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2011年12月26日 (月)

「あかんべえ」

宮部みゆき「あかんべえ」新潮文庫

これ読み落としていた!と気づいて、喜々として読みました。
好みとしても上位に入る作品。
素直な女の子が主人公の時代小説。幽霊も出てきます。

江戸、深川で、太一郎夫婦は「ふね屋」という念願の店を構えました。
太一郎が勤めていた賄い屋・高田屋の主の七兵衛が、「料理屋を出すのが夢だった」と店を出して独立させてくれたのです。
ところが、何故か縁起でもないことばかり。
最初の宴席で、抜き身の刀が暴れるという怪現象が?!

一人娘のおりんは、12歳。
引っ越した早々に高熱を出して生死の境をさまよい、そのためか幽霊が見えるようになります。
幽霊本人も、何故ここにいるのかは、わからないという。
あかんべえをする少女、美男の若侍・玄之介、色っぽい姐さん・おみつ、按摩の爺さん、おどろ髪の浪人風の男。
この組み合わせも、不思議なのですが…?

幽霊たちが成仏できないのは何故か、調べようと差配の孫兵衛の家を訪ねるおりん。
そこで働いている男の子は「ヒネ勝」と呼ばれているぐらい、かわいげがない。
すぐにケンカになってしまい、なかなか差配さんには会えず、事情も教えて貰えないのでしたが。
ヒネ勝には女の子の幽霊だけは見えているらしく、お梅と呼んでいました。
いぜん向いの土地には寺があり、大変な事件があったとわかって来ます。
「ふね屋」にとどまっていた幽霊たちの正体は?

関係者が集まった席で、また恐ろしい異変が?!
危機に際して、人の性根が試される…
厳しいようですが、赦しも希望もはっきりとある暖かさ。
この時点では道を誤っている者も、心を入れ替えれば、いつでも違う方向へ進めるという。

善意の人はややこしいことに気づかなかったり、理性的な人には幽霊のことが理解できないといったあたりも面白い。
思春期にさしかかる少女の成長も含めて。
ファンタジーとミステリと人情味が上手く溶け込んだ感動の時代小説。
平成14年発表。

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