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2012年6月29日 (金)

「シャンハイ・ムーン」

S.J.ローザン「シャンハイ・ムーン」創元推理文庫

シリーズ最新作にして最高傑作。
ニューヨークの私立探偵、リディア・チンは小柄な中国系。
独立を保ちつつも時に協力し合うのが、大柄な白人男性のビル。
1作ごとに交代で、視点を変えて描かれています。

前作は、ビルの視点で。
ビルの過去に絡む事件が起き、動揺したビルからは、まったく連絡が来なくなっていました。
内心、怒りまくっているリディア。
4人の兄がいる末っ子のリディアは、昔気質の母といまだ同居しています。
私立探偵という仕事にも、チャイナタウンに住む家族のほとんどは不賛成。
まして、ビルとの関係には、神経をとがらせていましたが。

やっと連絡を寄越したビルと、捜査に掛かります。
態度を硬化させていたリディアが、だんだんほぐれてくるのも楽しい。

リディアの旧知の私立探偵ジョエルから依頼が来て、弁護士のアリスに会い、消えた宝石探しを手伝うことに。
ところが、ジョエルが殺されてしまう。
アリスは急に手を引くように言い出しますが、とてもそうはいかないリディア。
戦時中の上海で起きた事件に、端を発しているようだったのですが。
シャンハイ・ムーンとは、今も皆が探し求めている幻の宝石でした。

オーストラリアから上海に亡命した若いユダヤ人女性ロザリー・ギルダーが母に当てて書いた手紙が、ありありと当時の事情を伝えます。
ナチスの脅威、残っている母達の心配、収容所での苦難、弟への思い。
読み込んで~感情移入するリディア。

ロザリーは、上海で名門の中国人チェン・カイロンと恋愛結婚し、それは現地の白人達にとっても中国人にとっても衝撃的なことでした。
子供ももうけたのですが、混乱期に強盗に襲われて、宝石を奪われたらしい。
ニューヨークには、その子孫が生きていた!
今も、シャンハイ・ムーンに取り憑かれて…
複雑な人間関係、家族の感情のもつれが痛ましく、印象に残ります。

リディアの母の態度が軟化しているのが、ビッグニュース!
微笑ましい。

シリーズは「チャイナタウン」1994年に始まり、「ピアノソナタ」「新生の街」「どこよりも冷たいところ」「苦い祝宴」「春を待つ谷間で」「天を映す早瀬」「冬そして夜」2002年の順。
ほかに短編集「夜の試写会」も。
本作は2009年で、前作からずいぶん空いたんですね。
2011年9月、翻訳発行。

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