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2012年5月10日 (木)

「ふしぎなキリスト教」

橋爪大三郎「ふしぎなキリスト教」講談社現代新書

面白いです。
こんな風に整理できるとは。
売れている新書のリストから、興味を持てそうな物を選びました。

近代に、西洋の文明や価値観が世界に広まっていきました。
民主主義も、市場経済も、科学技術も、すべての根底に実はキリスト教的な発想があり、これが日本人にはどこか理解しがたい面があるのではと。
それはなぜか?を説き明かしていく内容です。
対談形式で、素朴な疑問から入っているので、とっつきやすい。
あちらでは誰もが知っている聖書の内容に、少し詳しくなれます。
わざと居酒屋談義調にしている所もあるようだけど。

一神教と、儒教や仏教との違いとは。
一神教では、神は絶対的な存在で、人間とは別次元。
不幸や災いは神の試しで、好きなように出来るんですね。
すべてを作った存在だから、自然は神の物。
科学はそれを人間が理解しようとするものなんだそうです。
奇跡は、自然の法則を作り出した神だから、その法則を越えることも出来るということ。ほほ~。

キリスト教もユダヤ教もイスラム教も、じつは同じ神を信仰している。
ただ、ユダヤ教は律法を中心に発展しました。
イスラム教は、キリストをムハンマドよりも格の低い預言者の一人として扱っています。

キリスト教は、ユダヤ教の一部として始まり、現在も旧約聖書を内包しているという。
イエスはキリスト教を始めようとしたわけではなかっただろう。実在のイエス・キリストはマトリョーシカの一番内側の人形のような物では、と。

パウロはギリシャ語で手紙を書き、それが聖書の元になっているのですね。
東方のギリシャ正教は、そのままギリシャ語の聖書を使いました。
ローマ帝国がキリスト教を国教としたため、カトリックはラテン語の聖書を使うようになりました。
民衆はラテン語は読めないか、そもそも字を読めなかったので、教会がなくてはキリスト教について知ることが出来なかった。
偶像崇拝も禁止していたけれど、字が読めない人々に理解させるには像や絵が必要で、教会内の装飾や宗教芸術が発展していくことに。
偶像崇拝とは、元々は土俗的な小さな神々を崇拝することを意味していたんだそうです。なるほど。

さまざまな手続きが増えて教会が利権を独占していったのを、批判したのがプロテスタント。
聖書を各国語に翻訳して、一人一人が読めるようにしました。個人の信仰を大事にして、教会はシンプルに。

日本人にとって理解しがたいのは、ユダヤ教が発展した環境が日本人とは全く違うから。
ユダヤ人は敵に囲まれた環境で、侵略されて故郷を追われた所から、よりどころとしての宗教を進化させたそうです。

マルクス主義は「宗教は阿片だ」と批判したため、宗教とは正反対のように思われているが、じつは構造がキリスト教とそっくり。
ソ連では、宗教を弾圧した代わりに、すっぽり共産主義が入ったんだとか。
今は中国でキリスト教が広まりつつあるそう。

日本人にとって神さまは先祖、身内、友達のようなもので、だから沢山いて良い。
物にも何かが宿るという感覚があり、これはアニミズムの影響。
物造りに熱中し、賛美するのは日本人が一番なんだとか。
イスラム国では製造業があまり発展しないのは、偶像崇拝を禁じているからではないかというのも面白い指摘でした。

イスラム圏は中世まではキリスト教圏をリードしていました。
クルアーン(コーラン)があまりに詳しく生活の仕方なども定めているため、進歩が行き詰まった?
キリスト教圏では、法律は人間が具体的に変えていくものという感覚で、柔軟性が強かった、など。

テーマが大きく、歴史も長いので、おおざっぱな話になっている面もあります。
ここで力を入れなくてもと思うようなところで、力説していたり。
日本人の宗教観も、一つではないしねえ…
ある角度から見るとこうなる、という限定付きかも。

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