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2006年8月 3日 (木)

「不思議のひと触れ」

シオドア・スタージョン「不思議のひと触れ」河出書房新社

スタージョンといえば、私がSFをあまり読まなくなった最後の頃にも読んでいた、好感の持てる作家です。
最近、再評価の勢いがすごいらしい…のも当然でしょう!
この短編集は奇想コレクションの一冊で、03年12月に日本で編まれたもの、良いセレクトでまとまっています。
SFというと、多少読みにくいのも覚悟の上、なのですが、これはわかりやすくて、びっくり。
訳文もこなれているのでしょうが、内容が練り上げられていてしっかりした構成になっているのが大きいでしょうね。

最初の短編は簡単なアイデアですが、何と20歳の頃の物。それにしては達者です。
そして、表題作の何ともいえない面白さ!
夜の海辺で姿の見えない相手と待ち合わせ、勢いよくののしり続ける男女、実は…
ごく平凡な、何の特徴もない人間に訪れた、不思議のひと触れ。
良くこんな事を考えつくなあというのがスタージョンを読んだ時のいつもの感想だったことを思い出します。
そして、思いつきだけでない切り口と手応え、孤独な人に対する優しさも…
読む人にも不思議のひと触れが訪れる心地がします。

「雷と薔薇」は前にも読んだかと思いますけど、1947年の作品というのに恐れ入りました。
核戦争後の未来を描いて、今にも通じるテーマ、先駆的作品だったのですね。
そんな早くから書いていた人という認識がなかったですねえ…

翻訳もしている大森氏の愛読者としての熱意溢れる長い後書きを読んだら、特に今回はわかりやすいものを集めたとあり、なるほどと納得しました。
SF大会での有名な発言「SFの9割はクズ、他のジャンルも同じ」というのも、そういう一般の評価に対する反論として言われた言葉だったとはね~言葉って一部が伝わって一人歩きしてしまうものなんですね。文脈がわかって良かったです。

スタージョンがどういう作家だったのか、アメリカ文学史上最高の短編作家とまで評価される巨人ぶりと数奇なほどの経歴に加え、5回の結婚という変人ぶり(もてもて?)がよくわかり、なんともいえない中身の濃さに改めて感動を覚えました。

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