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2010年5月 5日 (水)

「蛇の形」

ミネット・ウォルターズ「蛇の形」創元推理文庫

大好きな作家、ウォルターズの傑作です。
いぜんに読んだ物なのでアップしてなかったんですが、作家名のカテゴリを作ったことだし、これはご紹介しておかなければと。
ミネット・ウォルターズは現在、イギリス・ミステリの女王といってもいいでしょうね。
92年に「氷の家」でCWA(イギリス推理作家協会賞)の新人賞をとり、94年には「鉄の枷」でゴールドダガー(最優秀長編賞)、2003年には「病める狐」で再び受賞しているのですから。なかなかそういう人はいないんですよ~。
「鉄の枷」が一番のお気に入り。

この作品は構成が凝っていて、筆さばきが見事で、読み応えがあります。
ヒロインのミセス・ラニラは、ごく普通の教師で、のほほんと暮らしていた若妻でした。
たまたま近所に住んでいた黒人の老女が、ミセス・ラニラの家のそばまで来て亡くなった事に不審を抱き、まわりの無理解に妨害を受けながら、こつこつと調べ続けます。
海外赴任を経ながらも、何と20年も!

いったい、何が起きたのか。
そして、彼女はなぜそこまでして?調べ続けたのか…
特に親しくもなかった女性のことで、交通事故死と片づけられたのに。
手紙などを積み重ねて、次第に解ってくる全貌もすごいものがあります。
別に連続殺人とか、国家の陰謀とか~そういう大がかりなものでは決してないんですが。
人間の醜さ、愚かさ、邪悪さが次々にえぐり出されていくのです。
怠惰、偏見、不倫、嘘、無知、盗み、嫌がらせ、家庭内暴力…と新手の十戒のようです。
…気軽にちょいちょい読み返すってわけにはいかないかも

けれども、それを調べ抜くミセス・ラニラがすばらしいのです。
一筋に光る意志の強さに感動!
崩壊しかけた家庭を築き直し、しだいに味方も見つけて。
夫も引き連れて証拠を突きつけ、大きくなった息子二人に「ママ、すごい!」と言われるなんて、ちょっといいでしょう。
ラストの手紙も哀切で…胸に残りました。

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