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2008年3月 8日 (土)

「コキュ伯爵夫人の艶事」

藤本ひとみ「コキュ伯爵夫人の艶事」新潮社

フランスを舞台にした四つの短編で構成されています。
「コキュ伯爵夫人の艶事」は1682年、
「令嬢アイセの秘事」は1722年、
「ダンフェル夫人の断頭台」は1792年、
「農夫ジャックの幸福」は1794年、
と移り変わっていく時代背景に絡ませながら、個人の幸福と意外な運命を描きます。

当時のフランスでは、貴族の子供はすぐに里子に出されて親の愛を知らずに育ち、特に女の子は修道院に入れられて、親の決めた結婚までは世間の風に当てない習慣でした。
結婚後は急に、夫の浮気は当たり前な退廃的な社交界の荒波に投げ出されるわけで、女性も恋愛出来ないわけではないのですが~男性のようにはいかないあたりが微妙。
年代や階級によっても違ってくることで、そのあたりの変遷を巧みに取り入れながら、面白い話に仕立てています。

1994年から95年にかけて発表されたもの。
18世紀を中心にしてフランスを舞台にした小説を書き続けてきた手練れぶりを見せる作品群。
「貴腐」も似た系統の小説集ですが、あちらはちょっと~後味が良くなかった。(宮廷での恋愛遊戯やサド公爵に興味があれば、読んでも良いと思いますが)

こちらの後味が良いのは、最後の「農夫ジャックの幸福」が効いているんですね。
一代で農場を広げた頑固な働き者の老人 …だが、彼の幸福とは?
人生は何だったのか振り返りかける時、革命も末期になって思いがけない出会いがあり…ぐっと来る話になっています。

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