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2012年9月 5日 (水)

「ヴェネツィアの悪魔」

デヴィッド・ヒューソン「ヴェネツィアの悪魔」武田ランダムハウスジャパン

ヴェネツィアを舞台の歴史ミステリ。
現代の事件と、18世紀の出来事が交互に描かれます。

どちらの年代でも、ヴェネツィアを訪れた純粋な若者と、作者不明とされる美しい曲、バイオリンの名品ガルネリ、バイオリンを弾く美しい娘が出てくるので、やや混乱しますが。
しだいにシンクロしながら~盛り上がるのです。

まずは現代。
墓地の管理人が殺され、その日開かれた棺桶の中からは何かが盗まれていました。
10年前に死んだ若い娘の遺体が、抱いていたのは…?
何か貴重な物が売られるという噂が流れ、女刑事ジュリアが謎を追究します。
10年前の事件を含めると、三重の構造。

イギリス人の学生ダニエルは、ヴェネツィアの古い邸の蔵書を整理するために、夏の間だけ滞在することになりました。
骨董商の老人スカッキが住む邸には恋人のポール、手伝いの女性ラウラも住んでいます。
個性的な面々と馴染んだダニエルは、地下の壁から、古い楽譜を発見します。
美術専門家のヒューゴ・マシターに、売却を持ちかけることに。
マシターは慈善家としても知られるが、実は故買屋でした。

ダニエルは、音楽講座で、アメリカ人のまだ若いバイオリニストのエイミーと出会います。
ダニエルの作品と称して、エイミーに試しに弾いて貰うと、じつに良い曲なのです。
素晴らしい曲を作ったダニエルに惹かれるエイミー。
ダニエルの物ではないと見抜いたマシターですが、作曲者は無名で、どちらにしても著作権が切れているので、お金にはならないとマシターに聞かされ、ダニエルはある取り引きを持ちかけられます。

18世紀、ガルネリの弟がまだ存命で、バイオリンを作っていた時代。
親と財産を失った少年ロレンツォ・スカッキは、叔父の元に身を寄せて下働きをしていました。
叔父のレオは出版社をやっていたのです。
叔父の命令で、ユダヤ人の美少女レベッカ・レヴィをこっそり連れだし、教会のバイオリン弾きに参加させる企てに乗ります。

当時、ユダヤ人は、塀で囲われた特定の島に住まわされ、夜間の外出は禁止だったのです。
まして、キリスト教会への出入りなどはとうてい出来ないこと。
レベッカは美しく才能がありながら、女性とユダヤ人という意味で社会的には二重に否定されている存在でした。
教会での演奏は姿を見せないので、可能と見込んだのです。
レベッカは、自作の曲で認められることを夢見ますが…?
ロレンツォはレベッカと行動を共にするうちに、恋に落ち、レベッカを守ろうとします。

土地が狭いのでお墓も10年しか保管してくれない場所があるとか、ヴェネツィアならではの状況も。
18世紀の状態は、特に興味深いです。
司祭で作曲家のヴィヴァルディが、年はとっているけど指揮をしていた頃。
通称をピエタという慈善院の音楽会も、行われているのです。
(大島満寿美の「ピエタ」と同じ場所と時代だということですね)
現代では、そこもすっかり改装されているそうですが、出てくるとちょっとときめきますね。

スリリングな展開で、上巻でつかみかけた愛と幸運が暗転、どちらの時代でも大波乱が。
それが時代を超えて繋がってくる所も圧巻。
ダニエルが大人になっていく様子が頼もしい。
フランスのルソーが滞在しているときの、おかしなエピソードも。
18世紀のエピローグも、面白かったです。

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