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2007年1月20日 (土)

「わたしの名は紅」

オルハン・パムク「わたしの名は「紅」」藤原書店

パムクはトルコの作家でノーベル文学賞を獲ったばかり。これは32ヵ国で翻訳された世界的ベストセラーだそうです。
16世紀、斜陽のオスマン・トルコ帝国の都イスタンブルを舞台に、細密画師の間で起きた殺人事件と、美しいシェキュレの恋の顛末を描きます。

タイトルはどういう意味なのかと思ったら~
各章が「わたしの名は」で始まる一人称なんです。
最初の章は既に死んだ人(細密画師)の語りから始まるし、「紅」は文字通り?絵の具の紅が語り手!という意表をついた物。
そのへんが実験的というか文学的というか。

イスラム教では偶像崇拝を禁じているため、神の絵姿などはなく、人物画も発達しなかったんですね。皇帝の肖像画はあるのですが、様式に則ったリアリティのない物。
当時ヨーロッパはちょうどルネサンス真っ盛り。立体感のある写実的な絵がイスラム世界に衝撃を与えるのです。
過去の様式に従いながらも個性を出したいと内心願う絵描き達…
具体的なことが全く知らないことばかりで、絵画論議などが続くあたりは読みやすくはありませんが、あでやかなモチーフが何ともエキゾチックで興味も惹かれました。

一方、シェキュレとカラの恋は…
恩師の娘シェキュレに失恋したカラが都に戻ってきて、夫が出征したまま行方不明で実家に帰ってきているという状態のシェキュレとの間に密かな恋の駆け引きが始まります。
家族以外の男性には顔すら見せない建前の女性ですが、何気なく窓辺に立ったり、召使いが上手く取り持つあたりはロミオとジュリエットのよう。
シェキュレはかなりわがままな感じなんですが、作者の母と同じ名前で、どうもモデルらしい!?
難解さと生々しさの交錯する、不思議な味わいのある小説でした。

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