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2011年4月24日 (日)

「光媒の花」

道尾秀介「光媒の花」集英社

推理小説というわけではありませんが~広い意味でミステリのうちにはいるかな。
ごく普通の町で、一見普通の人々の中で起きる事件が連鎖していきます。

一章「隠れ鬼」
遠沢印章店を継いだ正文は、ぼけてきた母親の介護をしながら暮らしていました。
父は30年前に自殺しましたが、母はそれも忘れているのです。
30年に一度だけ花が咲く笹。母の描いた絵を見てぎくりとする正文ですが…

第二章では視点が変わり、小学生が主人公。
両親の帰りが遅いので、妹と河原に虫捕りに出る兄。
どこか心許ない寂しさが、一転して恐怖に…
第三章では、第二章に出てきた大人の~過去にあった事件。
少年が、川原でよく出会った少女は‥

第五章は、運送会社に勤める青年・亮の視点。
父の死後、母と上手くいかなくなっています。
母が明るく張り切りだして、母は父を愛していなかったと感じたのでした。
まだ少年だった亮には父を失った悲しみのやり場がなく、八つ当たりもあったと気づいていくのですが。
小学校教師の姉が入院して、がんかもしれないと疑われ、様々な思いが交錯する‥

最初に事件が起きる様子がつぎつぎに語られるので、え、章ごとに殺人事件が起きるのかとぎょっとしたけど、そうではなくて~
一ひねりして、関係者のその後やふとしたふれあいを描いていくものです。
抑えきれない衝動のもたらした恐怖、罪悪感。
悲劇に巻き込まれた悲しみ。
それがしだいに、年月をかけて、ささやかな善意とおだやかな日常の中に溶けていきます。
最後の方は、もっと読み続けたい気持ちになりました。

2010年月発行。

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