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2012年9月 1日 (土)

「湖のほとりで」

カリン・フォッスム「湖のほとりで」PHP文芸文庫

ノルウェーの犯罪小説の女王による~世界的にヒットした作品。
イタリアに舞台を移して映画化された作品も高く評価され、イタリアの映画賞を10部門独占しています。

フィヨルドの奥、山裾の谷間の村。
風光明媚な湖のほとりで、若い女性の死体が発見されます。
コンラー・セーヘル警部は、若い部下のスカッレと共に、行方不明の小さな女の子ラグンヒルのために村を訪れていました。
ラグンヒルは、ダウン症のライモンという男に誘われて、家で遊んでいただけとわかったのですが。
この二人が、その死体を発見したのです。

身元は、まだ15歳の高校生アニー・ホランドでした。
ハンドボールのゴールキーパーだったが、今はやめて、一人で走っていたという。
子供好きで、近所のベビーシッターをよくやり、快活な性格だったのですが、14歳の頃に変わってしまったらしい。
思春期だからと親はいうのですが…何かがあったのか?

アニーのBFハルヴォールは18歳で、疑われますが、体力のあるアニーよりも華奢なぐらいで、動機も見あたりません。
祖母と二人暮らしで、祖母の介護をしている優しい子なのです。
ハルヴォールは、父親が暴力をふるう家庭で育っていました。
セーヘル警部は、少年が何か隠していると睨みます。

アニーの家庭は母親アーダが再婚しているので、あまり似ていない姉セルヴィは異父姉。セルヴィは美容師で、外見のことと男のことしか頭にない様子。とはいえアニーとは仲が良かったのです。
アーダはややヒステリックな女性で、セルヴィの父親アクセルを拒否し、アクセルは娘に会えなくなって絶望していました。

幾つかの家庭に起きた不幸。
その巡り合わせが、事件の背景にあったのです。
誰もが顔見知りの村なのに、孤独な人々。
北欧といえば福祉が充実している印象ですが、福祉の手が届かない家庭の問題がいたましい。

セーヘル警部は50歳ぐらいで、誠実な人柄。最愛の妻に先立たれて、あまりたっていない。
娘夫婦が養子にした孫を可愛がっていますが、彼らは近いうちに遠い国へ行くことになりそうなのです。
しみじみとした空気が流れる作品です。

作者は1954年生まれ。
20歳で詩集を発表。
1995年にセーヘル警部のシリーズをスタート。
16ヵ国以上で翻訳され、ベストセラーに。
この作品で1997年の「ガラスの鍵賞」を受賞。
これは北欧五ヵ国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド)のミステリを対象に、スカンジナビア推理小説協会から送られる賞です。

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