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2011年8月 5日 (金)

「「吾輩は猫である」の謎」

長山靖生「「吾輩は猫である」の謎」文春新書

ブログで夏目漱石を一度も紹介してないなあ、でもずいぶん読んでないから、そろそろ読み返そうかしら…?
でも、けっこうハードルが高くて。
ウォーミングアップに。
小説ではありませんが、小説についての本なので、国内小説もカテゴリーに入れました。

著者は1962年生まれ。歯学博士。
大衆小説や科学小説、思想史についての著作多数。
96年「偽史冒険世界」で大衆文学研究賞を受賞したそうです。

「吾が猫」
確か読みやすそうなのに~これが、意外に読みにくいんですよ。
当時の雰囲気が良く出ているんですが、その意味がつかみ取れてるのか取れてないのか自分じゃわからなくて。
この本は、当時の現実と、漱石が作り上げた部分が指摘されているので、ああでもないこうでもないと楽しめます。
漱石や知人、家族の人柄、モデル探しなども面白いです。

寒月先生は寺田寅彦で、本人は東京生まれですが、もとは長州の家柄。袴の紐にも、その由来が出ているとか。

苦沙弥先生は、胃弱の健康オタク。
これは漱石のままのよう。餅が好きで汁粉が大好き。学生時代に汁粉や芋を食い過ぎたのが病気の原因などと言っているのですが、あくまで食べ物が原因で自分の大食らいのせいとは全く思っていないのがすごい所だとか。

苦沙弥先生の机がすごく大きいのだが、漱石は実際にはそんな机は使っていませんでした。
けれども義父から一枚板の机を譲って貰えそうな話が出たことがあり、買い取る金がなくて~手に入らなかった、その机ではないか、など。
漱石は謡曲が好きだったが、上手いとは言えなかったそうです。
奥さんに、ユーモラスな作品のような手紙を書いて、わざわざ謡う許可を求めているなんて!
「坊ちゃん」は漱石自身に実はあまり似ていなくて、むしろ悪役の赤シャツに似ているとか。

漱石は神経衰弱で、被害妄想の気味もあり、近所の家にスパイがいると大声で怒鳴ったりしていたそう。
同居の家族にとっては、たまらなかっただろうと思いやっています。
そして、その隣家の二階に住むスパイとは、漱石のファンだった学生で、憧れの作家の書斎を何かとつい見下ろしていたのではないか。
漱石からすれば妙に感じられたのも無理はないと、意外な事実を指摘。

悪妻と言われがちな鏡子夫人が子供の目には良い母親で、あまり子供の面倒は見ない夫の悪口を言うでもなく、そう仲が悪いわけでもなかったらしい。
漱石の弟子達は漱石を尊敬するあまり、鏡子夫人が悪者に見えたのではないかという指摘ももっともですね。
大らかで芯が強い鏡子夫人でないと、神経を病む漱石の妻はつとまらなかったかもね。

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