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2006年8月 4日 (金)

「奥津城」

ローリー・キング「奥津城」集英社文庫

捜査官ケイトとシャーロック・ホームズの愛弟子という二つのシリーズを持つ才女ローリー・キングが新たな挑戦を見せる一冊。
宗教学者のアンは、FBI捜査官グレンの依頼を受けて、カルトに潜入捜査することになります。
何度目かの危険な仕事に緊張し、抵抗を覚えながらも、想定した人物になりきっていく…
じつは18年前、夫と幼い娘を集団自殺で失った過去があり、自分の離脱が引き金となったという罪悪感から、大学教授となった今も行動せずにはいられないのでした。

一見おだやかに暮らしているコミュニティにさりげなく参加し、紙一重の指導者に近づいていくアン。
アンでなければ出来ない仕事でしたが、思いがけなく亡き娘アビーにそっくりな少女に出会って混乱し、その兄で生命力に溢れながら殺人者になりかねないような目をした孤独な少年にも強く惹かれます。この二人を見捨てられずに危険な領域まで踏み込んでいく…

難しい題材だと思いますが、この二人の輝きが物語を救っています。
閉鎖的な集団のはらむ危険性も、こういう時に暴走していく傾向があるなどと研究されている様子なのが、アメリカでは事例に事欠かないからでしょうか。
作者も宗教学者だからリアルさがあり、痛みを知る大人の女性としての共感も感じられます。
果敢に行動するアンを歯切れの良い文章で描き、魂の再生を描いた物語です。

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