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2011年7月18日 (月)

「ブリージング・レッスン」

アン・タイラー「ブリージング・レッスン」文春文庫

ユーモラスに暖かく人生を描くアン・タイラー。
いぜんに何作か読んでますけど、最近じゃないので…ご紹介するのは初めてですね。
これはピューリッツァー受賞作!というお墨付きの作品。

妻マギーの幼な友達セリーナの夫が亡くなり、葬儀に出かけるモラン夫婦。
出かける朝にやっと、車の修理が出来る予定というタイミング。
妻マギーが受け取り、店を出た途端に、トラックにがつんとぶつかってしまいます。
聞いていたラジオの人生相談に出た声が息子ジェシーの別れた嫁フィオナで、再婚すると言っていたのです。
ところが、それは聞き違い?
呆れる夫アイラですが…

結婚して、28年目。
若い頃は神秘的に見えた夫アイラは表情が少なく、真面目だけれど頑固で、人に対してやや壁がありました。
父が急な病気で引退したため大学進学を諦めた失望を抱え込みながら、父親のやっていた額縁の店を継いでいるのです。
妻マギーは明るくお喋りで、親切だがちょっと粗忽で、善意が裏目に出ることも多い。
老人ホームでバイトをしたことがきっかけで、そのまま補助員として就職したのを上昇志向の強い母親には惜しまれ、理解されないでいました。

セリーナの夫の葬儀では、セリーナが結婚披露宴の時と同じ歌を友人達に歌って欲しいと言いだし、皆は困惑します。
アイラは頑として歌わないのですが、マギーは歌詞も思い出せないまま歌い始める‥

愛する子供達は巣立っていき、たった一人の孫にはなかなか会うことも出来ない。
息子ができちゃった婚で~早すぎる結婚をしたいきさつが何とも。
マギーは孫に会いに行き、何とか息子達によりを戻させようと思い立つのですが。

ちょっとしたことなんだけど~マギーの行く所、おかしな出来事が連発。
夫婦は互いに反りの合わない部分に苛立ちつつ、結婚は揺るがない。
結婚してある程度たった人間なら、共感する所も多いのでは。
世代間の行き違いや、男女の平行線…
どうすることも出来ない哀しみと苦み。

夫の息子に対する態度など、ずいぶんだなあと思う点もあります。
日常をコメディにしてしまう妻もなんだけど。
たまに悲劇にしてしまう夫というのも、どうなんでしょう。
ネイティブアメリカンの血を引く一家で、働けない家族を抱えているという重さが、アメリカの悲劇といえるのかも知れません。
人間ってやつは全くしょうもないが…
笑えて、しみじみとした読後感。

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