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2011年5月28日 (土)

「神様のカルテ」

夏川草介「神様のカルテ」小学館

長野県で地域医療に携わる現役の医師が書いた小説。
わかりやすく、心地良く読み進められます。

栗原一止(いちと)は、本庄病院に勤務する5年目の内科医。
400床あるので、地方都市の一般病院としてはかなり大きいほうです。
けれども、募集はしていても医者の来手は少なく、24時間365時間対応を看板に出しているので、それはもう大変なのでした。

一止は消化器内科が専門ですが、救急では何でも診察、泊まり込みで仮眠を取りつつ、一人で40人も担当しています。
夏目漱石を愛読して暗記しているほどなので、言葉遣いが古風で、変人と思われているのでした。
(ペンネームにも現れていますね)
看護師にもつい減らず口をたたくのですが、患者のことばかり考えているから、おのずと人望はあるという。

奥さんのハルさんは可愛らしく、表紙イラストのイメージのまま。
山の写真などを撮るカメラマンで、小柄だが実は力持ち。
一止はものすごい忙しさで、初めての結婚記念日をすっぽかしてしまいますが‥

御嶽荘という旅館だった古い建物に部屋を借り、地方を満喫する生活。
絵描きの「男爵」と、大学院生の「学士殿」というあだ名を付けている友人も、下宿しています。
徹夜明けでも、つい酒盛りをしたりする仲なのです。
信濃大学付属病院の医局に来ないかという誘いを掛けられ、普通なら応じるところ、なぜか悩んでしまう一止。

患者だった老婦人・安曇さんが癌でもう治る見込みがないと、大学病院から戻ってきます。
一人暮らしで、夫は30年も前に亡くなったという。
どうしてあげたらいいのか、その方が気にかかってならない一止。
食事制限もあるのですが、食べたいと言っていたカステラをハルさんに探して貰ったり‥

どこまでが実体験なのでしょうか。
経験者という濃さは、それほど感じない~ある意味、普遍的とも言えるエピソード。
でも、優しさがありますね。
見送る哀しみもあるけど、忍耐強い患者もしっかりしたものだし、精いっぱいのことをしてあげた感動が残ります。

著者は1978年大阪生まれ。信州大学医学部卒。地域医療に従事。
この作品で、第10回小学館文庫小説賞を受賞してデビュー。
2010年本屋大賞2位。

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