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2009年8月 1日 (土)

「シズコさん」

佐野洋子「シズコさん」新潮社

絵本作家・エッセイストである作者。
実母との葛藤を描いたもの。エッセイというより自伝というべきでしょうね…

強烈な性格でたくましい母シズコ。
いつも身綺麗にしていて、若く見えた母でした。
家事はいたって有能なのですが、文句が多くて身内や弱い者への情が薄いところがあったようです。
作者は学問好きな父親に似て、現実的な母とはまったく気が合わないのですが。

(家族の服を縫ったり、夫の同僚や部下のもてなす料理をこなしたり、というのはうちの母の若い頃にも似ています。
年代はずれていますが、似ていない母娘というのはちょっと通じる点もあってドッキリ。幸か不幸か、母も娘もこれほど強烈ではないですが)

作者は長い反抗期の後に家を出たきり、戻らなかったそう。
結婚後は距離が離れていたためにかなり平和な年月が続きましたが、内心は母を愛せない後ろめたさがあったようです。
晩年になって長女らしく何年か引き取るのですが、三度の食事を一緒にしただけ。
老人ホームに入れた後、親を捨てたという気持ちにさいなまれることに。

戦前に中国大陸へ渡り、終戦後2年で引き揚げとは、大変な幼少期だったんですね。
7人の子どもを抱え、うち3人をなくした母というのも大変です。
子どもの頃に母に辛く当たられていた時期があり、それが母を愛せない原因だったのでしょう。帰国後に慣れない田舎暮らしをしていた時期だったそうです。
ところが、引っ越して、いじめがやんだ後は何年か、そのことをすっかり忘れていたというのも現実の不思議さ。

後年、母は一緒に暮らしていた息子の嫁と折り合いが悪かったのですが、離れている家族は皆、きつい母親だから揉めるのだと思いこんでいたとか。
ところが真相は、嫁のほうにもかなり言動に問題があって~大げさに言っていたのではなかったと後にわかったり、なんとも…

きょうだい達は出来ることはやっていたのだし、妹が優しく親孝行していたのだから、それぞれの役割は果たしたんじゃないのかな。
ぼけてきた母との和解は、感動的です。
ぼけてきて、性格のトゲが抜けたようになり、物忘れがひどくなっても、ふと理解を示したり、思いがけない言葉を言ったりもするのです。

著者は昭和13年北京生まれ。
2008年4月発行。

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