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2010年8月 3日 (火)

「石が流す血」

フランセス・ファイフィールド「石が流す血」ランダムハウス講談社文庫

まいったなあ!
と思いながら、読みました。
CWA最優秀長篇賞を受賞しただけのことはありますよ。
イギリス女流でも実力派のファイフィールド。翻訳は久しぶり?
最後の頃に訳されていたのが暗い作品なんで、わかるような気もするけど…

女性の辣腕弁護士マリアン・シアラーが、ロンドンの高級ホテルから両手を広げて投身自殺。美しいドレスを着て…
裁判には勝ったのに、なぜ?
遺書も持ち物も、なかなか行方がわからない。

検死審問のために、調べだした若い弁護士ピーター・フリエル。
じつはマリアンの友人だった遺言執行者に死後に手紙が来て、フリエルが担当するようにと指定されていたのでした。
下っ端でうろうろしていただけの自分になぜ?といぶかるピーター。
個性の強い登場人物の中で、このピーターは一番平凡だけど、いいヤツです。

裁判の被告リック・ボイドは異常性格で、次々につきあう女性を精神的に支配し暴力もふるっていました。
マリアンは、依頼者が無実かどうかは気にかけない方針の弁護士。
証言者をいたぶって揺らがせ、嘘をついているように陪審員に思わせたのです。
証言者は恐れをなして出てこなくなり、中でもこの被害者エンジェル・ジョイスは自殺してしまうという結果になり、結審。
エンジェルを救い出し、ボイドを訴えた姉ヘンリエッタは納得できない思いですが…

このヘンリエッタが服の修復を仕事にしていて、美しい古着に埋まったアトリエに住んでいるのが面白い。
いきさつを調べていくピーターは、マリアンの意外な人間像を知ります。
海外ミステリを読み慣れている人には、ぜひお勧め。
でないと、濃すぎるかも…
嫌な人物が多くて、かなり辛辣な筆致だけど、実に鮮やかな描き分け。
思いがけないイントロ、ひどい事件、異常性格者、運命の皮肉、惹かれ合う若いピーターとヘンリエッタ、終盤の危機と乱闘、意外にエンタメ要素も加えて。
救いもあります。

作者は事務弁護士で、公訴局でおもに殺人事件の訴追を担当。
経験を生かして、1988年に「愛されない女」でデビュー。
2作目でCWAランポール賞、「目覚めない女」でCWAシルヴァー・ダガー賞を得ています。
別名義を含めて20冊以上の著作があり、ミステリの新女王と評されているそうです。
ミネット・ウォルターズより少しデビューが早いようですね。

読んだのはけっこう前なのに、いろいろ大変なことがあってご紹介できないでおりました。
なんとかかんとか…アップできました~

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