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2007年4月25日 (水)

「安徳天皇漂海記」

宇月原晴明「安徳天皇漂海記」中央公論新社

前半は鎌倉の実朝に仕える人物の視点から、孤独な三代将軍・実朝の苦悩と、壇ノ浦に沈んだはずの幼い安徳天皇の不思議な運命が描かれます。
雰囲気たっぷりの古典ファンタジー。
澁澤龍彦の「高丘親王航海記」と似ていると思ったら、海を渡って天竺まで行ったという伝説のある高丘親王に実朝が憧れていたということを踏まえてのストーリーだったのですね。

そういえば、大河ドラマで昔、実朝が船を造って海を渡ろうとしたが、船が浮かばなくて挫折して失笑の種になったという話がありました。
現役の将軍が海を渡ろうというのもかなり無茶な話ですが、船が動かないように北条家が手を回したか、或いは不可能だと見越していたのじゃなかったかなあ?
兄の頼家が母方の北条家に殺された後に将軍となったという痛みを抱え、誠実な人柄で歌の才能はあるが、政治には向いていなかった実朝のありようが丁寧に描かれていて引き込まれます。

後半は、モンゴルに敗れた南宋の少年皇帝との時空を超えた交流にマルコ・ポーロが絡むという~さらに意外な展開!
ぐっとファンタジックになって~これもまたなかなか独創的。
よく似た美少年が並んだところは何やら人形めいた耽美な世界を現出させているようでした。

第11回(1999年)日本ファンタジーノベル大賞を「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」で 受賞。

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