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2009年2月19日 (木)

「村田エフェンディ滞土録」

梨木香歩「村田エフェンディ滞土録」角川書店

1899年、土耳古(トルコ)に留学した村田の手記という形。
エフェンディというのは、トルコで知識階級の男性に対してつける尊称で、ちょうど「先生」と言われるのに似た感じだそうです。そういえば「イスタンブールの群狼」などにも出ていましたね。
歴史物というか、前半はファンタジーといった方が良いのか…

スタンブールの下宿に集う国際的な顔ぶれの友人達に起こる出来事が、どこか乾いた空気の中、最初はゆったりしたタッチで描かれます。
英国人のディクソン未亡人が営む下宿には、トルコ人の下男ムハンマド、美男のギリシャ人のディミィトリス、ドイツ人考古学者オットーなどが生活していました。
拾ってきた鸚鵡のエピソードなど、いかにも楽しい。

苦難の旅を続けて到着した日本人・木下を見舞い、お礼にと稲荷の札を貰って困惑する~宗教心のない村田。
さらに、バザールで売っていたアヌビス像も預かります。すると怪異現象が…?!
下宿の礎石は、正体もわからないほど古い遺跡を流用してあるらしく、そこの神々と争っているかのよう…?

ふだんは顔を隠しているイスラムの女性達の、室内で見せる妖艶な美貌に驚いて、これは隠すのも無理ないと思ったりする村田でした。
終盤は時代からいって、革命や戦争へとつながり、厳しく切ない展開に。
とりどりの要素が不思議な印象を残します。

帰国後に村田が「家守奇譚」の家に転がり込むあたり、あの作品を読んでいる読者には楽しいですね。
2002年から書かれ、平成16年発行。文庫本も出ました。

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