フォト

おすすめ本

« 「ダイイング・アイ」 | トップページ | 北海道展のまかない丼 »

2012年6月12日 (火)

「白い雌ライオン」

ヘニング・マンケル「白い雌ライオン」創元推理文庫

スウェーデンのミステリ。
警部クルト・ヴァランダーが主人公のシリーズ3作目。
ここから分厚くなってます。

イースタはスウェーデン南端の田舎町ですが、交通の要衝にあるため、国際的な事件も起きうるのでした。
今回は、思いも寄らぬ南アフリカ共和国の陰謀に巻き込まれます。
南アフリカでの人種問題をさかのぼるプロローグから、重厚に書き込まれています。
国際的なベストセラーになった理由がわかる気がしました。

ヴァランダー個人は妻に出て行かれたのはもう諦めたものの、次の一歩は踏み出せず、落ち着かない精神状態。
ストックホルムに住む娘のリンダが心配で、いつも会いたがっていますが、なかなか上手くいかない。
捜査のためにストックホルムに出向くと、リンダがすっかり大人の女性になっていることに気づかされます。
クルトの父親は画家で、すこし呆けかけているような兆候もあるのですが、家政婦と結婚すると言い出して、ヴァランダーを焦らせます。

ごく普通の主婦が3日、行方不明に。
おそらくもう死んでいるだろうと感じながらも口には出せず、捜査に取り組む署員。
捜査していくと、主婦にも意外な側面があったりはするのでしたが。
ヴァランダーは事件にのめり込むことで突破口を見つけるタイプ。
容疑者の一人と深く関わることになります。

南アフリカ共和国での出来事も緊迫していて、迫力。
ひどい人種差別が長く続いた後、変化が訪れようとしているのですが、それに対する抵抗も大きい。
権力を握るボーア人(オランダ系入植者)の生活ぶりがリアルなので、ネルソン・マンデラ暗殺を狙う動きも説得力があります。
1993年発表当時、マンデラが27年間の投獄から釈放されたという時期から隔たっていないリアルタイムだったことも、力のこもっている原因かも。

ソ連の崩壊も、世界を突き動かしていたのですね。
南アフリカからは遙かに遠いスウェーデンがなぜ関わるか、ということにも理由はちゃんとあるのです。

暗殺のために雇われた殺し屋マバシャは、アフリカのズールー族の出。
異国をさまよう男の心象風景に、深みがあります。
ヴァランダーの家族まで巻き込んだ対決と、銃撃戦へ。

作者は何年もアフリカに住んで仕事をしていた経験があり、帰国後にスウェーデンの人種差別が悪化していると感じたとか。
それも実感を伴った描写に繋がっていると思います。
2004年9月翻訳発行。

« 「ダイイング・アイ」 | トップページ | 北海道展のまかない丼 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「白い雌ライオン」:

« 「ダイイング・アイ」 | トップページ | 北海道展のまかない丼 »

2019年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

最近のトラックバック

無料ブログはココログ