フォト

おすすめ本

« フェーブとリカちゃん | トップページ | リセとリカちゃんのご対面 »

2012年5月12日 (土)

「特捜部Q ―檻の中の女―」

ユッシ・エーズラ・オールスン「特捜部Q ―檻の中の女―」ハヤカワ・ポケット・ミステリ

デンマークのミステリ。
北欧の巨匠、初登場!
警察で新たに作られた特捜部Qという閑職に追いやられた刑事でしたが…?
テンポ良く展開し、明晰さが感じられます。

カール・マークは、コペンハーゲン警察の警部補。
有能だけれど、元々おそらく協調性は少ない性格。
怪我での休養から復帰して以来、さらに怒りっぽくなって周りに迷惑がられていました。
死体発見現場に乗り込んだときに部下2人と共に銃撃を受けて、一人は死亡、一人は重症でいまだ入院中。
信頼できる部下を失ったのです。
カールの妻は家を出て行き、愛人をとっかえひっかえしつつ暮らしているらしい。
義理の息子だけがそんな母の家にはいられないとカールの所に戻ってきましたが、大音量で音楽をかけ、小遣いをせびるだけ。
カールは強気な妻に未練があるようで、意外に義理の息子にも怒れない。部屋を貸しているモーデンが、料理上手なのが救いとなっています。

そんなとき、迷宮入りの事件を再捜査する特捜部を作るという政治的な要請が持ち上がりました。
特捜部を名目に、殺人捜査課の予算を取ろうという上役の画策で、カール・マークにあてがわれた部屋は、地下にある殺伐とした部屋。
最初はやる気がなかったのが、成り行きでしだいに熱意を取り戻していきます。

ただ一人の部下アサドは、雑用係に雇われた民間人で、しかもシリア人のイスラム教徒。
これが整理も配線も得意で、書類も読めるという人材でしたが、デンマーク語の冗談は通じないという。
どんどん雑用を片づけてしまう彼に、次の仕事を待たれるのが面白い。

一方、美貌の政治家が、5年前に行方不明になっていました。
民主党副党首にまでなっていたミレーデ・ルンゴー。
船から落ちたときに弟と一緒で、最初は突き落とされたとして捜査されましたが、弟ウフェは幼い頃の事故で障害を負っているものの、穏やかな性格。
自殺か事故ということで片付いていますが、死体は発見されていない。
本人の性格は、誰もが自殺するようなタイプではないという…
捜査の不備に気づいたカールは、次第に真相に迫っていきます。

監禁されている女性の絶望的な状況が挿入されていて、怖い。
密室の壁の向こうにいる誘拐犯に、理由を思い出せと罵られるのですが。
助けは、間に合うのか…?
有能な刑事に期待、大!

2007年の作品。
デンマークでは、実際に、大規模な組織改革が行われた年だそう。
作者は1950年、コペンハーゲン生まれ。父親は精神科医。97年から作家活動。
特捜部Qの第三作で、北欧5ヵ国最高峰の「ガラスの鍵賞」を受賞しているとか。
近年の北欧のミステリは凄いですね。

« フェーブとリカちゃん | トップページ | リセとリカちゃんのご対面 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「特捜部Q ―檻の中の女―」:

« フェーブとリカちゃん | トップページ | リセとリカちゃんのご対面 »

2019年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

最近のトラックバック

無料ブログはココログ