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2012年3月 1日 (木)

「聖書の絵師」

ブレンダ・リックマン・ヴァントリース「聖書の絵師」新潮社

1379年、宗教対立が激しい時代。
まだ中世といってもいいイングランド。
王が亡くなり、少年王リチャードの摂政ジョン・オブ・ゴーントの重税に、人々はあえいでいました。

高名な絵師フィンは、大修道院のための聖書の彩飾に来て、近くにあるブラッキンガムの館に滞在して仕事をすることに。
ヒロインは、ブラッキンガムの女領主キャスリン。
(ブラッキンガムはロンドンの北東に位置する設定~架空の地名)
未亡人となって、父から受け継いだ領地を守るキャスリンは、まだ美しく、気丈で魅力的。
双子の息子は15歳。長男のアルフレッドは亡き父親に似て陽気で猛々しく、弟のコリンは大人しく繊細でした。
庶民に比べれば裕福でも、教会への寄進を何度も強要されていて、ゆとりはないのです。
態度の悪い荘園執事シンプソンに手こずるキャスリンは、アルフレッドに仕事を見習いつつ、監視するように命じます。

館に、聖書の絵師フィンが滞在することになったのは、ふとしたことから。
若いノリッジ司教でやり手のデスペンサーはフィンに絵を依頼しようとしますが、最初は断るフィン。
宗教的信条はむしろ、改革派のウィクリフに近いからでした。

フィンは才能豊かで、気さくで、心が寛い魅力的な男性。キャスリンは心動かされ、しだいに愛し合うようになります。
美しい娘ローズを連れて点々と移動して暮らす男フィンには、ある秘密が?
ローズは、ユダヤ人との間の娘。当時それは大変なことだったのでした。

州長官のサー・ガイは、フィンが滞在し始めた日に起きたらしい司祭の殺人事件の調査に訪れて、ブラッキンガムの財産と美しいキャスリンに目を付けます。
危機に次ぐ危機。
はたして…
フィンに助けられた小人のトムや、館で働く貧しい少女マグダの不思議な能力。
隠修女のジュリアン(「神の愛の啓示」という著作が残っている実在の人物)など、変わったタイプの人間が登場、珍しく興味をそそります。

ワット・タイラーの乱に至る時期。
生やさしいハッピーエンドにはならないだろうと、ハラハラ。
悲劇も訪れますが、救いもあります。

著者は1945年、アメリカのテネシー州生まれ。
英語学博士。25年間英語教師として勤務しながら、何度も英国を旅行。
2005年の本書がデビュー作だが、世界14ヵ国での出版が決まっていたそう。

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