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2008年8月11日 (月)

「隠蔽捜査」

今野敏「隠蔽捜査」新潮文庫

この次の作品「隠蔽捜査2 果断」の評価が高いので、まずこちらから読んでみました。2008年に文庫化。
仕事一途の警察官の視点で描かれます。
人の良い一警官ではなくエリートで、しかも本音吐きまくりというのがユニークなところ。

竜崎伸也は東大法学部出のキャリア組。
警察庁長官官房の総務課長とエリートコースをまっしぐら。
それも当然と思っているプライドが高いおっさんで、けっこう嫌なやつ。
最初は、こんなの読まされても感情移入できないのでどうしてくれるんだって感じですが、国家を守るために全力を尽くすのが当たり前と大まじめに考えているところが買えます。
変人と言われて心外に思う自覚のなさ。家庭を守る冷静な妻に、唐変木とまで言われるのがちょっと笑える。
硬骨漢というのか~40代なのに、ここまで古い男も今時珍しい?

対照的なタイプの同僚も~それぞれ長所短所があるのが良いですね。
警視庁の伊丹は同期であるばかりか~たまたま小学校で一緒だった幼なじみ。
そうすると親友のように思われ、伊丹の方も親しげなのだが、実は小学校時代には伊丹の仲間にいじめられたという思いが竜崎にはあり、屈折した感情を抱いているという設定。
伊丹は東大出ではなく私大出なので、出世もこれが限界と見下ろしているような竜崎には、被害者意識が抜けきれなかったんですね。
明るい性格の伊丹の方が断然取っつきは良い感じだが、本来どっちが上というのではなくタイプの違いといった描き方になっています。

警察庁と警視庁の違いというのも一般にはピンと来ないんだけど~すごい違いらしいです。
警察庁の方が断然エリートだけど、一般の警察官からすれば警視庁も雲の上なんだとか。
組織というのはこういうもんなのでしょうか。

受験浪人中の長男が思いがけない問題を起こし、自分の出世もすべて水の泡になるかもしれないという危機に、家庭を妻に任せきりにしていたことをちょっと反省するのでした。
そもそも私立には受かった息子を東大でなければダメだと言って浪人させるなんて、それが良くなかったんでは…進路によっては現実にありなんだろうけどねえ…?

折しも警察内部の不祥事も明らかになりそうになり、隠蔽工作が動き始めます。
握りつぶすべきなのか…?
正直に迷う人間らしさと筋を通す偏屈ぶりで、読後感はナイス!

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