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2006年6月 4日 (日)

「獣たちの庭園」

ジェフリー・ディーヴァー「獣たちの庭園」文春文庫

ディーヴァーが歴史ミステリに挑戦した異色作。
1936年、ベルリン・オリンピックが始まろうという時、アメリカからナチス高官の暗殺のために送り込まれた男ポール・シューマン。
記者として選手団に同行、情報部のバックアップを得て、成功した暁には前科を消してまっとうな生活に入ろうとしていました。
殺し屋なのだが、仕事には倦みかけていて、妙に正義漢なところもあり、どっちへ転ぶかわからない~感情移入して良いのかどうか?

当時の制度をよく調べて、ナチス内部でしのぎを削る力関係を描き、ヒトラーはじめ有名な人物を間近で覗き込むような面白さがあります。
ターゲットの高官は架空の人物で、どうなるかはわからない…これも家族を大事にしていたり、すぐには正体がつかめません。
複数の殺人事件を調査するベルリンの警察官も重要な人物で、彼の視点からの追跡行も面白い。ナチスの横暴に悩み、息子をユーゲントに入れずにいたら苛めにあっていることを知る。
こっちも応援したくなるんです。すぐ傍まで迫るのにいつも逃げられるが、しだいに全体像が見えてきた時…?!

いつものディーヴァーのあざとさはなく渋めのタッチで、訳語もかなり硬いのは原著の言葉がそうなっているからか…?
でも、どことなく溌剌としていて、書くのが楽しそうなのがディーヴァー。
どんでん返しも読者の予想を裏切るという点ではなかなか、捻ってありますね。
キャラ設定はリンカーン・ライムのシリーズと正反対といっても良い、たくましい暴力的な男と知的な疲れた女、地位の高い悪人、初対面の信用出来ないスタッフ…
こういうのも書けますよってことで、気分転換になったんじゃないでしょうか~。

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