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2012年10月25日 (木)

「サクソンの司教冠」

ピーター・トレメイン「サクソンの司教冠」創元推理文庫

7世紀アイルランドの修道女フィデルマが活躍するミステリ。

初めてローマを訪れたフィデルマ。
所属する修道院の目録を、ローマ法教皇に認めて貰うため、という使命をになっての訪問です。
フィデルマは20代後半で、弁護士資格も持つ、さわやかな美女。
前作で出会ったエイダルフ修道士の一行と共に、ここまで無事に旅をすることが出来ました。

ところが、ローマの地で、事件が勃発。
カンタベリー司教に決まっていた人物が、殺されたのです。
ローマに奉納するはずの宝物が、盗まれていました。
アイルランド人の修道士が不審な行動をしていて、すぐに逮捕されましたが、事実関係が確かでないと、アイルランドとサクソンの間に戦いが起こりかねない事態に。
フィデルマはエイダルフと共に、捜査に当たることになります。

ローマには、各国からの訪問者が滞在していて、国際色豊かな場となっていました。
次期カンタベリー司教の座を待ち望む野心家の修道院長や、そのまた後を狙う修道士。
ケント王妃の妹で権高な尼僧院院長など。
それぞれの下で働く修道士にも、個性があります。

フィデルマとエイダルフは、互いにほのかな好意と強い信頼を抱いていますが、今回の事件ではちょっと意見が分かれる。
犯人は自明だろうと考えるエイダルフ。
その思いこみにやや苛立ちながら、正確に一歩ずつ進めようとするフィデルマ。
言い争いになると~いたずらっぽい笑顔で空気を変えようとするフィデルマは、ちょっとツンデレ?
フィデルマの方が正しいとわかったときに、エイダルフが怒らずにむしろ嬉しそうなのが印象的です。

エイダルフはサクソンの修道士で、ケルト系のアイルランドとは修道院のやり方にも違う部分があります。
サクソンというのは、当時のイングランドの支配階級といった感じでしょうか。後にノルマンに征服されますが。
どこの教会もローマに発しているので、ローマの権威は認めていますが、各地の風習と融合して独自に展開した部分もあるのですね。

フィデルマの過去の恋愛の話なども出てきます。
若い頃に恋人が出来たが、その別れの苦しみがいまだに完全には治っていない。
その後も何度か短い付き合いはあったという~修道女とも思えない発展ぶり。
優秀さが仇となって、やや恋愛経験の少ない現代のキャリアウーマンと、まったく同じ?!
意外に近いのだと言いたい設定なのでしょうか。

何冊も翻訳されて出ている人気シリーズですが、これ実は長編2作目。
1作目がこの前に発行されました。
長編の1作目、2作目は日本人にはとっつきにくいであろうと後回しにされたようです。
1作目は有名な公会議が舞台で、欧米の人なら元々ある程度知ってはいるんでしょうね。有名といっても日本人にはねえ…

当時の修道士や修道女は、結婚も出来るんですね。
僧院長など高い地位の場合にだけ、独身が奨励されていた。
最初から男女が一緒に暮らして、集団で子どもを育てるシステムになっている修道院さえある。
しかもアイルランドでは意外に女性の地位が高く、資格を取れば同等に働くことが出来る。これはローマ人には驚きの制度のよう。
フィデルマは弁護士資格を持ち、それが裁判官も出来る高位のもの。
しかも実は、王家の血筋という無敵な設定。
利発な少女は、師に可愛がられたのでしょうね~。

でも、出向いた先ではアウェーなので、孤軍奮闘あちこちで偏見にさらされるんですよ~。
そのへんもある意味、現代的?
依頼に応じて、難題に立ち向かい、捜査のために馬車を走らせて危険な土地や洞窟にまで赴き、時には大立ち回り!
偉そうにしている方々にはない能力を駆使して。
ついには、フィデルマの裁定を認めさせるのです。
今回も、助手を務めるローマ人の衛兵隊の小隊長が、次第に感服した様子になるのも面白い。

癖の強い登場人物がそれぞれに欲望に負けたり、馬脚を現したりする中で、フィデルマの清新さが一筋の希望のように感じられ、さわやかな後味を残します。
1995年の作品。
2012年3月翻訳発行。

改行が表示出来なくなってしまいました!
間違って触れたら、戻せなくなって…
ズレを補正出来るとかいうアイコンなんだけど。いらねー!
もう一度押したら戻せるようにしておいて欲しかった。
う~ん…??

あ、最後のだけ改行出来てる?

ツールバーで指定を解除してみた!のに…??

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