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2010年9月 1日 (水)

「身の上話」

佐藤正午「身の上話」光文社

語りが巧みで、なかなか面白かったです。
ミステリというよりは、犯罪小説。
妻のことを回想して、のちに結婚した年上の夫が推測もまじえて語る形式になっています。

数年前のこと、まだ若いミチルは、親元から通う書店員だったのです。
付き合っている若者もいましたが結婚を決める気になれず、出版社から時々出張に来る男性と不倫におちいります。
仕事を抜け出して、バス停で相手を見送ることにした運命の日。
相手の態度にふと一緒にバスに乗ることにし、とうとう東京まで行って、居着いてしまう。

勤め先を飛び出したことになり、地元では大騒ぎ。
職場を出るときには、たまたま宝くじを買うお使いも頼まれていました。それが、何と、当選していて…?
同僚や上司も何度も電話してくるのですが…

幼なじみの大学生・竹井の部屋に転がり込んで、深い考えもなく日を過ごすミチル。竹井の彼女のことにもすぐは気づかない鈍感さ。
不倫相手の借りてくれた部屋に引っ越しますが…
ミチル本人はやむにやまれずというほどの衝動でもないというあたりが、何とも。
大人しいようでしぶといのかもしれない、でも流されてしまう、ちょっと妙な性格の女性ですが、なりゆきは上手く書けていて、これがいそうな感じがする存在感。
付き合う相手によっては、こうなりかねない人も、けっこういる?
何かあっても、親元に帰ることも出来ない成り行き…

事件が転がっていくいきさつの先が知りたくて、読ませられます。
後味はいいとは言えないけれど、いやはや~語る男もミチルも極悪人というわけじゃない。
語り手の冷静さや反省、流されがちだった若い妻への思いやり。救いもまあ少しはないことはないですね。

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