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2008年12月21日 (日)

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」角川書店

1960~64年にプラハで過ごした子ども時代の思い出と、30年後の再会を描いたもの。
2002年、大宅壮一ノンフィクション大賞受賞作。
著者は1950年生まれだから、日本なら小学校高学年から中学生の頃の友達ということになりますね。

ソビエト学校でのクラスメイトは、激動の時代を経て消息が知れなくなっていました。仲良しだった3人の少女の行方を捜して、作者は行動に出ます。
まず、おませな美少女だったギリシャ人のリッツァ。
彼女を探す旅はテンポよく進み、意外な大人になっているのですが、いい結果に終わって感動的です。

表題作のアーニャは、ルーマニアの要人の娘。
ふっくらした外見のように人柄はあたたかいのに~妙に理想主義的、なぜか虚言癖があったのは、親に伴って転々とした育ち方故の過剰適応か?
複雑な背景と苦い味わいが秀逸なノンフィクションとなっています。

ユーゴスラビア人のヤースナはボスニア・ムスリムの血筋。頭のいいクールな少女で、すぐに親友となったのでしたが。
共産圏の中での意外な対立の激しさ、知りませんでした。ムスリムという自覚もないような少女も巻き込んでいたんですね。
戦争でどうなったかを心配する作者。
ベオグラードにたどり着くと、そこは意外にも平和で良い町だったそうですが、それでも何がいつ起こるかわからない~命の危険と隣り合わせ。
ヤースナの父親は何と、ボスニア最後の大統領となったために、彼の地にとどまり、当時も地下暮らしを続けているという状態だったのでした。

作者も含めて4人の少女が、それぞれに優秀で個性的なのに感心してしまいます。
ユーゴスラビアのあたりは正直ややこしすぎて、わからない…
こんな一部でも見えるのが有り難いと思いつつ、今はどうなっているのだろうかと何とも言えない気分になります。

作者も若くして亡くなってしまわれました。りっぱな業績を残されましたね。
惜しまれます。

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