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2012年7月19日 (木)

「凍てついた墓碑銘」

ナンシー・ピカード「凍てついた墓碑銘」ハヤカワ・ミステリ文庫

ナンシー・ピカードのシリーズ外作品。
力作です。
猛暑なのに季節感真逆ですが~一瞬、寒い気分を味わって?

カンザス州の田舎町スモール・プレインズ。
17年前の雪の夜、若い娘の全裸死体が発見されました。
身元は不明のまま、名前のない墓だけが作られます。

アビー、ミッチ、レックスは、仲の良い幼なじみでした。
この事件で、3人の人生が変わってしまうのです。
アビー・レイノルズは16歳になり、恋人のミッチと一夜を明かそうとしていましたが、思いも寄らぬ展開に。
アビーの父は医師で、家に死体が運び込まれたのです。
レックスとその父、兄のパトリックの3人が牧場の見回りに出て、死体を発見したのでした。
大学を退学になって自宅に戻っていたパトリックは、家にいたことを隠していました。

アビーといたことがばれたミッチもまた、両親によって強引に別な街の高校に転校させられ、アビーとは二度と会えないまま、時が過ぎます。
ミッチの父は堅物の判事。
母ナディーンはきつい女性で、ミッチにアビーはふさわしくないと言い、妊娠してすぐ結婚しようとする娘とは付き合わせてはおけないと言ってのけたのでした。
アビーの母マージーは怒りますが、小さな町での近所付き合いはそう角を立てられない。
人気者のミッチをアビーが町から追い出した?という~妙な噂になってしまう。

あまりのことにアビーは納得がいかないまま、ミッチの飼っていた鸚鵡のJ・Dを盗んで、密かに飼います。
やがて園芸の仕事を始めますが、結婚はしないまま。
昔より少しはマシになったパトリックと、時折付き合うようになっていました。
パトリックに結婚を言い出されたのには驚き、姉にも反対されるのですが。

名前もない墓はいつしか伝説となり、聖処女として願いを叶えてくれるという噂が広がっていました。
アビーは根拠がないと憤り、身元を調べようと思いつくのですが。
今は保安官になっているレックスは、妹のように可愛いアビーを気遣います。
実は、死んだ女性の名前を知っている人物はいた…

ミッチの母ナディーンは、60過ぎて認知症になり、吹雪の夜に家をさまよい出ます。
よその世界で成功した噂も聞こえるミッチですが、両親に追い出されたと感じていました。
5月になって墓参りだけはとメモリアル・デーの祝日に町を訪れ、実家のランチハウスにとりあえず泊まります。
すぐには、父親と養子の弟と顔を合わせづらかったのです。
おりしも、嵐がこの地方を襲ってくる…

過去の出来事が、どう絡み合っていたのか?
痛ましくも不運なすれ違い。
人生が変わってしまった人々が、どう生きたか。
スリリングだがロマンスもあり、読み応えのある内容でした。
アガサ賞とマカヴィティ賞をダブル受賞しただけのことはある作品。

著者はミズーリ州生まれ、カンザス州在住。
1984年「死者は惜しまない」で作家デビュー。ジェニー・ケインのシリーズは10作を数える。2000年からは別シリーズを発表。
「結婚は命がけ」でマカヴィティ賞、「虹の彼方に」「悲しみにさよなら」でアガサ賞連続受賞。「悲しみにさよなら」ではマカヴィティ賞もダブル受賞。
本作は2006年発表、翻訳発行は2009年。初のシリーズ外作品。

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