨッちゃんの車が駐めてあるのに気づきます。

予約4は、引きこもりの青年とその妹の暮らし。
兄は、カメラを回しながらでないと人と話せない。
3年前に母が病気で亡くなってから、人が信じられなくなっていました。
姉が結婚をためらっているのに気づいて、杖か楯のようにビデオカメラを抱えて人前に出るようになります。
高校生の妹は兄を心配し…

予約5は、ブッフェレストランで料理している男性。
よく来る女性客に、本格的に作ったつもりのオムレツを出すと、これはぐちゃぐちゃの失敗作だと言われてしまう。
彼女が疲れている様子なのが気になり…

予約5は、子どもの頃から、なぜか、失敗の匂いに気がつくという女性・留香。
叔父が失踪し、後悔していましたが…
失敗がいけないんじゃない、そこで絶望しなければいいんだ、というメッセージ。
そして、おいしい物を食べましょう☆

2011年10月発行。

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